ダニーデン24日目
昨晩は、長男が一番早くベッドに入ったため、彼と一緒に私も就寝。
朝起きると、長男が作成したカードに加え、姉妹が夜遅くまで起きて頑張って書いた担任の先生へ渡すカードが並んでいた。
似顔絵が担任の特徴をとらえ、とても丁寧に描かれた長女の長文カード。
文字数の少なさをイラストとカラフルな色で塗ってごまかしたような、しかしキュートな次女のカード。
画が苦手なのに、なんとかなんとか担任の似顔絵をかいて頑張った長男のカード。
それぞれの個性が出た素晴らしいプレゼントになった。
SPEIGHT’S Ale House
子どもたちを学校へ送り、夫とダニーデン最終日のランチ。
選んだお店は街の中心地にある、歴史を感じるレンガ造りの建物。ダニーデンといえば、SPEIGHT’Sと言われる1876年創業の老舗ビール醸造所。
ダニーデンどころかニュージーランドを代表するニュージーランドビールがここダニーデンで生まれたのだ。
ダニーデンの観光目玉の一つとなっているこの醸造所には、常に大型観光バスが停まり、団体客もそのビール作りの工程ツアーに参加したり、歴史を学んだり、3つ星のブランドロゴ入りお土産を購入したりと、つねに賑やかな場所だ。
もちろんレストランも併設されており最終日のランチは歴史あるダニーデンを代表するこちらに決めた。
レストランに一歩入ると、先日訪問したダニーデン発の新しいビール醸造所”エマーソンズ”とは対照的な歴史を感じる古い建物に、照明を落とした店内。入口近くのバーカウンターで昼からビールを楽しむ人。奥には2階席もあるテーブル席が広がり、多くの観光客を受け入れることができそうだ。
店内の至る所に、100年以上の歴史を感じる思い出の品々や写真が飾られており、ちょっとした博物館のようでもある。大きなスクリーンではスパイツがスポンサードをつとめるダニーデンのラグビー名門チーム”ハイランダーズ”の試合が流れていた。
このハイランダーズには2013年~2016年まで日本代表の田中史朗選手が所属していたようで、田中選手はダニーデンは有名な日本人なのだと、街についてから知った。
レストランの食事はといえば、ビールに合う料理ということでソーセージやハンバーガー、そしていつものクラムチャウダー。
オシャレというよりも大型ビアホールの料理という感じ。
食事を終えて、お隣のお土産ショップものぞく。ロゴ入りのパーカーやTシャツなど、アパレル商品が多い。
日本でアサヒやキリンビールがロゴ入りグッズを作っても売れるのだろうか?なんて考えながら、国民性の違いについて考える。
アメリカ横断旅行中もシリンコンバレーのいくつかの企業でロゴ入りグッズを売っていた。大学でも衣類を中心にロゴ入りグッズが人気のようだった。
以前、大阪門真市のパナソニックミュージアムに行ったときは小さなロゴ入りのコーヒーカップや鉛筆などが主流だった。
ロゴ入りアパレル商品が売れるのはそれなりにそのブランドに価値がある。もしくはブランドへの愛があるから恥ずかしげもなく身に着けられるのか。
もちろん、ビールが美味しくなるというビールグラスも様々なタイプで売られており、夫は最後まで悩んでいたが、持ち帰りが面倒なため、諦めた。
また、醸造所の見学ツアーは1日数回実施されており、ツアーの最後にはビールの飲み比べが無料でついているらしい。
こちらも夫がもっと早く知っていれば・・・と残念がっていた。
お土産ショップのすぐ脇には、工場で使用されているダニーデンの湧き水を自由にボトルに入れて持ち帰ることができる蛇口があった。この湧き水を利用しているからこのスパイツのビールは美味しいと評判なんだとか。
道路を挟んで系列らしいホテルもあった。ダニーデンではこのスパイツは大きな企業なのだろう。
残念ながら、現在はこのビール、日本のキリンビール傘下にあるようだ。
デザートはロズリンのカフェカルチャーへ移動。
2回目の訪問だが、やはりこの日も天気が良かったので、窓からはダニーデンの街並みとその先の海を見渡すことができる。
小さいながらもやっぱり落ち着くカフェ。
チョコレートチーズケーキとオーガニックジンジャーエールをいただく。やっぱりはずれなし!ダニーデンのカフェめぐり、本当に素晴らしいお店ばかりでもっともっと新しいカフェを発見したかった。
LAST DAY@SCHOOL
この日は少し早めに学校へ。
長女と次女のクラスで友達の前で感謝のスピーチをするので私たちも見にいくことになっていた。
私たちが教室に入ると、相変わらず机には座らず、生徒は先生を囲んで地べたに座って話を聞いていた。中には先生の後ろにある先生用の椅子のような席に座って聞いている生徒もいる。
なんて、リラックスした自由な空間なのだろう。
先生が来週以降の予定などを説明し、最後に日本から来たお友達が今日で最終日だと告げる。そして、二人の挨拶。
まずは次女が発表。続いて長女。昨日夜遅くまで練習した原稿を見ながらゆっくりと英語で伝えることができた。
その後、クラスメートから優しいコメントをもらい、ここで過ごした3週間という短い日々を思い出し、涙が出そうになるのをこらえた。
クラスはここで終了し、家族で担任へご挨拶。
長女と次女から担任の先生へ力作のサンクスカードを渡す。そしてクラスメートへは京都の義父母に急遽国際便で送付してもらった金平糖と折り紙をそれぞれのクラスに渡した。
その後は、仲良しだった子どもたちと記念写真。住所の交換などをしてお別れをした。
当初、嫌がっていた長男と次女も最後はとても笑顔。特に長男は喧嘩ばかりしていたサッカー仲間のモスとセナとそれぞれ記念撮影。
お互いにはにかんだ笑顔が忘れられない。長男はようやく慣れてきたお友達と別れるのがなんだか少し寂しそうだった。
そして、学校隣のコンビニで恒例のアイスを食べ、3週間通った愛すべき小学校を後にした。
DUNEDIN PUBLIC ART GALLERY
学校からそのままオクタゴンのダニーデンパブリックアートギャラリーへ。こちらも、家のオーナーおススメの美術館。
この辺りは何度か通ったことがあったはずだが、入口が小さく、一見するとここに美術館が?というようなビルの中にある美術館。
しかし、一歩中に入ると、3階まで吹き抜けになった開放的なロビー。外からはまったく想像できないほど明るく現代的なデザイン。
パブリックと名前がついているだけあり、入場料は無料。
2階の特別展はカラフルなハンモックの海が広がり、その上を子どもも大人も転がるように渡る。ハンモックに転がるとコロコロ何か音がすると思えば、ハンモックの横にこちらもカラフルなペットボトルの蓋が大量にぶらさっがっている。
他の部屋では漁師が使う網が空中にぶら下がり、その網にペットボトルやプラスチックがぶら下がっている。
シンプルな展示ながら、環境破壊から地球を守ろうという気持ちが表れている。ニュージーランドではペットボトルをあまり見ない。スーパーでもガラス瓶に入ったドリンクや紙パックに入ったものが多かった。
その先を進むと大きな窓に面してカフェルームがあった。窓からはオクタゴンの景色が見えた。ダニーデンに来たばかりの頃、このオクタゴンに来たことを思い出した。
オクタゴンを意識したような8角形のテーブルに座るとテーブルは茶葉入れを兼ねており、ガラスの下に様々な茶葉が置かれている。テーブルの上のガラスを開き、好きな茶葉を自ら選び運ばれてきた茶器に自ら茶葉を入れてお湯を入れるスタイル。
なんてオシャレで楽しいアイデアなんだろう。茶葉の種類も20種類以上あり、ここにもお茶好きな英国の影響を感じる。
壁一面に描かれたカラフルな現代アート。ゆったりとしたソファに座って、大きな窓から道行く人々を眺めるのも良い。
1階にはキッズのプレイルームも完備。黒板に自由に絵を描いたり、木のブロックで遊んだり。
子どもたちがキッズルームにいる間、私たちは1階のモネなどの絵画を中心としたアート常設コーナーへ。
図書コーナーもあり寝転がって自由に本を手に取ることができる。LIKEとMOREという掲示板には改善してほしい点や嬉しかったことなど気軽にコメントを残せる場所もある。
とても、市民目線にたった素晴らしい美術館であった。
夕ご飯は自宅へ戻り、食材を使い切る。家族で暖炉にあたりながら、ダニーデン最後の夜はロード・オブ・ザ・リングの第2章を見た。
年に一度、新学期のクラスで撮影するという集合写真に入ることもでき、入なんとか出発までに購入することができた。
入学してすぐに先生から集合写真を撮ったけど、欲しかったら早めにここに連絡してね。と連絡先の書いた紙をもらった。
当初は、ダニーデンにある店だと思っていたので、取りに行けばいいね。なんて話していたら、なんと、その写真屋さんはダニーデンではなく、クライストチャーチにある写真屋さんだった。
すべてオンラインで対応しているので、店をダニーデンに持つ必要がないのだ。たしかに、ダニーデンで写真屋さんを見たことはなかった。
クラスの集合写真は1枚に全体写真、それぞれの名前。そして大きな本人の顔写真が入ったものだった。日本とは異なるタイプで海外の映画で見たことがあるな。と思った。
子どもたちも当初その写真を見たとき、日本では見ないタイプの記念写真で”うわー、すごい!”と声をあげて喜んだ。
クラスメートひとりひとりの名前が入ったこの集合写真はここダニーデン生活における何よりの記念品となった。
将来、この写真を見ながらここで生活したことを子どもたちが思い出してくれたら嬉しいなと映画を見ながらぼんやり考えていた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?