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新しい資本主義と僕の失敗。

 最近の東京は遅れているなという話を。
 いきなり何を言うのかというどこなんですけども、先日ちょっと京都に行く機会がありまして。
 泊まったのはエースホテルっていうホテルで。ポートランド発祥の、なんて言うんすかね、今のコミュニティホテルみたいなものの走りというか、ラグジュアリーでもないがビジネスホテルとかバジェットホテルでもないホテルを最初に始められたホテルブランドなんです。
 値段的にも2万円ぐらいからなのかな。スタッフは基本的に服装もみんなバラバラで。バラバラなんだけど実はよく見るとロゴが入っていて一部制服だったりして。背中には「FRIENDY PLACE」という彼らの理念が入っていて。
 ラグジュアリーホテルみたいにめちゃめちゃ丁寧とかではない。だけどすごく親切。優しい。それでいて国籍もバラバラなスタッフが働いている。

 そんなホテルに泊まりながら街中をちょっといろいろ散策していたらですね、たまたま地方都市のコミュニティ作りのお手伝いをされている方と話す機会があって。
 そのときにちょっと出てきた話で面白かったのが、地方都市によくいわゆるコンサルとかデザイナーとかそういう人たちが東京から乗り込んできて街おこしプロジェクトが行われるけども、結構な確率で何かこう失敗とか炎上とか、形は残ってるけども結局これ何だったの?みたいな状態になってることって多いよねと。
 そんな話をしながらラグジュアリーホテルとエースホテルの比較を思い出しながらふと浮かんだのが「資本主義」対「ステークホルダー資本主義」っていう今この現代のグレートリセットとか言われてるような世の中で起きている社会構造の変化、これが一つのキーワードなんだろうなと思いました。

資本主義とステークホルダー資本主義

 それは何かというと、結局、東京というのは資本主義の権化みたいな町なんですよね。ですからその東京で一線でやっている人のセンスや力で地方都市を盛り上げようとか極めて資本主義的で、何なら「町おこし」というキーワード自体がもう既に資本主義なわけですよ。要するにお金が回るようにして巡るようにしようということだと思うんですけども、それ自体が資本主義で、実はその考え方っていうのは地方ではあんまり受け入れられてなくて。
 なぜならば地方ではクリエイターとかアーティストとかやってる人に僕も東京行けってよく言うんですけど、それってやっぱり資本主義の世界で勝負したいんだろうっていうのが前提にあるわけですよね。

 もちろんクリエイターとかアーティストっていうのは中にそうしたいって言いながら地方残ってるような人ってのはこれ間違ってると思ってます。なのでどんどん東京に行くべきだと思いますですけど、そういう人ばかりじゃないなと。ステークホルダー資本主義、いわゆるお金を稼ぐとか有名になるとか儲けるとか成功するとかっていうこと以外の価値観地域地域に根ざした土地と自分とっていう結びつきを大事にするとか生まれながらに育った町でずっとお付き合いのある人たちと仲良く暮らしていくとか、そういう自分の好きな風景光景といったものを守っていくとかっていうものっていうのの価値観、っていうのを大切にする方っていうのが、一定数というか、いらっしゃるわけです。

 そういう考えを持ってる人ところに「商品のデザインをもっとこうした方が売れますよ」とか「東京の方にも支店出してそこで営業活動した方が絶対に儲かるのに」とかですね、そういったことを東京のコンサルとかデザイナーという人たちが地方乗り込んでいってアドバイスを上からというかですね、それもまた厄介なのが地方都市の役所とかですね自治体の方々がそういうの予算組んで呼んできてるわけですよねお上が読んできてる状態でそういうアドバイスとかをするんですけど。
 地方の人からすれば別にそこって求めてないんだよね。というか今の、なんかコミュニティをもっと楽しくっていうことは考えてるけども、東京行って一旗あげるぞ!みたいなこと言われてもっていうところがズレながらも、予算がついてるのでガンガンやっちゃうみたいな。
 それでぶつかっちゃうっていうことがよく起きていると。これは非常に面白いお話で、これからの時代のヒントがここに詰まってるなっていうふうに思うわけですね。

地方都市の方が価値観が東京よりも進んでいる

 それは何かというと、結局ステークホルダー資本主義っていうものに対して、なんていうSDGsとかSGといったキーワードを元にですね今グレートリセットが行われてますよと。いう中で世界中がですね、なんかもう非常に右往左往している中でですね、実は日本の地方にこそそのヒントがあるんじゃないかなと。
 というよりも地方の人たちってのは元からグレートリセット後の社会を先に生きてたんじゃないかなというふうに感じるわけですね。
 結局その大切にするものっていうのは資本主義的な成功に限らないよということをずっと実は、わかって取り組んでいたのが、地方都市の人々なんじゃないかなと。そういった意味では東京はやっぱりいまだに資本主義の町ですし、それが間違ってるとかではなく、私の感覚としては、これから世の中は資本主義としてこれは資本主義両方が両立していくようになるんだろうなというふうに思っている中で、別に資本主義を否定するつもりもないですしその街として東京は君臨し続けるだろうというふうに思ってます。
 逆に心配なのは大阪です。大阪というのは東京の全部2番煎じなんですけども資本主義によって立つ以上は2位以下に価値ってあまりないんですよね。なのでそう考えると大阪の街ってのはどんどん活力を失っている。最近本当に大阪行くと残念な気持ちになることが非常に多いわけですけども、面白い場所とか面白いな取り組みとか文化に対してお金を支払わないのは相変わらずだし、インバウンドに媚びまくって街はもうめちゃくちゃだし。文化とか、何でもかんでも値切るとか、作品のクオリティや本質よりも自分と一緒に飲みに行ったかゴルフに行ったかどうかを重視する経営者とか、誰に世話になったとか、そういう独特の大阪ルール。そういったものを押し付けてくるわりにはステークホルダー資本主義によるわけではなく、東京に憧れて憧れて憧れて、羨ましくてしょうがなくて、資本主義の方に走ろうとしている。
 だけど東京には一生勝てない。そんな悲しい町になってきている。本当なら面白い街なのに。
 一方で、大阪の周りの京都や神戸といった街とかっていうのは面白い。神戸なんかは早くからインバウンドを受け入れることっていうのは積極的にはしないっていう宣言をされたりとかしてですね要するに資本主義には走らないよというようなことってのは明言された街でもありますと。そういった街が周りにたくさんある中で、大阪が非常に心配なんです。
 大阪の話はそのくらいにして。その東京とか大阪という資本主義の街っていうのがですね、君臨し続ける中で地方都市におけるそのステークホルダー資本主義っていうものについては非常に何か面白いなと。今回ちょっと京都に伺った際に感じたわけです。

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資本主義に取り憑かれた僕の過去の失敗

 そこでちょっと一つ思い出すエピソードとして、京都に私の知り合いの不動産さんがいるんですけども。彼が非常に面白い不動産屋さんでして。古い街の空き家をクリエイターの集まる集落に変えてしまったり、コンテナと町屋を融合させた集落みたいのを作ったりとか。非常に面白い取り組みをたくさんされていて。
 数年前にですね、ずっと彼がやってる物件紹介っていうのポエム、そう、ポエムで物件を紹介するっていう取り組みをずっとされていて。そのポエムをまとめた本を自費出版すると。
 他にも面白いこといっぱいやってる人なので、その自費出版した本を抱えてですね、全国を回るんだと、トークショーをして回るというようなことをおっしゃっててですね。東京の方にも来るよっていうことだったので僕の方で何かセッティングしましょうかって話をしたんですよ。
 そのときに感じたことってのが、なんか僕、当時の僕はですねもう資本主義の権化でして。何とか大阪から出てきて東京でアートの会社を起ち上げてですね。これをどうにかしてナンバーワンにしてやろうということを、もう真剣に考え、今もですけど必死になって命がけでやってたわけですね。
 そこに突然そういう話が来たので、何とか力になりたくて。だってみんな東京には勝負しに来ているわけで。トークショーの場所も紹介しますよ、いろんな有力な人を紹介しますよ、一気にこの取り組みの良さをみんなに広げましょう!天下取りましょう!みたいなことやったんですけど、まさしくこれってさっき申し上げたような地方都市に東京のコンサルが行くような構図なんですよね。
 僕としてはなんか資本主義的成功を納めて欲しくてですね、いろんな場所とか人とかアサインしようとするわけですけども、彼はそんな無理して背伸びしてそういうのは特にいらないよというようなスタンスなわけですね。
 資本主義の権化みたいだった僕からすればですね、彼のその姿勢ってのは真剣じゃないっていうふうに見えちゃったんですね。それを彼も感じ取って、赤澤さん、今回の東京はちょっとやめとこうかという話になって。結局そのトークショーが東京での僕の絡みでは開催はされなかったということがあったんです。
 
 今から思うと、これは完全に僕の方が間違ってるなというふうに思うわけですよ。
 それは何度も申し上げたようなその東京の資本主義の考え方だけで僕がお話をしようとしていた。彼が求めていたのは、ステークホルダー資本主義という言葉が生まれる前でしたけども、もう既にそういうコミュニティを作ったりとか、仲間を大切にするとか自分の半径数メートルを幸せにするんだみたいな価値観とかですね。そういうものを追求されてたわけですよね。
 むしろ僕なんかより先を行っていた。ステークホルダー資本主義を早くから実行されていた。
 だからそういう方に対して旧来型の資本主義を無理やり押し付けたところそれは響くわけがない。
 そんな過去の話を今回の京都の旅でも思い出しましてですね。

 何がずっと言いたかったかと言いますと結局のところそういう「資本主義」対「ステークホルダー資本主義」と言いますか、別に対立構造にしなくてもいいと思うんですけども、いろんな価値観が生まれてきてる中でですね、実は日本の地方都市にこそ新しい価値観のヒントってのがいっぱい眠ってるんじゃないかなということを感じた次第でございますと。
 そんな話でした。

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