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ゆるく点と点が繋がるとき

僕は奥山由之という人間が好きだ。

奥山由之さんは写真家、映像監督である。名前で検索をかければ誰しもが見たこと、聞いたことのある作品を見つけることができる。僕がそんな彼を好きになったのはコロナ禍に入ってすぐのころだったように思う。

緊急事態宣言発令の文字通り緊急事態の最中、僕は自室にある無駄に大きなソファに寝っ転がり、無駄に高い天井を見つめていた。僕は「今のこの緊急事態の風景を写真で切り取って後から見たら楽しそうだなあ」なんて見通しのつかない未来をのんきに想像していた。そして僕はソファから起き上がり、テーブルに置かれたPCを起動させて「フィルムカメラおすすめ」と入力した。

そうして僕は突然フィルムカメラを購入した。それと同時に写真家たちの写真集を見たり集めたりし始めた。そして奥山由之という写真家の存在を知るに至った。彼の写真はもちろん、作品をこえた彼の言葉や考え方が特に好きだった。奥山由之という写真家に出会ってからは、彼の写真集を集め、トーク会に足を運び、インタビュー記事を読んでは彼の考え方を摂取する日々を過ごした。そしてそれらの行動が今の僕にとって大きな影響を与えるようになった。

自分の考えや思考に見通しがつかなくなったときや何かしらの悩みを抱えて暗闇を歩いているように感じたとき、一筋の光のように彼の考え方や写真が僕の道標になるようなタイミングが何度かあった。

それはいつも僕にとって最高のタイミングで訪れた。ふと本棚に目を向けて奥山由之のインタビューが掲載された雑誌を読んだとき、机の端に置かれた写真集を開いたとき、好きな小説家との対談記事を読んだとき。

今まで好きという純粋な気持ちだけで手に入れてきたものや、時間を費やしたコンテンツ、見て聞いて読んできた考え方、接してきた友人。それらの点が思わぬところでゆるく繋がりあって僕自身に希望や道標を与えてくれる。そんな瞬間に僕は助けられているように感じる。

その瞬間がいつ訪れるかはわからないけれど、自分の好きには素直でありたいし、今自分が大切にしているものにしっかりと目を向け続けることは大切なのだと感じている。

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