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2023年紅葉まみれキャンプ旅 最終日10泊目 石蔵山村民憩いの森
撤収を終えて地図を広げて今日のルートを考える。
ここから一気に帰るには遠すぎる。やっぱりどこかに一泊しなきゃ。一山越えれば真湯野営場はすぐ、真湯も大好きだけど、石蔵山も素通りするのは悔いが残る。真湯をチラッとだけのぞいて真湯温泉センターで一風呂浴びて、一関を横断して石蔵山村民憩いの森で一泊。
うん、そうしよう。今日のルートが決まった。
石蔵山は8月にも訪れたことがあるキャンプ場だ。真湯野営場はまったり静かな森の中に沈むようなキャンプ場で大好きになったけど、じつは石倉山には大きな悔いを残してきた。
暑さでバテバテでようやく設営したものの、まったく日陰がないのでダイヤモンド張りにタープを張ってぶっ倒れていた。期待していた栗駒山に沈む夕陽も生憎の天候に阻まれ散々だったけ。よーし、リベンジだ。
つぶ沼から真湯野営場に抜ける栗駒焼石ほっとラインの紅葉が素晴らしかった。この紅葉は完全に予想外、存分にまみらせてもらった。
思わぬプレゼントを貰ったみたいなシアワセな気持ちになった。
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真湯野営場には人っ子一人いない。森に埋もれるような佇まいのキャンプ場だ。たしか今月いっぱいで冬季クローズに入るはず、きっとここにも来年来るだろうなー。
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いい冬越せよ。小さな声で別れを告げて、すぐ隣の温泉センター600円へ移動。
透明度10cmの茶色の湯はいかにも効き目がありそうで大好きな温泉だ。8月はアブに悩まされたけど、今日は岩肌を彩る紅葉を見ながらの入浴で気持ちがいい。芯までポカポカに温まって入浴終了。
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よーし、いよいよ石蔵山だ。
一関市を横断する1時間のドライブ。
一関市街地へ向かう途中、栗駒市右折の標識近くの「山草小屋」にちょっと寄り道してラーメンを食う。この店も8月に来た時にも寄った店だ。
ラーメンが特別好きってわけじゃないけど、立ち寄って気軽に一食となるとラーメン屋になることが多い。日本全国どこに行ってもラーメン屋はあるけどみんな味が違うってのが面白い。ラーメンって完全に日本のソウルフードだね。
食べたのは味噌ラーメンと焼きおにぎり。辛めの味噌ラーメンと甘味噌のおにぎりがベストマッチ。この店も温泉センターと同様に、真湯野営場から石蔵山へ向かう時には外せない。
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踏切をわたって山へ登り口で気を整える。
車来るなよ、間違ってもデカいのだけは来るなよ。
念じながら細い道を登って行く。やがて頂上に出て見晴らしが広がる。キャンプ場は少し坂を下ったところだ。
だーれもいない。
だったらあそこにも人はいないかも。一段下の岬のように突き出た場所に行く。よっしゃ、ここにも誰もいない。8月には伸び放題だった草も、刈り方は荒いけど草刈り機が入ってて設営もしやすそうだ。
ここをキャンプ旅最終日のキャンプ地とする。
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ここがいちばん見晴らしがいい
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栗駒山への日没、リベンジ大成功。
いい夕陽でございました。この夕陽を独り占めで眺めるシアワセ、キャンプに来てよかったと思う瞬間だ。
ところが石蔵山のポテンシャルはこんなもんではなかったのだ。夕陽に小躍りしている俺を見て「へーえ、あんたこの程度でいいの?」石蔵山の神様は笑っていたのかも知れない、
そして翌朝、驚愕の景色を見ることになったのである。
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「早起きは三文の徳」この朝は三文なんて小銭じゃなく分厚い札束、ごっそり得した気分だった。
下界一面を覆って大きくうねる雲海。「うわー、すげー」とため息交じりに小声を漏らすだけだった。大声を上げようもんなら吹き飛んで終わってしまいそうで、小さく声を上げるので精一杯だった。
こんな風景に直面したのは初めてだったし、できれば誰かと幸福を分かち合いたいのだが誰もいない。完ソロの独占欲も消えていた。
一人だけで見るのがもったいなかったのだ。こんな気持になったのは初めてだった。
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ホント、石蔵山はポテンシャル高いわー。山はまだ隠し玉を持っているんだろうか?
そして陽が高くなり雲海も消えて景色は平常運転に戻った。
しばらくは興奮が収まらなかったが、時間が経てば腹も減る。
飯を炊いて昨夜の残りのレトルトカレーと味噌汁代わりの素ラーメン。「感動の雲海のあとにラーメンライスかよ」我ながらショボさに笑いが出た。
最後の最後にいいものを見せてもらった。石蔵山は「8月にも来たし、また今度でもいいか」と一瞬でも思った自分にドロップキックを喰らわしたい。
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そしてまた、車登ってくるなよーと念じながら坂を降りた。
山を降りたら一直線に帰るだけなんだけど交通費節約のためにR4をちんたら走り、仙台市の混雑を避けるために大和IC→白石ICの間だけは奮発して高速道路を走り、夕方には無事家に着いた。
これにて2023年紅葉まみれキャンプ旅終了だ。
7泊くらいの予定が、もっともっとと10泊には延びたけど、大満足のキャンプ旅ができた。10泊中無料キャンプ場8泊、宿泊料金1600円、完ソロ7泊。寝るだけじゃなく、内容的にも濃いキャンプばかりだった。
次は無いかも?と思ったのはきららか野営場と芦野公園オートキャンプ場くらい。この2つのキャンプ場だって自分の趣味嗜好にはちょっと合わないかなと思った程度で、普通のキャンパーなら十分満足できるキャンプ場だと思う。同時にキャンプに対する自分の趣味趣向はけっこう変態じみてるのかもと気づかされたキャンプ場でもあった。
2024年のキャンプ旅もぜひ計画しなくては。いや、実現させなくては。