生存報告(2023/12/27)(極私的オブザイヤー2023)

極私的オブザイヤー2023(コンテンツ部門)

毎年毎年この季節になると暮れていくものでして、今年ぐらいは暮れないんじゃないかと思っていてもやっぱり暮れている。何故ならそれが年末というものだから。というわけで今年も色々とあったわけですが、医学部5年生の病院実習と結構重めのお仕事など重なって相当追い詰められていた西暦2023年の中でも、なんとか観たり聴いたりしたものの中から、今年の10選を挙げてみます。ジャンル無用。1から10までの数字は順位ではなく順不同です。

1.スーパー3助とみなみかわの『伝家の宝刀、抜かせんなラジオ』(お笑いラジオアプリGERA)
2.『マルコポロリ!』新旧R−1戦士が激突!ピン芸人の不満爆発SP(4月23日放送、カンテレ)
3.劇団かもめんたる『S.ストーリーズvol.2』(8月7日〜、座・高円寺1)
4.「さんまのお笑い向上委員会」体張り芸人のコンプラ対策!クズ芸人がキャラ崩壊問題(1月21日放送、フジテレビ)
5.『ウエストランドのぶちラジ』(YouTube)
6.エル・カブキ月一単独ライブ『世界一決定戦』ゲスト・TKO(2月23日、秋葉原ZERO-G)
7.『重要物語』(1月26日〜、赤坂レッドシアター)
8.『小松海佑理解王』(5月26日〜、配信)
9.ダウ90000『また点滅に戻るだけ』(5月17日〜、本多劇場)
10.新崎人生選手のスパニッシュフライ(6月25日、新崎人生30周年記念仙台大会)

以下補足。
1。今年の初夏、茨城県の病院にひと月ぐらい実習で一人暮らししてたときに延々ヘビロテしてた。何なら良い回は2回聴いたりとかも。高校生のころ『今田耕司と東野幸治のカモンファンキーリップス』(文化放送)聴いてたときと同じ顔しながら。YouTubeに移ってからの『復讐ラジオ』で槙尾さんと揉めたときは本当に心を痛めてたけどなんとか落ち着いて良かったです。
2。永野さん無双回。一つのテレビ番組の方向性を一人のタレントが決定づけてしまうという、ちょっと異常なことが起きていたと思う。「東京ではヘコヘコな狂人」テロップの永野さん顔アップ画面、スクショしてお守りにしてます。
3。かなり濃縮されたう大汁が味わえた公演だったと思うけど、特に「ここは託児所」は令和的コンプライアンスの概念をある意味で完全に無効化していた。思想とか正しさとかなんかよりも単純に面白さが勝ってしまうという、お笑いのヤバさが具現化されていたと思う。う大さんに思想がなくて本当に良かった。
4。あばれる君がコンプライアンスをラップで歌っていたらメガネのツルがなぜか取れて床に落ちてしまう回。「どんな現象?」って陣内さんのガヤツッコミを意識の遠くで聞きながら倒れ込んで笑った。何でこんなに面白いんだ、って確認のために見返してその度に倒れ込んで笑っている。何なんだ一体。
5。毎回観てるYouTubeは今はこれだけ。何というか、本当にちょうど良い。そして井口さんの斬り方。公開収録で来たお客さんに対して「ここ、なんかみんなゆったりしてますけど、『居場所』ではないですからね?」ってこんなにえぐい本質を突きながら笑わせるという。毒舌っていうか説法に近いよなと。
6。TKOにちゃんとオファーした、っていう時点でもう大勝利ですよ。面白いことを思いついて、こんな面白いこと思いついちゃったで終わらせない、こんな面白いこと思いついちゃんだったら動かねえとまずい、って思えるかどうかが大事だなと改めて思い出させてもらいました。選ばれし者でなくたって、恍惚と不安を抱く資格はある。
7。ブルー&スカイの次回公演のチケットがいま現在財布の中にあるかどうかで人生の意味はだいぶ変わるって本気で思ってる。ブルー&スカイが昼も夜もずっとナンセンスを書き続けて、それでちゃんと良い暮らしが出来るような国が良い。絶対に。これはもう、絶対にそうだ。
8。人選も含めて企画として単純に素晴らしいし、これ誰が作ってるんだろう?って気になってしまう作品はそれだけで良い作品。本当にどこの誰がやってるんだろう、すごいっすよね。こういう種類の激烈面白配信限定コンテンツがちゃんとお金になる世の中になればもっと面白くなるんだけど、っていう希望と、あとはまだ全然そうなってない悔しさみたいなのもやっぱりちょっとあったりはする。
9。蓮見翔さんはいつか国語の教科書に載ってもおかしくないレベルの人だと本気で思っている。三谷幸喜とか宮藤官九郎とかのラインじゃなくて、大江健三郎の次が蓮見翔、みたいなの、全然あり得るからな本当に。
10。この年齢で若手がやってる技を見て、かっこいいって思って新技に取り入れてしまう新崎人生選手(当時56歳)があの肉体なんだから、せめて56歳までは頑張って生きるんだぜと思う。今年は本当に忙しかったのもあってプロレスも全然観られなかったけど、唯一サムライで観た興行は10.15のみちのくプロレス矢巾大会で、だから今年のベストマッチはフジタ"Jr"ハヤト対高橋ヒロムだ。ハヤト選手が56歳で新技を出すところが観たいから、それまでは元気でいないとなって思う。人生、まだまだ先は長いよ。

極私的オブザイヤー2023(ネタ部門)

何をもって「ネタ」と言うのか、みたいなところはあるけど、いわゆる芸人さんがやる漫才やコントなどの中から今年観た中で5選。ネタの名前はこちらで適当につけています。これも順位とかでなく順不同で。

1.サスペンダーズ「無人島」(『キングオブコント準決勝(2日目)』9月22日)
2.ダウ90000「ファックス」(『20000』12月24日)
3.ルシファー吉岡「婚活パーティー」(『割拠、ひとりコント』11月12日)
4.ハマカーン「コンビならではの特技」(『ソウドリ』7月25日)
5.レインボー「見送り」(『ネタパレ』8月11日)

1。キングオブコントの準決勝、初日と2日目の全ネタでこのネタが完全にベストだった。決してあるあるではないけれども絶対に理解出来ないというわけではない、というところのあまりにも細い線を歩いていく感じが素晴らしかった。この二人にしか出来ないって感じもめちゃめちゃ良かったです。
2。12月に『さらば青春の光寄席』で観たバースデーサプライズのネタがあまりに良かったんだけど、その後で配信で観た単独のこのネタが本当にすごすぎた。特に冒頭の、どういうネタなのか観客が測りかねている時間、の美しさ。で、そっち行くんだ、からの、どんどん山から宝を掘り当ててしまう感じ。えぐい。あまりにも美しいコント。
3。美しい、という意味ではルシファー吉岡さんのこの一人コントもめちゃめちゃ美しかった。誰とも交わらないからすごい変な進化しちゃった生き物みたいな美しさがある。と言いつつちゃんとチャイムが鳴る時間的な間隔もそこまでずらさないみたいな真面目さがあって、これはこれでちょっとため息が出てしまった。
4。ここはもう美しさとかそういうんじゃなく、強え!って感じの。かろうじて食べられる野草で作った鍋みたいな。そういうのが欲しい日もありますよね。無茶苦茶かっこいいわって、思っちゃうんだよなやっぱ、悔しいけど。別に悔しくならなくて良いんだけども。
5。レインボーはちょっと過小評価されすぎ説ないですか?って思ってるんですけど皆さんどう思われてますか? 特にジャンボたかおさんの顔の演技、もっと高く評価されるべきだと思います。レインボーは一年でも早くキングオブコント決勝に出てほしい、そういうコンビだと思います。

あと、今年の夏ごろにこの企画、っていうのはつまり劇場、配信、テレビ限らず、年間で観たネタの中でベストいくつかを発表しようっていうのを思いついていま発表してるわけですが、これお笑いが好きな人全員やったほうが良いやつだと思いました。そして年末に向けてSNSで盛り上がりつつロフトプラスワン的なところでイベントやるやつですよね、完全に。普通に盛り上がると思うし、やったほうがお笑い界にとっても良いと思うので、誰か仕切ってくれないかなって、ちょっと本気で思ってたりしています。

Dr.ハインリッヒが語る

今年のM-1前に何人かから回ってきた、Dr.ハインリッヒのちょっと前のインタビュー、良かったのでメモとして。

幸 決勝に進めなかったことの理由ですね。ずっと『M-1』優勝すると思いながら生きてたんです。ほんまに、女性初の優勝は自分たち以外にありえないだろう、ぐらいに。だけどラストイヤー終わってしまった。ということは、また別の物語が用意されてるだろうなと。

彩 ああ『M-1』じゃなかったのか、代わりにもっと何か素晴しいものがあるのだろうと思いながら、今は生きてますね。

幸 人はミッションを持って生まれてくるという考え方を、わりと信じているので。今自分が地球に生きてて、やるべきミッションがあるんだろうなというのはすごく思ってる。
 やっぱり無意味なわけがないと思うんですよね。それこそ漫才のネタにしたくない双子であることとか、女性であることとか。生まれた時に決まってるからには、なにか意味があるのではないかと。
 この我々の感じやからこそ、我々がやるべきミッションがあるんだと思うんですよ。

観たものなど

9/10 バイきんぐ「爆音」(日本教育会館一ツ橋ホール)
9/15 根本敬 presents 蛭子能収「最後の展覧会」(Akio Nagasawa Gallery Aoyama)
9/22 キングオブコント準決勝 1日目(配信)
9/23 キングオブコント準決勝 2日目(配信)
9/30 コンプソンズ「愛について語るときは静かにしてくれ」(配信)
10/17街裏ぴんく「体験過多、お前もか」(配信)
10/18 入江雅人グレート一人芝居「パンクスタイル16」(APOCシアター)
10/21 アー「アーの9」(ギャラリー南製作所)
10/28 「身体感覚の新たな地平」(TOKYO NODE)
11/19 街裏ぴんく「恍惚ファットボーイ」(西新宿ナルゲキ)
12/3 「さらば青春の光寄席」(配信)
12/7 ラブレターズ「38」(配信)
12/19 ナツノカモ「カンガエルカモ第一考」(高円寺HACO)
12/24 ダウ90000『20000』(配信)

そのほか(箇条書きで)

・一年間に渡る病院実習が無事に一旦終了。色々な先生方から色々なことを学ばせてもらったが、最も鮮烈に自分がいま本当の意味での学びの場にいると実感したのは、小児科を回ったときに未熟児として産まれてきた児の胸に聴診器を当てさせてもらったあの瞬間だったと思う。その小さな鼓動はあまりにも神々しくて、理屈抜きに頭を深く下げずにはいられなかった。これから先、自分が出会う全ての患者さんが自分の先生になるのだと理解したあの瞬間を、おそらく死ぬまで忘れないだろう。自分がこれから医師になるとするならば、というかまあおそらくなるわけだが、そのいちばん最初の出発点はあの日あのときで間違いない。

ネット記事など

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(2023/09/03〜2023/12/27)

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