消費税の「輸出戻し税」は輸出企業への事実上の補助金ですよね!

前のnote投稿 ( https://note.mu/aka10ao/n/nd033a705f479 ) の「続編」(!?)です。まだ読んでおられない方は、ぜひコチラ↑を先に読んでいただけますことを、お願いいたします(「前のnote」での記述を前提に、今回の記述を行なわせていただきました)。m(_ _)m

その「前のnote」で使用した表をもう一度、掲載しておきます。

<1>通常の国内課税販売の場合。

<2>「輸出免税」扱いでの販売の場合。

<3>「非課税」扱いでの販売の場合。

<4>「消費税分をまけろ!」と値下げを強いられた国内課税販売の場合。


前のnoteにも書いたことですが、・・ <2>の「輸出免税」の場合には、仕入(と経費など)で支払った消費税分(表では28円)を、消費税の申告納税計算において差し引くことができます。「仕入税額控除」と言います。その結果、「免税」売上(販売価格)にかかる消費税(っていうか、輸出ですから実際には消費税は”かけられない”のですが、「輸出免税」の場合には「ゼロ税率」という”考え方”が「もちいられて」います)=0円、から「仕入税額控除」分28円を引き算して、マイナス28円の納税額=つまり28円の消費税「還付」が受けられることになっています。これがいわゆる「輸出戻し税」です。

<3>の「非課税」の場合には、「仕入税額控除」が認められず、仕入で支払った消費税分を差し引くことができません。その分は、この販売業者の負担となり、利益は<1><2>の場合よりも28円少ない72円になってしまいます。

<4>の「消費税分を値切られた下請業者」の場合には、結果、税込450円での販売ということになってしまいます。「仕入税額」を売上(販売価格)に転嫁(上乗せ)できなかったので、「仕入税額控除」分28円を負担しなければならない上に、消費税納税額5円も”身銭を切って”支払わなければならなくなってしまい、利益は67円に落ち込みました。

 ※以上のことについて、詳しくは「前のnote」をご覧ください。


さて、ここで(多少強引ですが、(^^:ゞ)、この<4>の場合に、本来なら”もらえるはず”だった(※本来なら<1>のようになるはずだったのですよね)、値切られた消費税分の36円を、仮に(あくまでも「仮に」です!こんなことは勿論ありえないのですが)、国が(「税務署が」でもいいですけど)「補助(補てん)」してくれたとしたら、どうなるのだろう!?・・・親企業の値引き強要によって、やむなく(本来もらえるはずの消費税分)36円を値引いて(税込み)450円で販売することを余儀なくされた下請企業に対して、国が「補助金」で ”値引き分” を補てんしてくれたと仮定したら・・・

・・ということで、表をつくってみました。↓(^^;ゞ


<5>消費税分を値引きされた下請業者に、「補助金」で値引き分を「補てん」した、と仮定した場合

この表の左側部分は<4>の表と同じです。税込450円で親企業に売ったのですが、そこに国が「補助金」を出してくれて!!、値引き強要された(もらえるはずだった)消費税相当額36円を「補てん」してくれたと仮定したことを中央部分(黄色のとこ)に付け加えました。

その結果、この下請業者の税込み収入(「補助金」を含めた税込販売価格)は、450円+36円=486円となり、そのことを表の右側部分に表示しております。

この表の右側部分は、「税抜」「税込」の位置がいれかわっていること以外は、<1>の表と同じことです。「補助金」36円をもらって、それを含めた税込販売価格が486円となったことで、通常の国内課税販売と同様の消費税計算となりました。売上(販売価格)にかかる消費税は36円、「仕入税額控除」は28円ですので、差し引き8円を税務署に納税することになります。

この下請業者は、この「補助金」がなかった場合(値引かれたままの場合)には、税務署に「納税」する”差し引き消費税納税額”は5円でした(表の左側部分)。「補助金」を得たことで消費税納税額は8円になりました(表の右側部分)ので、納税額は3円増えました(表の中央黄色部分)。「補助金」を得たことで、本来(値引かれた消費税分がキチンともらえていたら)得られるはずだった利益100円を「確保することができました」!(表の右側部分最下段)。

「補助金」の部分(表の中央部分)に注目してみると、・・・値切られた額である36円を「補てん」してもらったのですが、納税額が3円増えましたので、36円のうち3円は国(税務署)に返したのと同じことです。これは、消費税を除いた「補助金」額が、36円-3円=33円だ(表の中央部分最下段)ということです。元の利益(表の左側部分最下段)だった67円に税抜「補助金」額33円(表の中央部分最下段)が加わって、「補助」後の利益100円(表の右側部分最下段)となった、ということですね。

そして、この税抜「補助金」額の33円をさらに分析(!?)してみると、これは、値切られた場合(表の左側部分)には販売価格に転嫁(上乗せ)できなかった「仕入税額」分28円と、”身銭を切って”税務署に「納税」した消費税納税額5円の分を「補てん」しているということがわかりますね。

 補助金36円=仕入税額28円+身銭納税分5円+追加納税額3円

すなわち「補助金」は、「仕入税額控除」分と、税務署への納税額合計分とを「補てん」している、ということになります。ココ重要!、ですよ!!! (※元々「もらえるはず」だった販売価格に係る消費税分36円を「補助金」として「もらった」のですから、受取消費税額36円=仕入税額控除額28円+納税額8円、となるのは当たり前ということなのですが、このように見ることで、「補助金」が ”どこへ行ってるのか” ということが、わかりやすくなるかなぁ~!?と思って、この表にしてみたのでありました。σ^_^;

さらに、次の表↓を見てください。(^^;ゞ


<6>「輸出免税」での販売における消費税計算に「隠された補助金」の部分を「見えるように」してみる!

この表の左側部分は<2>の表と同じことです。右側部分は<1>の表と同じことで、上の<5>の表の右側部分とも同じです。

表の中央部分(黄色のとこ)=「補助金」にかかわる部分=は、この輸出販売業者に対して、(上の<5>の表で行なったように)”新たに”「補助金」を与える、ということを意味しているのではなく、”すでに与えられている”「補助金」分を”見えるように”してみた!?モノなのです。

少しわかりにくいかも!?しれませんが、・・・「輸出免税」販売なので、消費税をかける(受け取る)ことはできません。ですから、表の左側部分の販売価格は、「税抜」「税込」ともに450円となっています。ですが、しかし!、この「税込」販売価格には、国からの”見えない”「補助金」36円が「のっかって」いるのです!! えぇっ~!!、と思われるかも!?しれませんが、これは本来 ”受け取れるはずがない”(輸出免税なのだから消費税がかけられない”はず”なのです!)「消費税分」を、実は国が(もうすでに)「補てん」してくれている!という「意味」です。ビックリ\(◎o◎)! そのことを示すために、この表の右側部分があります。

つまり、国からの「補助金」36円(=もらえるはずのない消費税分)が「税抜」販売価格に「のっかって」、「税込」486円で販売したことと同じになる、ということなのです。 税込486円の販売なので、

 受取消費税額36円-「仕入税額控除」28円=消費税「納税」額8円

となることを、表の右側部分はあらわしています。利益は100円です。

さて、では、上の<5>の表で見たのと同じようにして、この「補助金」分について考えてみると、・・・「補助金」36円を「受け取って」いますが、8円は「納税」するので(税務署に「返した」のと「同じ」ですね)、その差額28円が「残って」、”手元に隠されて”います。表の左側部分をあらためて見るまでもなく、元々は”消費税を「納税」してなかった”ですから、「補助金」36円のうちから「納税」額8円全部を「支払った」ことになっています(表の中央部分)。この点は<5>の表と少し!?違うように思われますが、「納税」額の合計が8円であることは同じですね。

さぁもう一度、<5>の表について「ココ重要!」と書いた部分の記述を見なおしてみてください。「補助金」は、「仕入税額控除」分と、税務署への納税額合計分とを「補てん」している、のですよね! この<5>の表での「補助金」についての分析!?を、<6>の表に同じようにあてはめて見てみると、・・・”見えない”「補助金」36円は、納税額(合計)8円(=<6>の表の右側部分に表示されています。<5>の表でも同様)と、「仕入税額」分28円(表の左側部分の「仕入価格」の「消費税」分=△28円、右側部分も同じ)とを「補てん」している、ということになります。

このことは、なにを意味しているでしょうか?・・・<5>の表の場合では、消費税分を値切られてもらえなかったために、販売価格に転嫁(上乗せ)できなかった「仕入税額」分が利益に食い込んでしまっていたのを、「補助金」が「補てん」してくれたのでした(”身銭”納税分も「補てん」してくれました)。

<6>の表の場合でも、販売では消費税分をもらうことができないために(<5>の表と同様にして)、販売価格に転嫁(上乗せ)できない”はず”の「仕入税額」分が利益に食い込む”はず”なのですが、”「消費税還付」金を受け取っている”ことによって、本来の利益100円が(もうすでに!)「確保できています」。・・ってことは!?!?、販売価格に「仕入税額」分が(もうすでに!)「転嫁(上乗せ)できている!」ことと同じです。

・・この、あたかも販売価格に「仕入税額」分が転嫁(上乗せ)できているかのように思わせる”モノ”の「正体」は、--”見えない”「補助金」のうち”手元に「残って」隠されている分”にほかならず、その「実体」が、「消費税還付」金である、ということですね! (※表の中央部分最下段から、左側部分「消費税還付」の段にむかっている赤矢印が、そのことをあらわしています。)

”見えない”「補助金」36円が”ある”からこそ、仕入に係る消費税28円(=すなわち「仕入税額控除」分)を支払っている(引いている)にもかかわらず、本来の利益が「確保できて」います。本来の利益は100円です。”見えない”「補助金」36円(=販売価格に「課税」されたと”みなした”場合の消費税相当額)から「仕入税額控除」分28円を差し引いた差額8円はどこに行ったのか!?というと、”税務署に戻った”、のですね。すなわち、表の右側部分にあらわされている「納税」額となっている、ということです。

このことは、<6>の表の左側部分を、<3>の「非課税」の場合の表と”差し替えて”みれば、より明瞭に!?なります。差し替えた表までは作成しておりませんが ^_^;ゞ 、頭の中で差し替えてみてください σ^_^; 。「非課税」の場合の<3>の表には、<6>(<2>)の表にはある「消費税還付」がありません。そのため、販売価格に転嫁(上乗せ)できなかった「仕入税額」分28円が、利益に食い込んで、72円の利益になってしまっています。この利益72円に、”見えない”「補助金」のうち”手元に残って隠されている分”28円が加われば、利益は合わせて100円となりますよね。”見えない手元「補助金」”は、<5>の表について(”見える”「補助金」で)分析!?したのと同じように、「仕入税額控除」分を「補てん」するのです。「非課税」販売の場合に販売価格に転嫁できずに利益に食い込んでしまった「仕入税額」分を、”見える”「補助金」を受けとった場合とさも同じであるかのようにして(「消費税還付」金として)”受け取る”ことができるのが、「輸出免税」の場合である、ということです。


結論

 ”見えない手元「補助金」”28円 こそが、「消費税還付」分なのであり、すなわち「輸出戻し税」です。要するに「輸出戻し税」は、輸出企業への事実上の補助金そのものです!

販売価格に消費税が含まれていない(課税されていない)ことで、「仕入税額」が利益に食い込んでしまったままでは、輸出企業は、消費税という税制 ”そのもの” によって ”損をする”(消費税を負担する)ことになってしまいます。「前のnote」でも書いたことですが、国内最終消費者が負担する(=国民大衆に負担させる)、というのが、消費税という税制の「狙い」「目的」ですから、(中小零細業者はいざ知らず)輸出大企業に負担が及ぶというようなことは「あってはならん!」のですよ。そういうふうに、消費税という税制をつくらなければならない!ということで、輸出に限って「補助金」を出そうということにしたのでしょう!?。(”都合がよい”お話しです!)

でも、”あからさまに”、輸出企業の仕入経費に係る消費税分を全部「補助」します、と言ってしまっては、重い負担をかぶせられている国民大衆や、”現実の問題として”消費税という税制がかかえているさまざまな矛盾の”しわ寄せ”を激しく受けている中小零細業者が、黙っていないだろう!ということが「予想」されます。うまく”とり繕う”ような「よいアイデア」はないものだろうか!?・・・

そこで、「消費税還付」というかたちをとることにして、他の消費税が「かかっていない」(かからない、かけられない、かけない)取引とは別に、輸出の場合だけ「仕入税額控除」を「差し引く」計算をすることにしよう、「差し引く」ための「理屈」をつけるために、売上(輸出販売)に0円の「消費税がかかっているとみなす」ことにしてはどうか、そのために輸出については「ゼロ税率(0%税率)」だということにしよう!・・・

・・などと、言ったか言わないか(←言わない(^^;ゞ)。。。

こんなにけしからん!「輸出戻し税」制度でありますが、ではこの制度だけを「廃止」したら、問題が一つ解決するのか、というと、そう簡単にはいかない!?のでしょう。これは、消費税という税制が抱えている数ある深刻な矛盾の(比較的目につきやすい!?)一つのあらわれでしょうね。こうした矛盾は、国民・中小零細企業におっかぶせる!というのが消費税という税制ですね!だからこそ、こんなに矛盾を抱えているヒドイ税制なのだ!ということを、ひろく国民のみなさんに知っていただくことで、消費税という税制そのものをやめさせる(消費税を廃止させる・・当面は増税をやめさせる、税率を引き下げさせる、等々の)世論と運動を盛り上げることが大切だと考えます。