第七回講義のふりかえり

いろいろと私事で忙しく間が空いてしまったけれど、メモ程度に。

今回の講師は高山羽根子さんと編集者の井上彼方さん。
講義パートは中国でのSFの大会の話からスライドして実践的な内容になっていたような記憶があるけれど、個人的にはそれほど印象に残っていないかも。後でもう一度動画で確認しておいた方がいいかな。

■梗概(自作)について
ある意味、意図していたとおりの評価だったけれど、どうとでも好きに料理できる内容、という指摘。読者対象の選択から雰囲気まで、かなり自由に書けるようなふんわりとしたものにしていおいたのは、実作を書きながら遊びの部分を少し広めに残しておきたいと思ったので、やはり高い評価にはつながらず。分量的にはこのまま書くと1万字にならないくらいの気がするので、間をいろいろと埋めながら書いていくつもり。
自由度の高い課題だと、こういうざっくりとした形になりがちなので、実作を書くときは気楽に楽しんで書けそうだけれど、梗概という点では自分の中にも物足りなさはあるのかもしれない。

■実作(自作)について
とくに言及されることもなかった。個人的には割と好きな雰囲気でまとめられたのだけれど、読者には響きづらいということか。このような静かだけれど、表出せずに底に溜まっていくような感情が滲んでいるものを書きたいけれど、小説としてはどこかで表出させたほうが面白くはなるのだろう。ただ、そういう「わかりやすさ」は、自分の演出したいものをどこか棄損するような感覚もある。もっと「滲ませ方」をうまくならなければいけない。
感情面でのわかりづらさ、曖昧さ(実際には曖昧ではないけれどはっきりとは書かない)、という部分を補うためになるべく文章はわかりやすく、読みやすく書いているつもりだけれど、そのあたりのバランスみたいなものも、もう少し技術的に向上させて「型」を見つけなければならない。

■梗概講評について
個人的な好みは除くとして、木江さんは選ばれると予想していたので当たり、一押しだった藤さんも選出されたので、3作中2作が的中した。この感覚を自分の梗概づくりに活かせるといいのだけれど、そううまくはいかず。まぁ、講座ももう後半戦で、この辺りになってくると突出した人が現れるか、誰が選ばれるかわからなくなるか、といったところで、今期については後者の傾向が強い印象。
自分の特徴を強調した梗概を毎回しっかりと出してくる人もけっこう多いのだけれど、なぜか全体を読むとわりと均されてしまうというか、あまり強い個性とか突出した感覚は残らず、どれもそこそこ面白そうというような感じが残り、安定はしているけれど、インパクトには欠けている。いちばんインパクトに問題のある自分が言うことでもないけれど。

■実作講評について
自分の詳しい感想は別記事にまとめるとして、選出されていた四作品についてはそこまで突出した作品はなかった印象で、そのなかで木江さんの「嘘発電の成金おとこめ!」が講師陣から高評価を得ていたのが興味深かった。
ここはいろいろと考えるべき面白いポイントが詰まっていそうだけれど、自分の実作が今回はまったく対象外であったため、この場であまりいろいろと言及するのも微妙。

■講座後の懇親会など
飲み会の間に話した人のうち、多くが創元SFの賞に出すと言っていたのが印象的だった。講座内のライバル率が高すぎる! 自分はまったく考えていなかったので、今さら取り組むのはちょっと時間的には厳しそう。
藤さんとやらずのさんから自分の実作についてコメントをいただく。藤さんは要所要所での主人公の感情の起伏がなさ過ぎて物足りないという指摘。もっと主人公がショックを受けたり驚いたような場面では感情を乗せて欲しいということで、たしかにこの点については自作は淡々とすすんでいるので、読者の物足りなさにつながってしまうのかも。
ただ、やらずのさんはある程度、自分の書きたいものや意図を汲んでくれて、感情面ではなく、展開でアクセントをつけることもできるのでは、という指摘。
意図というか、自分の文章や小説の特徴の一つとして抑制(に見せかけた抑圧)があって、書かない、言わない、部分を読み取って欲しいという「願望」が、おそらくある意味では大きな「テーマ」みたいに横たわっている。ただ、もちろん「言わないと分からないよ」というのも理解したうえで、それでもあえて、胸の内に押しとどめて雰囲気だけで語るみたいな部分にまで到達できればという叶わぬ願い(=願望)を込めた文体を模索していて、だからわかりやすく感情を爆発させるというのは、ある種の自己表現としても違うような感覚があり、しかしエンタメとかわかりやすさという面では必要な表現ではあるということもあり、葛藤が。
「意を汲んでくれ」というのは都合がいいというか甘えであるというのは承知のうえで、それでも「それで伝える」という技巧の壁を超えられれば、読者と意識がつながったときの「ツーカー」な感覚の気持ちよさ、快楽みたいなものがあるような期待がある。何もないし、決して伝わらないのかもしれないけれど。
しかし、単純に楽しんでもらいたい、とも思っているので質が悪い。

余談。
講座後の休み明け。朝に通勤経路にある大きな某公園を歩いていたら、三峰さんにそっくりの人が前から歩いてきて、しかし眼鏡をかけていなかったのでよく見えず、朝でテンションも低かったためそのまますれ違った。声をかけてみればよかったとその後ふと思ったので、次回の講座のときに三峰さんに聞いて答え合わせをしてみよう。もし本人だったら偶然過ぎて面白いなと。

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