ニューオーリンズのクッキー
2021/09/11
この夏、娘とニューオーリンズを旅行しました。ニューオーリンズの食べ物といえば、ガンボとザリガニぐらいしか知識がなかったので、とりあえず旅の始めは、フードツアーに参加しました。
ツアーの集合場所は、フレンチクォーターの中心部にあるお土産屋さん。ここでまず、ショートブレッドクッキーのサンプルが配られました。私も娘も、のっけからクッキーなど食べてしまったらこれから食べるものが美味しくなくなると思い、バッグにしまいました。家で犬の世話をしている夫のお土産にでもしようと思ったのです。
結局、クッキーはバッグの中で割れてしまい、夫にはちゃんとバーボンストリートのTシャツを買ったので、帰宅した翌日、おやつにいただくことに。パッケージの中で崩れた破片をお皿にあけて、ひとかけらつまみました。するとどうでしょう!口に入れて噛んだ途端、思わず佇まいを正して、娘と顔を見合わせました。ものすごく美味しかったのです。
じつは、私が現地で食べなかった理由はもうひとつあって、それは、市販のクッキーへの期待値が低いことなのです。工場で作られてパッケージされているクッキーは、人工的なバターとバニラの風味が鼻につくことが多く、あまり食指が動かないのです。ところが、このクッキーにはそれが全くない手作りの味、しかも、他で食べたことのない食感だったのです。
プラリーンという、ニューオーリンズ名産のお菓子があります。フランス人移民がルイジアナで手に入る食材で母国の味を再現しようとして生まれた、アーモンドやピーカンをペースト状にして砂糖で固めたファッジのようなスイーツです。それをショートブレッド生地で包んで焼いたのが、このクッキーなのです。中のプラリーンがそのまま味わえる部分と、砂糖が溶け出してカラメライズされカリカリになっている部分とあり、独特の食感と味の層が、後を引きます。
予想外の美味しさに目を見張ると同時に、崩れ落ちました。ニューオーリンズで買ってきたどのお土産よりも美味しいものを、私は買わずに帰って来てしまったのです。しかし、そんなことで泣き寝入りする時代ではありません。さっそく商品名をネットで検索すると、会社のサイトが見つかり、なんとネット販売をしていることを知りました。迷うことなく、お買い上げ。
届いたクッキーのパッケージに入っていた商品説明を読んで知ったのは、ナッツのペーストをショートブレッドで包んで焼いたクッキー自体は、レバノン料理のようです。レバノン出身である創業者の母親が、先祖代々受け継がれてきたレシピで家族や友達のために焼いていたクッキーが話題を呼び、商品化するに至ったそうです。
ルイジアナの食材で作ったフランス菓子を包んだレバノンのクッキー。なんともアメリカ的です。今回は、「サンプルはその場で食べるべし!」という教訓を得ましたが、考えてみたら、現地で買ったら帰りのスーツケースの中で割れてしまっていたろうと思うと、結果オーライなのでした。
Odi’s Delicacies
http://www.odisdelicacies.com/about_us.html
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