認知症の方が外に出て行く理由
私が管理者をしているホームは鍵をしていません。
なぜならば家だからです。
防犯の為にはしても良いと思います。
しかし、中にいる人を「出れなくする」為の鍵はしてはいけないと考えています。それは根本の解決にならないからです。
それでは、外に出て行く方に対してどの様に支援すれば良いのでしょうか。
出て行く理由から考えていきたいと思います。
認知症の方が出て行く根本的な理由とは
認知症の方が外に出て行こうとする最大の理由は、ここを自分の居場所と感じていない事だと思います。家に居ても「帰ります」という方もいます。
記憶が障害されている状態で身の置き場所がなければ、他の場所を求めるのは想像に難しくないと思います。
「居場所(いる意味)」を作る
それなので、ホームでは、
その人の使っていた馴染みの家具を置いたりして、
本人が自分の部屋と思えるような環境にする
ように心がけています。
それと同時に、
調理や洗濯などの家事でその場に役割りがあり
本人が人に求められていると感じられるよう
にしています。
そうする事で本人の「いる意味(居場所と呼んでいます)」ができると考えています。
また、
利用者さん同士の関係性ができるようにも心がけています。
小さいながらも利用者さん同士の社会ができる事で
やはりここにも居場所ができます。
そうなるには、職員が利用者さん同士の関係に入り過ぎない事が大切です。
その大前提ができていれば、認知症の方が外に出て行くという行動の大半は防げると考えています。
個別のニーズを満たす
しかし、自分の居場所となったからこそ、外に出ていく事もあります。
その場合に関しては、それぞれの方のニーズを満たす関わりをします。
ある方は
利用者さん同士で
「何か買い行こうか?」
などとお話しをして外に出て行きます。
引き留める為に
お茶やお菓子を出したりしても、
知らない間に出て行ってしまいます。
外に買い物に行きたい
という強い意志があるからです。
その場合は、後を追っかけて一緒に買い物に行きます。
買い物に行くと、
「疲れた」
などと言って、自分から帰ろうとします。
ニーズが満たされたからです。
まとめ
高齢の方は色々な喪失体験をしています。
子供が巣だったり、
仕事を引退したり、
近しい方と死別したり等で
社会的な役割が無くなっていきます。
しかし、人は社会的な生き物なので、
人との関係性や役割りなどを求めています。
さらに、認知症の方の記憶障害の特徴として、
短期の記憶が障害されたとしても
長期の記憶は保持される傾向にあるので、
生きづらさを解決する手がかりを導き出そうとして、
若かりし頃の、
人との関係性や役割があった居場所
に戻ろうとするのだと思います。
それなので、外に出て行く人への支援としては、
普段から、
若い頃に築いていたような役割りや関係性などの居場所を作る事が大切です。
その上でさらに本人が自分のやりたい事をしたいと行動される場合は、支援者はそれに付き合い、本人のニーズを満たす関わりをするのが良いと思います。
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