生存報告(2023/03/12)(性自認と女性用トイレと「何も言えない世の中」、『ルポ 死亡退院』)

性自認と女性用トイレと「何も言えない世の中」

この一週間ほどで目にして記憶に留めておこうと思った、性自認と女性用トイレについてのツイートや文章(公開は2020年)を以下に貼る。

上記のようなツイートや文章について、自分はあまり反論しようとは思わない。正直なところを言うとこの件を知るまでは「男性器のある人が女性スペースに入ってくる、はトランスジェンダー差別の現場で言われる定型句」という認識が自分の中になかったため、橋本愛さんの最初の投稿に批判が集まる意味合いがよく分からなかったのだが、上記のような表現であれば納得は出来る。実際にそうだろうとも思い、そこでアップロードが行われる。それは人間としての考え方が変わったとか、意識が改善されたとかいう大仰なことではなく、単純に知らなかった一つのことを知ったという意味で。そしてそれは自分にとってはストレスではないし、日常的な行動の一つでもある。知る、ということを恐怖や脅威だとは感じ得ない。

しかしおそらくそうではない人も少なからずいるのだということを、例えば以下のような記事を読んで思わされる。

ほんこん 橋本愛の“トランス女性”投稿で謝罪に「何も言えない世の中になってきているのか」(東スポWEB) - Yahoo!ニュース

まず気になるのが「謝罪に追い込まれる」という表現で、この表現を使うということは「謝罪」というものが本来であればしたくない行動であるということを含意するわけだが、そもそも「謝罪」とはそのようなものなのだろうか。「謝罪」とは少なくとも建前上はどこまでも自主的なものでなければならないと自分は考えるのだが、そこでのずれを強く感じてしまう。「謝罪」をしたから負けとか、「謝罪」をさせたから勝ちとか、そういう空気が蔓延しているから麻痺しそうになるが、そもそも「謝罪」とは勝敗に関わる類の概念ではないように思う。

そして橋本愛さんの最初の投稿が批判されたからと言って、「何も言えない」ということでもないようにも思う。それは「そういうことは言えないけど他のことなら言える」という意味ではない。そうではなく「言いたいことが変わる」という意味だ。例えば「男性器のある人が女性スペースに入ってくる、はトランスジェンダー差別の現場で言われる定型句」だと聞く前と聞いた後では、言いたいことや言えることのそもそもが変わるという意味である。そしてそれは別に恐れることではない。「謝罪」がセットになってしまうから誤った勝敗論に持っていかれてしまうが、知らなかったことを知ったら言いたいことや言えることが変わるというのは、ものすごく自然なことのはずだ。

たぶんここには(自分が勝手に思う)橋本愛さんと(自分が勝手に思う)ほんこんさんでの公の場での言葉に対する考え方の違いがあって、橋本愛さんにとって言葉は過程だ。それは変わりゆく流れの中にある。一方でほんこんさんにとって言葉は結果だ。それは一度公のものになってしまったら固定化されてしまうものである。どちらが正しいというわけではない。しかしこの両者の異なる種類の言葉が同一の場所で交わされる難しさを、ひしひしと感じる一週間だった。

あと、自分が気付かない内に誰かの有益を損ねていたことを認めるっていうのは人間にとってかなり強いストレスがあるんだろうな、というようなことも改めて思う。というかまあ、人間と人間がしっかり争ったり傷つけるのって、ほとんどそれが原因なんじゃないだろうか。

同じ話題ではないが、志村貴子さんの「備忘録(Twitterでの発言について)」も非常に参考になったためここに貼っておく。

『ルポ 死亡退院』

八王子の滝山病院のルポ。Eテレで放送。

極めて悪質な意味でだが、人間の順応力というものがいかに高いかとを思わされ、驚かされる番組だった。そしてこれが「たまたま」起きたのではないということがあまりにも恐ろしい。再現性がある。つまりまったくもって他人事だとは思えない。

例えば手足を拘束された患者を見たときに、あるいは先輩の看護師が患者を虐待していたときに、その事実を受け入れるために認識の歪みが生じる。この患者はそうされるべき存在なのだという認識の歪みが。それをどうやって防ぐのか。自分がもしその場所にいたら何が出来たのか。

理性は悲しいほど弱い。それを超えることが出来るのは、倫理か習慣のいずれかしかないだろうとも思う。

そのほか(箇条書きで)

・Aマッソ「滑稽」(2/25)配信で視聴。どこまで自覚的な悪意があるのかが判断しづらい、っていうAマッソの稀有な魅力。
・SNSにおける「説得力ある」って言葉、説得力なさすぎる。

ネット記事など

さかなクンの自己肯定感を押し上げた、お母さんの見守る子育て

【一聞百見】画家、石村嘉成さんの自閉症療育に取り組む父、和徳さん…「早期療育の大切さ伝えたい」 - 産経ニュース

心の内が語られない女性が主人公だったら?古典落語に風穴 林家つる子さんの挑戦:東京新聞 TOKYO Web

留学中の和田彩花が、フランスでの生活と未来を語る! 日本でのライブ予定は…!?(アニメージュプラス) - Yahoo!ニュース

引退試合は医師立ち合いで1分間のエキシビション 「俺みたいになるな」引退表明の原田大輔、自覚症状なしも予期せぬドクターストップに思い | ニュース | ABEMA TIMES

TKO木本「会見前に…」 相方の娘からきたLINEを告白 初耳の木下は号泣 – fumumu

(2023/03/05〜2023/03/12)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?