「希土類(レアアース)」 広江礼威原作アニメ『ブラックラグーン』:創作のためのボキャブラ講義04

本日のテーマ

題材

「彼らが来たのは強引に土地を買い取るためさ。地質調査で希土類が出るって分かったからだ」
(中略)
「希土類だって?」
レアアースとも言う。元素の周期表を知らないのかい?」

意味

希土類きどるい
 31種あるレアメタルの一種で、17種類の元素の総称。ルテチウム、スカンジウムなど。


解説

作品概要

 作品自体は前回説明したのでかいつまんで。犯罪都市ロアナプラの大悪党がトラウマを刻まれた存在、それが場違いなメイドの眼鏡女性ロベルタだった。メキシコカルテルに連れ去られたお坊ちゃん、ガルシアを救出するべく単身ロアナプラに乗り込んだ彼女だが、その正体はコロンビア革命軍の凄腕テロリストだったという。

 そんな彼女が乗り込んでくる発端は、ガルシア君の家が持つ土地から希土類、つまりレアアースが出土すると判明したからだ。彼の家は南米十三家族のひとつラブレス家であり、貴族ながら実直な父が堅実な経営をしていた。ところがレアアースがラブレス家所有の土地から出土すると判明するとカルテルが強引に土地を手に入れるため動く。それを拒絶するラブレス家に対し、嫌がらせとして息子を誘拐したというわけ。まさかそれが虎の尾、いや猟犬の尾を踏む行為だとも知らずに。

 主人公ロックらの所属するラグーン商会はガルシアをロアナプラへ移送する依頼を受ける。当初ガルシアの言葉を作り話だと思っていたロックだったが、深く聞きただすと何やらキナ臭いと感じ、移送を一時取りやめることに。このあたりは子どもながら聡明で肝の据わったガルシアと、元資材調達部のロックの合わせ技一本という感じ。

言葉の解説

 希土類とはレアアースのこと。しかし我々のよく聞く言葉はレアメタルの方。これらの違いとは何か。少しややこしいので整理しよう。

 実はレアメタルという単語は科学的な定義ではなく、また世界的に通用する言葉でもない。産業に利用される頻度が多いが産出量が少ない金属のうち、経済産業省が定めた31種類を基本的にレアメタルと呼称する。経産省が定めないものでも同様の定義に当てはまるのならレアメタルと呼ぶケースはあるようだ。

 希土類、レアアースとはその中の特定17種類を指す。これもどうやら科学的な定義というわけではない。一見科学的な定義に思われる単語が、実は経済活動の都合で企業や政府が決めたものだったというパターン。「科学的」はあくまでそれらしいというに過ぎず、人の手に大きく左右されるものだということは覚えておこう。

補足

 ちなみにラブレス家の土地から発見されたレアアースは元素番号71番ルテチウム。セラミックの定着媒体に使用されるとのこと。調べたところ用途は限定的なようだが……?

情報

作品情報

広江礼威原作『BLACK LAGOON』(2001年~)

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