piece of life【1:1:0】

【登場人物】

篠原航平(しのはらこうへい):男性。若年性アルツハイマー。

千草茜(ちぐさあかね):女性。航平の彼女。医者と兼役。


【上演時間】
20〜30分

【あらすじ】
若年性アルツハイマーと診断された航平は、徐々に病に侵されていく自分自身に恐怖を感じながら婚約者とともに日々を過ごしていた。

「忘れないから、絶対」

【シナリオ本編】

医者「若年性アルツハイマーという病気はご存知ですか?」

航平「え...?知って、ますけど」

医者「篠原さんね、その病気になってる可能性が高いんです。レントゲンね、これ撮ったやつなんだけど」

航平「ちょ、ちょちょちょ。待ってくださいって先生。冗談やめてくださいよ」

医者「...篠原さん」

航平「いや、え、だって俺...酒飲んで、コケて、頭打って...え、もしかして、頭打って記憶飛んだとか?」

医者「それとはね、別」

航平「別って......」

医者「元々ね、篠原さんが持ってたの、病気を。検査してみてよかった。健康診断とかちゃんと行ってました?最近物忘れとかひどくないですか?」

航平「いや、でも元々俺結構忘れ物とか多いし......」

医者「うんうん。だから病気の自覚症状があまりないのかもしれないなぁ。とりあえず精密検査。ね。してみようか」

航平「…あの」

医者「はい?」

航平「あの、何かの間違いだと思うんですけど」

医者「うん」

航平「別に俺、そこまで物忘れひどくないし。人の名前だって、覚えてますよ?ほら、アルツハイマーの人って、周りの人の名前忘れてたりとか」

医者「篠原さん。まぁ一応検査という形ですし。まだあくまで可能性の話で」

航平「いやでも。先生ほぼほぼ確定みたいな言い方」

医者「とにかく。検査してみないことには、ね。アルツハイマーって初期だとほぼ症状なんかない人の方が多いですし」

航平「......」

検査中

医者「それでは、さっき覚えてもらった3枚のカードの並び順、教えていただいてもよろしいですか?」

航平「あぁ、さっきの?トランプのやつ?」

医者「ええ」

航平「簡単だろ............」

医者「どうしました?」

航平「あ、れ......おっかしいな......いや、覚えてるんですよ?......今はド忘れしてるだけで...」

医者「ええ」

航平「分かってますよ。トランプが3枚ですよね?」

医者「そうです」

航平「んー......いや、違うんです。覚えてないわけじゃなくて」

医者「大丈夫ですよ、焦らないで。質問変えましょうか。昨日の夜、お酒はどこで飲まれました?」

航平「居酒屋。居酒屋で飲んでた...」

医者「どこの?」

航平「.........待ってください。分かるんです、ただ名前が出てこな、くて」

医者「どうやって居酒屋から家まで帰られました?」

航平「...歩いて!歩いて帰ったから側溝にハマって」

医者「じゃあ居酒屋までは何で行かれました?」

航平「......」

医者「仕事終わりでした?」

航平「......仕事終わり......だったと、思う......(尻すぼみになる)」

医者「...もう終わりにしましょうか」

航平「いや、大丈夫です。やります」

医者「焦っても何もいいことはありませんよ。このテストは平常時にやらないと意味がないんです」

航平「......」

医者「ゆっくりゆっくりやっていきましょう」

〜航平の家〜

航平「...俺......どうしたら...いいんだろ」

(M)航平「鏡で自分と対峙しながら、そう問いかけた。なんだか、この数時間で10歳くらい老けた気がする。大きくため息をついたタイミングで、スマホが鳴った。同居している婚約者の茜からだった」

茜「もしもし?航平?」

航平「......うん。どうした?」

茜「もぉー!どうした?じゃないよっ!病院は?終わったの?」

航平「え、あぁ......うん」

茜「連絡してって言ったじゃんー!心配してたんだからね!で?大丈夫なの?」

航平「あぁ...うん。大丈夫」

茜「ほんとぉ?昨日めちゃくちゃ血出てたじゃん!それに腫れてたし」

航平「...そう......だっけ。(頭にできているたんこぶを触る)」

茜「二日酔い?記憶飛んでるんじゃない?」

航平「...あははー...そうかもなぁ」

茜「どうした?元気ないぞ?」

航平「そう?いつも通りじゃない?」

茜「ほんとに?航平、虚弱体質なんだから。骨折とかしてなかったんだよね?」

航平「......骨折...?そんな大事(おおごと)じゃないよ。一応見てもらっただけで。頭ってほら、怖いじゃん?何かとさ」

茜「は?頭?何言ってるの?」

航平「…え?」

茜「だから、足!何見てもらってきたのさっ!」

航平「あ、足……?」

(M)航平「内心の動揺を悟られないように、『大丈夫、大丈夫。』と言いながらズボンを捲る。右足にそこそこ大きなかさぶたと紫色に変色した丸い傷跡が見えた。今更ながら出てきた足の痛みに顔を顰める。…どうやら、医者の言っていたことは本当らしい。なぜなら俺は。足を怪我したことも、怪我したことを彼女に連絡した記憶も、一切抜け落ちていたのだから。」

〜別の日、休日、家〜

航平と茜、洗濯物を干している

茜「なんかさぁ、最近、航平LINE増えたよね」

航平「んー?」

茜「しょーもないLINE多いじゃんか」

航平「そう?」

茜「そーだよ。前はLINEめんどくさいー文字打ちたくないーとか言ってたくせにさ」

航平「だって早く打てないし」

茜「この前だって朝に、『仕事終わり醤油と洗剤買ってきてね』って頼んで、分かったって言ってたのに、夕方LINEでさ、『洗剤ってもうないよな?』って聞いてきたじゃん」

航平「あー…そうだっけ?」

茜「なんで覚えてないのさっ!後でトーク見せてあげるよ、もーボケ始まってるんじゃないの?」

航平「基本生きるのに頭使ってないから、俺。…はいこれ、最後(ズボンを茜に手渡す)」

茜「ありがと。…あれー?これ洗ったの?この前も洗ったよ?」

航平「いいじゃん、何回洗っても」

茜「だって昨日『これは洗わないからしまうわー』って持ってったじゃん、航平」

航平「......そう、だっけ?」

茜「私、昨日しまうの見たし!そーゆーとこだよ。まぁ履くの航平だし、古くなるの早まるだけだからいいけどさぁー(ズボンを干す)」

航平「あ………」

茜「うーん、今日はいい天気だし、すぐ乾きそうだね!この勢いで布団も洗っちゃう?あーでもお腹空いたし、やっぱやめよ!」

航平「ごめん、俺...」

茜「え?何、そんな深刻そうな顔すること?」

航平「いや、深刻っていうか」

茜「…………えいっ!(航平の額にデコピンする)」

航平「いてっ!なんでデコピン!?」

茜「んーなんとなく?さぁさぁ、お昼ご飯たーべましょ!航平ー何食べたいー?」

(M)航平「呑気に聞いてくる彼女に、本当のことを伝える勇気なんかなかった。俺は、風になびく自分の洗濯物を見つめながらボケっと考える。俺はいつまで、俺でいられるのだろう。このまま俺はいろんなことを忘れていく。楽しいことも、悲しいことも。大切な思い出も。日常の些細な...幸せも。
鼻の奥がツンとした」

茜「そうだ、航平。次の週末、ウェディングドレス見に行こうねー?」

(M)航平「俺は、彼女のウェディングドレス姿を見ることができるのか?」

茜「やっぱり白だよねー。でもさ、この前カタログで見たんだけど、私の好きな緑で良さげな色もあってさぁ」

(M)航平「彼女の好きな色を覚えていられるのか?」

茜「でも、緑で披露宴ってなんか変?やっぱり赤?赤と緑でクリスマスカラーとか?なんちゃって」

(M)航平「彼女が料理をする後ろ姿を。楽しげに話すその声を。中身の欠片もない会話を。...俺は、どうしたらこの幸せを腕に抱いたまま生きていけるのだろうか。そんなことを考えたら、知らず知らずのうちに一筋、涙が頬を伝っていた。」

茜「航平?」

航平、料理をしている茜を、後ろから抱きしめる

茜「もー航平ー邪魔ー」

航平「知ってる」

茜「ウザイー」

航平「嫌い?」

茜「...もぉ、バカ」

航平「昼ごはん何?」

茜「航平の好きなたこ焼き」

航平「やった」

茜「ふふ、嬉しそう」

航平「なぁー今日午後からどっか出かけよ?」

茜「えー今日掃除したかったのに」

航平「いいじゃん、後で俺やっとくよ」

茜「絶対忘れる。賭けてもいい」

航平「忘れない」

茜「それに」

航平「忘れないから。絶対」

少しの間

茜「ふふっ、約束だよ?」

航平「うん。約束」

茜「分かったからどいてね」

航平「嫌ですー」

茜「重いー」

航平「これでも痩せたんだけど」

茜「見えませーん」

航平「なぁどこ行く?どこ行きたい?」

茜「航平が決めてよー」

航平「どこがいいかなぁーテキトーにドライブしよ」

茜「もぉー航平いっつもそればっかー」

航平「…あ、髪また跳ねてる」

茜「ちょ、触んないで。一応気にしてるんだから」

航平「手短くて届かないのか」

茜「...航平嫌い」

航平「ふふっ、ごめんって。後で俺やってあげようか」

茜「いいっ!」

〜1週間後〜

航平、机に突っ伏したまま寝ている。

航平「…っん……ふああぁ…(起き上がる)…っん、やべ、寝てた…(机の上にあるメモを見る)メモ…『飯食った』か…確かに、腹は減ってない、かも。……っふああぁ…何食ったんだろうな…メモに残してたところで、覚えてなかったら満足感もないっていうか…」

航平、ぼんやりと虚空を見つめている。

航平「…なんか、忘れていくこと、増えてきたな…」

〜回想、デート、公園にて〜

茜「なーんか、久しぶりだね!ドライブとか、外でデートとか」

航平「そうか?」

茜「そーだよ。しかも、航平から言い出すなんて。いつも航平、私に任せっきりじゃんか」

航平「いや、俺は別に何でもいいんだよ」

茜「ふーん…あ!見て!噴水ある!」

航平「(小声で)…お前と一緒にいれたら、俺は何でもいいんだよ」

茜「ねぇ!航平!噴水!綺麗だよー!」

航平「…ふふっ。分かったから。そんな手引っ張るなよ」

茜「写真撮ろ!写真!わぁ、見て、可愛いんだけど!ちっちゃい子いっぱい遊んでるー!」

航平「茜も混ざってきたら?」

茜「バカにしてる?」

航平「ははっ。怒るなって」

茜「…いいよなぁ、子ども」

航平「ん?」

茜「欲しいよね。私たちも」

航平「…」

茜「可愛いってのもあるけどさぁ。子どもがいれば、航平とずっと一緒にいられるかな、とか。一緒に、いたいよね。ずっとさ。ま、そんなことわざわざ言わなくてもずっと一緒にいるんだけど!」

(M)航平「何も知らない彼女の、無邪気な声が、俺にとってはたまらなく、痛かった」

航平「…もしさぁ」

茜「ん?」

航平「もし俺が、お前のこと忘れたらどうする?」

茜「なに?急に。忘れる予定あるわけ?」

航平「いやない」

茜「でもなぁ、今の航平ならありえそー」

航平「なんでだよ。いよいよ俺病気じゃん」

茜「あははーそだよねー。んー、でも、答えられないなぁ」

航平「なんで?」

茜「だってありえないじゃん?」

航平「なにが?」

茜「航平がさ、私のこと忘れるなんて」

航平「......」

茜「私が航平のこと忘れられないのと同じように、航平だって私の事忘れないって、私は思ってるけど?」

航平「......お前、俺の事めっちゃ好きだな」

茜「え?今更?(笑いながら)」

航平「…だな(笑う)」

〜回想終了、現在〜

航平「...ははっ、前に言われた言葉は覚えてるのに、数時間前に食った飯のことは分からないのか」

航平、自嘲気味に笑う。

航平「忘れるなんて、ありえない……か。そうだよな。忘れたくなんか、ないよ…茜」

スマホのバイブが鳴る。
航平、電話に出る。

航平「もしもし」

茜「航平!?今どこで何してるの!?」

航平「え...家、だけど」

茜「はぁっ!?どういうこと!?」

航平「え、え...?どうした?何怒ってるんだよ」

茜「...もういい」

航平「え、待って何が?」

茜「とぼけてるの?それとも本当に忘れちゃったの?」

航平「......」

茜「...ウェディングドレス選び」

航平「…え、っ…!」

茜「昨日私は実家帰ってその足で行くからって。航平は1人で来てねって」

航平「......」

茜「待ち合わせ時間。何時かわかる?」

航平「...ごめ、俺」

茜「朝の9時。今何時」

航平「......午後3」

茜「しんっじらんない。何時間も待ったのに。電話したのに。出ないし」

航平「...ごめん。マナーモード」

茜「航平にとってウェディングドレス選びってその程度の予定なんだ」

航平「違う…!違うんだって」

茜「楽しみにしてたの、私だけだったんだね」

航平「......ごめん。今から」

茜「もういい...最低」

(M)航平「ブチッと音がして電話が切れた。俺にとってその音は彼女との何かが切れてしまう音に聞こえて、いてもたってもいられず着の身着のままで家を飛び出した。」

航平、走りながらスマホを耳に当てる。

航平「くそっ...!出ろよ…っ!出ろって!…っ、ちっく、しょっ…!忘れて、るわけ...っ...!ない、だろっ!」

足がもつれて、転び、身体が地面に打ちつけられる。

航平「なんで...俺......ここ...に...?……あ、そっか……俺、彼女に会いに……あれ……?
彼女……?名前......なんだっけ...」

航平、意識が途絶える。

航平「んっ…(目を開く)」

医者「篠原さん」

航平「あ…え?」

医者「…よかった。とりあえず、どこも怪我はないみたいで」

航平「あの……えっと。ここ、は…?」

医者「病院。篠原さん、道端で倒れてるところを救急車で運ばれて」

航平「あの、俺...なんで。えっと…倒れた?」

医者「そう。詳しいことは分からないけれど、パニックになって過呼吸起こしたみたい」

航平「パニック…?俺が…?」

医者「篠原さん。…私のこと、分かりますか?」

航平「…?」

医者「やっぱり…記憶が抜けてますね」

航平「…記憶、が…?」

(M)航平「先生の説明をまとめると、俺が若年性アルツハイマーっていう病気ってこと、次の日になれば消えてしまう記憶もあること、記憶の内容によっては年単位でごっそり抜け落ちてることもあるらしい」

医者「そんな状態だからね。篠原さん、しばらく入院して様子見ましょ?」

航平「はぁ......仕事、とかは」

医者「家族の方が連絡済みです。心配しないで」

航平「...あのぉ」

医者「はい?」

航平「先生はその、俺のことは、知ってたんですか?」

医者「ええ。私はあなたの主治医ですから」

航平「じゃあ俺、ずっとアルツハイマー?」

医者「そうですね。かれこれ一年弱くらいのお付き合いでしょうか」

航平「ふーん......」

医者「記憶はございませんか?」

航平「すんません......」

医者「謝ることじゃないです。それにしても、運ばれてきた時はビックリしましたよ。どこか怪我でもされたのかと」

航平「え?」

医者「通行人の方がね、通報してくださったんですが、走ってたんですって、どこかへ向かって」

航平「は、ぁ...」

医者「篠原さんの住んでいらっしゃるところと全く違う場所で」

航平「......」

医者「まぁ、そんなことを今話しても仕方ありませんよね。とりあえず検査の準備をしましょうか」

(M)航平「そんなこんなで、入院生活がスタートすることになった。自分が病気だという実感はこれっぽっちも湧かないが、寝て起きたらトイレの場所すら記憶できていない自分の様子から、次第に現状を受け入れるようになっていった」

航平「はぁ〜いい天気だなぁ」

(M)航平「手帳には、病院散策が日課と書いてある。廊下の窓から中庭を見下ろすと、穏やかな風に草木がなびき、入院しているであろう子どもたちが散歩をしながら笑っている姿が見える。ふと横を見ると、少し離れた場所で、俺と同じように中庭を見下ろしている、紙袋を持った女性の姿があった」

茜「…」

航平「…(茜の方を見て呟く)綺麗な人だな…」

茜「…(航平に気づいていない)」

航平「…あ。髪、跳ねてる…」

茜「…!(航平に気づく)」

航平「あ、っ。すんません」

茜「......あ…!…い、いえ…」

航平「(紙袋を指して)…いい匂いですね。たこ焼きですか?」

茜「...ええ。好きな人の…大好物で」

航平「へぇ!俺も好きなんです、たこ焼き」

茜「...ふふ。じゃあ、どうぞ」

航平「...え。でも」

茜「またいつでも買ってこれますし」

航平「じゃああの。お言葉に甘えて」

沈黙

航平「好きな人って、彼氏さん…ですか?」

茜「......分からない、です。今はもう。でも、好きで」

航平「入院してるんですか?」

茜「そうなんです。病気で。最近、知って」

航平「へぇ。いい彼女さんだなぁ...」

茜「...え?」

航平「だってわざわざ彼氏さんの大好物のたこ焼き持って会いに来たんですよね?俺だったらめちゃくちゃ嬉しいですよ」

茜「...っ......」

航平「幸せだろうなぁ、彼氏さん。俺もそんな彼女(欲しいなぁと言いかけて、涙目の茜を見て押し黙る)」

茜「…っ!」

航平「え、...え、っ...ちょ、ごめんなさいっ、俺余計なこと...」

茜「いえっ...大丈夫です...っ」

航平「ちょっ、大丈夫じゃないですって!...可愛いい顔が台無しですよ」

茜「ごめんっ...なさいっ......」

航平「そんな、謝ることじゃ...」

茜「私、後悔しててっ...!あの時っ、ひどいこと、ばっかり...」

航平「...っ、え...」

茜「時間になっても来ないし、でも連絡しても返事もないし...不安だったのにいざ電話に出たら忘れてたなんて言われて......凄い腹立って、絶対許さないって思ってたのにっ!この前航平のお義母さんから連絡来て入院してるって」

航平「航平って言うんだ。彼氏さん」

茜「......っ!」

航平「あ、いや。その。俺も同じ名前で。航平。好きな人が急にいなくなったら、辛いですよね」

茜「......っ…そう、ですね…」

航平「でも、今俺に話したことちゃんと彼氏さんに伝えてあげたらきっと大丈夫」

茜「......」

航平「俺が彼氏さんだったら、こんなに俺のこと大切に思ってくれてる人なら結婚したい!って思うし……なーんちゃって!」

茜「…ぁ……」

航平「まぁ、だから、その…遊びに来てよ。俺も1人で退屈だしさ。一緒にたこ焼き食べよ?辛いこととか悲しいこととか、1人で背負ってたら辛いだろうし。彼氏さんが治るまで、話し相手くらいになら、なれるから。まぁ、話してくれたこと全部明日には忘れちゃうんだけど」

茜「......」

航平「でも、君のことは忘れたりしないから」

茜「え、っ......」

航平「うん。絶対忘れない」

茜「...ほん、と?」

航平「約束する。だって、君ともっと仲良くなりたいし、君と色んな話がしたいから」

茜「…っ……そうですね、私も……あなたと……もっと、仲良くなりたいです」

航平「ふふっ。嬉しいなぁ。ありがとう」

茜「こちらこそ、ありがとう。こうへ」

航平「あ。そうだ。改めて、俺の名前」

航平、茜に右手を差し出す

航平「はじめまして。篠原航平って言います」

茜「……」

航平「あなたの名前は?」

茜「…私の名前は…千草茜と言います。はじめまして。…篠原さん(微笑む)」

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