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30代の知的な女性が二人で来店した。そのうちの髪の長い彼女が話してくれた。 「大学のときの先生が女性向きのイタリアンレストランを始めたんですよ」 シェフとしてというわけではなく、オーナーとして。 彼は、都内O線沿いのおしゃれな街に、女性ウケを狙ったおしゃれなイタリアンレストランを始めた。わりと順調にお客さんが入り始めた。 お客さんが 「ああ、あそこの席に座っている女性、きれいですね」 っていうんですけど、誰も座っていないんです。 「でも、その大学の先生も、そういうの見えるっ
2022年の10月になって、大事な指輪をなくしてしまった。 その指輪は、母方の親類に関わる指輪で、ぼってりと丸いフォルム、ずっしりと頼もしい重みがあって、私は好んで身につけている18金の指輪だ。 それがないことに気がついたのは10月に入って3日目くらい。そこから2週間も探し回っていた。 店のいつもの定位置にあるのかもしれない。 ない。 では、自宅のあそこか? いや、ない。 それなら、車のあそこだ。 ない。 いつも持ち歩くカバンの中のポケットの一つ一つに手を突っ込んでみた 。
ある道に、秋に白いワンピースを着た人がいて、それには気がついたけれど、それは普通の人かと思って通り過ぎた。 場所はもう忘れたけれど・・・。 3時間後にひきかえして再びその地点を通ったら、まだその場所にいた。 でも、そこで誰かを待っているだけかな? 道を歩いていて、知らない人がその道にいたとて、誰も気にしない。 生きていようが、亡くなっていようが・・・。 神戸に、不自然に二股になって再び合流する道があって、真ん中に木があるんですよ。 全国のあちこちに存在するいわゆる「呪いの