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Tama Design High School 「未来を作る言葉のデザイン」のメモ・感想

2023/12/23、Tama Design High School「未来を作る言葉のデザイン」に現地で参加した。興味深かったのでメモ。

動画

なんと公式動画が公開されている。
自分でもまとめたものの、読むだけではあんまりピンとこない内容になってしまったので、ぜひ動画へ!

https://www.youtube.com/live/wj5Fr19mjW8?si=ZukhJerGYc4AXKVy&t=325

講師紹介

井庭 崇先生

様々な創造実践領域の研究を通じて、創造とはどういうことかを明らかにする理論の構築と、創造実践を支援するメディアの作成、および、社会論の研究に取り組んでいる。
(中略)
井庭研究室の学生とともに、70種類以上、計1700パターンのコツ・経験則を言語化してきた。また、パターン・ランゲージの作成方法や活用方法でも新しいアプローチを提唱・実践・普及促進している。

https://web.sfc.keio.ac.jp/~iba/index_j.html

本編

パターン・ランゲージとは

良い設計や実践の本質=コツを言語化したもの。
元は建築分野の本から提唱された方法論。後にソフトウェアデザインの方法論として発展。伊庭先生達は、さらに人間のいろんな活動への応用を試みている。

特定のテーマを設定し、そのコツを言語化し、キーワードにまとめている。

例:プレゼンテーションのパターン・ランゲージ

  • 「メインメッセージ」

  • 「心に響くプレゼント」

  • 「魅力ちょい足し」

  • 「テイクホームギフト」 etc

言葉を作る

特定のジャンルで上手くいってる人に共通する、見えにくい要素に名前をつけることを指している。コツ=骨で、欠かせないものを指す。

要素に名前をつけるために、まずは上手くいってる人にインタビューする。「保育」がテーマなら、その分野の研究者経由でうまく行ってる先生を紹介してもらう/「本質を捉える」がテーマなら、哲学者や伊庭先生自身を誰かにインタビューしてもらう といった形。

うまく行ってる人からWhat, Why, Howを聴いて、伊庭先生達が何度もディスカッションし、抽象化・体系化・言語化し、最終的にカードや本などの形にまとめる。

その結果を他の人の実践のナビゲートに役立てる。

概念を作る

伊庭先生が作った概念の例

  • 「無我」

    • 「(作曲家曰く)曲がこうしたいからこうなった」「(脚本家曰く)物語の中で登場人物が勝手に動く」的なこと

    • 頭で考える段階の脱却、作為が意識から削ぎ落とされたところでの創造

  • 自己の「栽培」

    • 記憶・無意識・深層心理を育むという概念

    • 自然で深い創造的な思考・実践には、豊かな土壌の上に成り立つ

    • (体験・会話・読書などを通して)記憶して、感じて、忘れる

    • その後コンポストのように、無意識下でいろんな出来事が分解・蓄積・熟成される説

    • 忘れて変容した記憶が多ければ多いほど人格が豊かになる説

パターン・ランゲージ作成の手法

カードや本だけでなく、別の方法で作ることもある。

  • 漫画

  • 歌詞

    • ある程度抽象的なので、作り手ではなく受け取り手が完成させるという特徴がある。受け取り手の数だけ完成形がある。

パターン・ランゲージをまとめる意味

コツを伝えて、上手く行ってない人を支援すること。
特に、マニュアル化できないがコツはあるような領域で人を育成するにあたって、放任主義にならないようにするために使われたりすると役立つ。

感想

こういう抽象的な分野に対して、自分で名前をつけて研究していくのもアリなんだなぁというのがまず驚きである。

このnoteでは、話の主軸となるパターン・ランゲージについてまとめた。が、講義は哲学的な話も多分に含まれていて、本当はそれこそが面白かった。しかしこのnoteでまとめるのが難しくて断念した。無念。

また、コツをまとめた完成品としての本やカードの、イラスト・構成・装丁などを、先生自身が全部手を動かしてやっているとのこと。プロに依頼する手もあるだろうに、驚きだ。
しかしこれには訳があるとのこと。
本文では割愛したが、伊庭先生が作った概念の一つに「ジェネレーター」という役割がある。これは「外から評価するだけではなく、共に作るし手を動かすし評価もする」という、チームにおける役割を指す。
先の全部自分でやるという動き方は、まさしく「ジェネレーター」的である。自らが作った概念を体現しているのも興味深かった。

総じて、自分の生活で直接活用するような話ではないかもしれないが、勉強になった。この日に聴講したことが、いつか私自身の「栽培」に繋がれば嬉しい。