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子供はわかってあげない【レビュー】【漫画】

「お兄さんを紹介してほしい」。その一言から、私の本当のお父さんを探す旅は始まった。

田島列島さんの新連載が始まった記念に、私が大好きな、この漫画を紹介させてください。田島列島さんの「子供はわかってあげない」といいます。

奇しくも夏のお盆休みにぴったりのボーイミーツガール漫画です。上下巻で終わるので、読みやすいのもポイント高いです。

高校2年生の夏。ヒロイン朔田さんは、同級生の門司(もじ)くんと、「魔法左官少女バッファローKOTEKO」きっかけで仲良くなります。謎の魔法少女はスルーしてください(笑
朔田さんのお父さんは、5歳の時に新しく来たのですが、その後の家族関係は良好そのものです。でも、記憶にもあるし、なんとなく心のどこかに引っかかる本当のお父さん。怪しい文字の書いた御札を、毎年送ってきているのも、どうやらその本当のお父さんらしい。いつか探偵にでも調べてもらおうか・・と思っていた矢先に、もじくんが言うわけです。

「俺の知り合いに探偵がいるよ。俺の、兄貴なんだ」

そして、始まる大冒険。果たしてお父さんには会えるのか。今何をしているのか。といったところです。

絵柄的には、伊藤理沙さんのような、線の少なく、がらっぱちな雰囲気。前述の「魔法左官少女」みたいな、小ボケがちょこちょこ挟まってくるので、正直これが受け入れられないと読むのはちょっと辛いかも(笑

でも、まず「子供はわかってあげない」というタイトルからしてステキだと思いませんか?

子供って、子供だと思っていても、意外と周りのことを良く見ているし、空気だって子供ながらに読んでいる。ましてや、微妙な家族関係を作るために、測らずも我慢を強いられていたりする

でも、ある夏の日。奇跡みたいな出会いがあったときには、「わかってあげない」のもいいじゃない。という子供からの反逆の狼煙。それは、子供と大人の間に位置する年齢だからこそ、掲げることが出来る狼煙で、「大人はわかってくれない」んじゃない。「子供がわかってあげない」という清清しい宣言なのです。

そして、紆余曲折で訪れるボーイミーツガールのすばらしさ。全体を通していえることですが、本当に瑞々しいという表現がぴったりで、ここまで素晴らしいボーイミーツガールっぷりは、正直他に思い当たりません。すべて、この瑞々しさが作り上げた結晶です。本当に素晴らしい。5年に一度出会えるか出会えないかの傑作です。

田島列島さんは、別冊少年マガジンで、「水は海に向かって流れる」の連載が始まったばかり。この機会に、ご贔屓にしてくださると、私がとても喜びます(笑



「欲しいものリスト」に眠っている本を買いたいです!(*´ω`*)