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キャンプ飯とご当地名産品と調理機器のこと

キャンプ場を転々と移動していると、その土地の名物や名産は食べてみたくなるのが本音。道の駅や物産館、スーパーやデパ地下など、それほど苦労しなくともご当地の特産物は手に入れることができる。

それをキャンプ場で調理すれば「◯◯に来ています。◯◯といえば△△が有名、△△飯食べてまーす。キャンプ飯最高!」といった映え写真も投稿できるんだろうけど、一度たりともやったことがない。
理由は至極簡単、ご当地食材を活かす調理ができないからだ。

余り物全部のせ丼

キャンプに持って行く調理機器は、兼用を兼ねられる事が大事と思っているから少ない。角型アルミクッカーセットと普通の家庭用フライパンと大量のお湯も沸かせる丸型飯盒しか持ってない。

大量のお湯を沸かして蕎麦、この後炊事棟に走って流水でしめる
夏の定番食


角型クッカーセットは大小2つの鍋とフライパンでワンセット。流行りのメスティンさえ手にしたこともない。
それでも炊飯もできるし煮物焼き物もできる。インスタントラーメンも割らずにそのまま入るし、角を使えば湯も注げるからケトルもいらない。

フライパンは万能の調理器具。テフロン加工で焦げないし深さもあるので、煮る焼く炒めるなんでもできる。
流行りのマルチグリドルを使ってる人を見ると「この人も前はフライパン使ってたんだろうな。フライパンがかわいそう。」と思ってしまう。マルチグリドルにできることは、フライパンでもできると思うし、フライパンは絶対持っていると思う。なぜマルチグリドルが一斉に勢力拡大したのかが不思議でならない。

「キャンプに行ったら朝はホットサンドが定番、だからホットサンドメーカー買いました」よく見る朝の風景だし、朝のホットサンドはたしかに美味い。だから作ることもあるけど、フライパンでも遜色なく作れるし石油ストーブの天板直乗せで作ることもある。朝の一瞬のために専用機器を増やすことはない。

フライパンホットサンド

水蒸気炊飯ができる飯盒?なにそれ?値段を見てさらにびっくり。
クッキーの大小2個使えば水蒸気炊飯もできる。一度やってみたけど「簡単じゃん」でそれっきり。手持ちの調理機器では水蒸気炊飯に2個使うとお湯も沸かせなくなってしまうからだ。
水蒸気炊飯は焦げない。それはわかるけど、ガスや固形燃料で炊飯しても焦げない水分量と火加減を覚えればいいだけのこと。なにより普通炊飯で炊いた飯のほうがずっと美味い。

水蒸気炊飯

コーヒーは豆を挽いてドリップして...。もちろん香りもいいし美味いのはわかりきってる。でもそのために専用機器を準備するのが嫌なのだ。
キャンプの機器は兼用できるって方が大事だと思っている。コーヒー用のマグカップも持って行かないし、前夜に飲んだ芋焼酎マグカップをさっと洗ってコーヒーを飲んでいる。インスタントコーヒーだって家で飲むより十分美味い。ロケーションが家以上のものを補ってくれるからだ。

作った料理はクッカーから直食いだから皿も持って行かない。そうなると丼ものが多くなる。洗い物も少なくなるし丼は大好きだ。
調味料もごくわずか。塩胡椒と醤油兼用の麺つゆと練りわさびくらいしかない。流行りのアウトドア用調味料にも興味はない。あればもっと美味しくなるのはわかっているけど、そこに手を伸ばしてしまうとモノが際限なく増えることになるからだ。

このお粗末な装備で丹精込め育てられたご当地食材を美味く調理できるわけがない。
それも日没と争う短い時間で、時にはヘッドライトの薄暗い光の中で調理するんだから、機器も調味料も揃っている明るいキッチンで作る以上のものなんてできっこない。

優れているものと行ったらロケーションくらいしかないのだが、それだって日没と時間の戦いだし、風も吹けばホコリも舞う。飛んで火に入る夏の虫もどんどん飛び込んでくる。
調理の腕だってたかが知れてるし、どうせバカ舌だし、名産品が泣くような料理になるのはわかりきっている。どこへ行っても代わり映えしない同じようなものばかり食べている。

あるもの全部乗せ丼

どうしてもその土地の名産物・特産物を食べたくなったら、迷わず食堂へ行く。
土地の名産をいちばん美味く調理できるのは、その土地の料理人に調理方法も含めてすべて任せるのが最良だからだ。
呑みながら食べられないのが残念だけど。

テント周りを煌々と明るくして、それほんとに全部使うの?と思うくらい調理機器と調味料を並べ、テーブルにランチョンマットまで敷いて食事を楽しむ人もいる。
それはそれでその人の楽しみ方で、まったく否定はしないけど、「俺にはあそこまではできないなー」と酒のアテに遠くから眺めているのだ。

まあ、貧乏キャンパーの妬みだね。それだけのこと。


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