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真実を告げる日

出て行って警察に保護された

別府から入居した利用者さんが、朝方窓を乗り越えて外に出て行くという事がありました。
入居して12日目の事です。
6時頃に夜勤職員が気付いて警察に電話したところ、警察が保護してくれていて無事にホームに戻る事ができました。
ご本人が近くのファミリーマートに立ち寄ったところ、店員さんが裸足でいる事を不審に思い警察に連絡してくれたそうです。
ホームに戻った際には、
「(20年くらい前の生活習慣だった)朝の散歩にいっちょった」
とおっしゃっていました。

先日、一度、ここは東京だと告げました。
その後、東京とは認識してはいるのですが、ここがどこであろうが、
「別府に帰る」
という本人の想いに変わりはありません。
ホームでの生活は家事をしたりするようになってきていて、少しづつ「居て」くれるようにはなってきているのですが、
本人が、ここは仮住まいで、
「別府に帰る」という想いでいる以上、ふと思い立った時に帰ろうとするのは当然です。

真実を告げる

それなので、やはり、
しっかりと
「これからここに住む」
という事も含めて
真実を告げた方が良い
と考えました。

告げる理由

なぜならば、
本人が帰ろうとしているのは、
過去の栄光の時であり、
現実にはない場所
だからです。

場所としての別府の家はあります。
今まで一人で住んでいたのだから、本人が帰る理由としておっしゃるように
「鍵を掛けたのか心配」
「店子さんがいるから」
「友達に挨拶してこなかったから心配してる」
「生徒にお花を教えなくてはいけない」
「公民館でカラオケする」
「家の温泉に入る」
と言うのはわかります。

でも、帰っても
場所はあっても
現実にはないのです。

本人が仮住まいだと考えている以上、
ずっと、過去の栄光にすがってしまいます。

私の想いとこれからの関わり

過去の栄光にすがっても良いと思いますし、現実を突きつけるつもりもありません。

現実を言おうが言うまいが、
ホームが本人のニーズを叶える場所になれば、
長い期間をかけて最終的には
過去の栄光にすがる必要がなくなる筈だ
と私は考えています。

しかし、
その過程において、仮住まいと思ってここに居るよりも
ここに住むことを早めに前提にしてしまった方が良いのではないか、と考えたのです。

目指す風景

つまり、
仮住まいと思っているのを、
嘘をついたり誤魔化したりして
いつまでも職員や家族が引き留め続ける
という構図より、
老人ホームだけど
良い場所
という構図にした方が、本人がホームや職員、近くにいる家族を信頼してくれると思うのです。

告げられた結果、
最初、本人が辛いと思ったとしても
家族が来てくれたり、
ホームに一緒にお話しできる仲間がいたり、
ニーズを叶えようと関わる職員がいることで、
少しづつ現実を全身で受け入れていくと思っています。

家族が泊まる日がチャンス

次男さんが関西から泊まりに来てホームに泊まります。
本人が
「別府には住めない」
「老人ホームに入った」
と、言われたとしても

ホームに次男が泊まる

その事実が大事だと思います。

そのような関わりを繰り返していくうちに
ここグループホームを
「家」ではないけど
「家」のように居心地の良いところ

と感じていってくれると信じています。


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