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だいすきな街。

東京都杉並区。
好きな古着屋さんがあったり好きなバンドたちの拠点があったり、昔からなんとなく中央線に憧れがあった。
約3年前に私はこの街にやってきた。
高円寺も阿佐ヶ谷も徒歩圏内。
それまでは通勤の便利さと家賃で選んだ何もない街に住んでいたので、活気ある商店街や街の雰囲気にとってもワクワクしたことを今でも覚えている。

一人暮らしを始めて何度か引越しは経験したけど、築浅のアパートばかりに住んできたので自分より歳上のマンションに住むのはこれが初めて。
外観がレトロだけど中はリフォーム済みでキッチンも広々。洗濯機はベランダだけどその分広くて洗濯物だってたくさん干し放題。何も不満はなかった。
なにより好きな街に住んでいるということが私をワクワクさせてくれたし、朝の中央線のラッシュだってなんとか我慢できた。

そんな生活にも慣れてきた頃、私は体調を崩して仕事を辞めた。
気分が鬱々として外にも出たくなくなって、街を歩く人たちが皆楽しそうに見えて怖くなった。いつの間にかコンビニやスーパー以外の外出を避けるようになった。
せっかく好きな街に住んでいるのだから元気になったら好きなお店や行ってみたいお店にたくさん行こう、そう思った矢先に流行り出したのが新型コロナウイルス。
ただでさえ無職でこの先の不安を抱えていたのに未知の感染症が流行するなんて夢にも思わなかった。不安だけがどんどん募っていく毎日。

そんなときでもやっぱりこの街は元気だった。
行ってみたい飲食店や好きなお店が次々とテイクアウト販売を始めてくれたおかげで"今週頑張ったらあの店のごはんを買って食べよう"と外に出るきっかけや気力を与えてくれた。
不安な気持ちの中、一人で一日中家に篭っているのは辛かった。トイレットペーパーやマスクが残り少なくなってこれからどうしようと真剣に悩んだり、スーパーへ行けばピリピリとした空気が嫌でも伝わってきて何も買わずに帰った日もあった。
きっと私だけじゃない、誰もが不安な日々を送っていたと思う。それでもお店の人たちはできる限りの対策をしつつ、いつも笑顔でおいしいごはんを提供してくれたのが嬉しかった。

それからあっという間に1年半。
私は随分元気になって好きだったお酒を楽しめるようになったし近所に友達もできた。ロータリーで夜を使い果たしたり変な人と知り合いになったりもした。
この秋、転職先が決まってこの街を出てゆくことになった。私に残された時間は恐らくあと1ヶ月半くらい。
それなのに世の中は相変わらずで、今でもテレビをつければ暗いニュースばかり。飲食店や劇場などの文化施設が槍玉に挙げられている日々に嫌気が差すね。
私にできることはだいすきなお店や行ってみたいと思っていたお店に行って応援すること。こんな状況で外に出るのはあまり良くないことだとは分かっているけど、しんどい時に助けてくれた飲食店に私はとても感謝しているし、少しでも力になりたいと思う。できる限りの対策をして、これからはうまく付き合っていかなくてはいけない、そういう時代だと思ってる。医療従事者の人から見たら怒られるかな…。

次の仕事もデザイン関係なのでいつかこの街のお店のデザインを担当できたらいいな、なんていつになるか分からない夢を抱いている。
今の私には食べて応援しかできない。だけど、いつか胸を張って"デザイナーです"と言うことができたなら、この街をつくる方面から携わっていきたい。
笑われちゃうかもしれないけど結構本気だよ。
30で死のうと思ってたけど、夢が出来ちゃったからまだ死ねないや。それまでは修行だと思って頑張る。
私の東京女子図鑑は高円寺阿佐ヶ谷編にて終了。だけどまた数年後戻ってくるかも??
とりあえず9月は東京思い残しツアーだ!だいすきな女の子たちとお酒飲んだり花火したり楽しみがいっぱい。
あとちょっとだけお世話になります、高円寺も阿佐ヶ谷もどっちもだいすきだよ。

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