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半地下の家族

2019年の韓国映画「パラサイト」で世界的に有名になったのが「半地下」の部屋だが、私も以前半地下に住んだことがある。映画に出てくるほどの劣悪な環境ではなかったが、実際に共同玄関から4〜5段降りた高さにある個別のドアから出入りをし、やや高めの窓からは外を通る人々の足元が見えた。
当時は「チョンセ」といって多額の保証金を預けるだけで月々の家賃が要らない契約で部屋を借りていたが、同じ建物でも半地下となると保証金の額の差が結構大きく、背に腹は代えられまいと半地下に住むことになったのだ。
しかし、住めば都。意外と住み心地は悪くない。いわば天然の貯蔵庫みたいな感じで、断熱効果に優れているのだ。つまり夏は涼しく、冬温かい。まあ湿度が高くなりやすいのは欠点ではあったが、そんな時は床暖房&エアコンの除湿機能でジメジメを乗り越えていた。
その後、結局新居を購入してその部屋を出たのだが、引っ越しと同時に壁紙の貼り替えをすることになった。古い壁紙をはがした寝室の壁を見て私は驚愕した。びっしりと生えている黒カビ!私たちはこんな部屋で寝ていたのかと。やはり家賃が安いのにはちゃんと理由があるんだなと納得した。

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