超セクシーな再開発の手法「Arts District」のおはなし
以前、出張でアメリカに訪れた際に、ロサンゼルスとラスベガスで目にした光景が忘れられなくて。
それは、「Arts District(アート・ディストリクト)」っていうアメリカ各地にあるエリアの光景。
地域特性でいうと、元々治安がよくないといわれていたような地域で、不景気で閉鎖した工場が並んでいるようなところ。
アメリカでいう「治安が悪い」は日本のレベルとは全く違って、ギャングの巣窟になっていたりするような場所で。
そこに行政がお金を投じて再開発をすることを「Arts District」と呼ぶんだけど、その再開発の手法が超セクシー。
具体的には、壁画を描けるアーティストをたくさん集めて、お金を払ってその地域の壁をアートだらけにしてもらう。
そうすると、壁画を見てみたいと人が集まってくるよね。次第に「コーヒーでも売ってみようか」という想いを持つ人が現れて、空いている物件で珈琲屋さんがオープンしたりし始める。
他にも、ちょっとやんちゃな服屋さんとか、雑貨屋さんとか、スケートカルチャーを扱う店とかができてきて。
徐々に活気が戻ってくると、今度は観光バスも来たりして、コーヒーだけじゃなくてタコスとか軽食を出すようなお店が出てきて。最終的には某コーヒーショップとか、おしゃれなレストランとかホテルがオープンしたりするんだよね。
そうやって徐々にいろんなお店がオープンして、人の流れが戻ってくるようになると「この地域はもう安全です」という風になると。
これね、アーティストに壁画を描いてもらおうとすると、大きいとやっぱり500万円から1000万円くらいの予算が必要になる。それを、例えば20個描いてもらうとしたら、1〜2億円という予算が必要になってくる。
だけど、考えてみて。
それまでギャングの巣窟になっていて、家賃収入がほぼ0、取れたとしても10〜20万円だったような物件に人がちゃんと出入りするコーヒーショップやレストランがオープンすると100万円ほどの家賃を取れるようになる。そしたら年間でプラス1200万円。
内装を綺麗にするくらいで、一切スクラップ・アンド・ビルドせずに、絵を入れることによって街の再開発を行う。アメリカはどの国よりも、アートの力を信じていると感じたんだよね。
それを、日本でもやりたいとずっと思い続けて、実はすでに、福岡でとある港の僕と同世代の人たちの「この街を、もう一度元気にしたい」という思いで始まったプロジェクトの一環でやらせていただいたことがあって。
▼福岡の壁画について、詳しくはこちら
あとは、3.11の原発事故で帰還困難区域に指定された福島県双葉町へも何度か赴いて壁画を描いていて。
人がいなくなった街をどう復興するかを考えるときに、これまでの日本は「HOW」で未来を描いてきたと思う。
けれど、壁画を描いて「WOW!」から生まれる復興のカタチだってあってもいいんじゃないか、と。
もちろん、当時の住民の方々は避難先で新しい生活基盤を築いているし、壁画を描いて何になる? という考えもあるかもしれない。けれど、そんな考えはいらない。
とにかく、10年ぶりに双葉町に帰ってきた人々に「WOW!」と思ってもらう。まずは、大量に人を呼び込む。そこから考えれば良いんじゃないかって。
▼福島県双葉町のプロジェクトについて、詳細はこちらから
日本でもこういうアートの動きがもっと広がれば、日本はもっと楽しい国になると思うよ。
今後も、こういったアートで時代をグッと引き寄せるためにも、行政の方とか不動産関係に顔が利く方がいらっしゃったら、ぜひお声がけいただけたら嬉しいです。
東京の壁画アートカンパニーOVER ALLsの代表・赤澤(@overalls_aka)が「日本とアートとビジネスとその他諸々」を語る「AKA Channel」シリーズ。
※本文は、動画の音おこしを行い、読みやすく一部編集したものです。
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