犯罪者の矜恃
イジメは悪。暴力も悪。差別も悪。
大なり小なり他人を意図的に傷つけて虐げる行為は、どんな理由があっても許されない。
それが、子供の頃の過ちだったとしても?
(※この記事は去年の七月頃に書いていたものなので、内容が少し前の話になっています。)
ドーモ、アイザワです。
世間が選手たちの活躍に湧いている中、なんだか腑に落ちない事があるのでこうして書き連ねています。ドーゾヨロシク!
◇◇◇◇◇
もはや周知の事実なのでどの事柄かは詳しく語らないが、過去に犯した罪を白日の元に晒されたことで表舞台から降りることになった人達がいる。
※その人達がやらかした事に関しては、ここでは言及しない。アイザワに人を裁く権利は無いからだ。
その負の部分が明らかになったのは、悪事を絶対に許さない人達の涙ぐましい努力によるものだ。
【過去の罪を隠して表舞台に蔓延る極悪人】を見事討ち取った彼等を褒め称える人、正義感を燃やして追撃を仕掛ける人もネット上には一定数いるだろう。
かくして、皆の力を合わせたことで悪い奴らは一人残らず排除された。
めでたしめでたし。
……となればいいのだが、ここでひとつの疑問が生じた。
彼らは本当にヒーローだったのか?
◇◇◇◇◇
たとえば、青い鳥かなんかでほんの少し検索してみれば件の動画がわんさか出てくる。しかしそれは公式のものではないらしいので、正式な手続きを踏まずにネットにアップされた……つまり無断転載のもの。
無断転載は立派な犯罪である。
さらに言うと、匿名性を利用して罵詈雑言を吐き出す行為も多数見られる。
誹謗中傷も当然犯罪になりうる。
これが何を意味するのかはもうお分かりだろう。
本来悪事を暴いたヒーローであるはずの彼らも、犯罪者の一員なのである。
おおブッダよ、まだ寝ておられるのですか?
今やこの世はあなたの代わりに裁きを下そうと躍起になるモータル達で溢れかえっております。
過去のイキリエピソードとして自ら語り出すような方はまあ論外なのでその辺は仕方ないとしても、正当な方法で当時の情報をどうにかした人ってのはどれぐらい存在するのだろうか。アイザワは知らない。
◇◇◇◇◇
今や個人情報を他人が簡単にどうにかできる時代。
テレビジョンで活躍する人間たちに黒歴史やイキリエピソードなんて見つかろうものなら、英雄気取りの奴らがすぐに嗅ぎつけて全てを暴いてしまう。
別に過去のことだからとやかく言うなとかもう許してやれだとか、そういう綺麗事は面倒なので言わない。そういうのはあくまでも当事者同士の話だから。
勿論、酷い事をした輩に怒りを覚えること自体は間違っていないと思う。
理不尽に傷付けられた人達は確かに存在するし、たとえそれが自分の人生に関係の無いテレビやスマホの向こうの人だったとしても、反射的に悲しみや怒りを覚えるのは至極当然の感情だろう。アイザワもそういうニュースを見たら人並みに腹も立つし悲しくもなる。
しかし、その悪者を叩く権利が人間全員にあるワケではない。
実際に傷付けられた人達なら、まだその理不尽に抵抗する権利がある。法のもとに裁かれる権利もある。人間としての最低限のルールは守られなければならない。
降って沸いた理不尽にどんなにムカついたとしても、そこは(当事者達が許可しない限り)第三者が踏み入っていい場所ではないのだ。
それでも、その人達がやらかした悪事を許せないなら……許せないものはもはや仕方が無いので、徹底的に吠えて刺して噛み付いて怒り続けるしかないだろう。
この騒動が終わっても、
当事者がみんないなくなっても、
自分自身が死んだとしても。
その怒りを忘れた時、ヒーローだった人達は『匿名性を利用して他人を傷つけたクズ野郎』に成り果てる。
どんな方法であれ誰かを傷つけたのなら、それぐらいは覚えておくべきだろう。
……とまあ、偉そうに書いてはみたけれど。
冒頭で書いた通り、アイザワに人を裁く権利なんてものは無い。他人の人生に必要以上に首を突っ込むつもりも無い。
でも「他人の過去を掘り返してサンドバッグにして正義の味方気取りをする」状況はどう考えても良くない。やさしみがなんにもない。
せめて少しでも早くこの息苦しい状況が終わってくれればよいのだけれど……
(おしまい)
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