生存報告(2024/05/31)(『真・プロレスラーは観客に何を見せているのか30年やってわかったこと』(TAJIRI・著)、6月26日髙木vsササダンゴワンマッチ興行チケット詳細決定)

『真・プロレスラーは観客に何を見せているのか30年やってわかったこと』(TAJIRI・著)

プロレスラーとはカッコいいを飯の種にする特殊な職業である。故にプロレスラーにはカッコいい言動が多い。例えばフランシスコ・アキラ選手。プロレスラーになることを夢見た彼はあらゆる苦難を跳ね返し、見事に大メジャー団体である新日本プロレスでデビュー、しかも勝利するという映画のような偉業を成し遂げるわけだが、その直後に師匠とも言えるTAJIRIにこんなLINEを送る。

LINEが来た。アキラからだった。試合を終えてまだ1時間も経っていないはず。きっと会場から送ってきているのだろう。そこには、こう書かれていた。
<Hey, TAJIRI san, you watched tonight’s match? Do you have any feedback for me?>

「やったぜ」とか「ありがとう」とかそういった言葉ではなく、試合における自らの反省点を尋ねるのだった。彼がこれまでTAJIRIに対してしてきたのと全く同じように。フランシスコ・アキラ選手にとってこの新日本プロレスでのデビュー戦はゴールではなく、目指すべきものはずっと先にある。まだまだ自分は成長したい。成長しなくちゃいけない。だって俺はもっと成長できるんだから。そんな思いを勝手に感じた自分はこの29ページの時点で『真・プロレスラーは観客に何を見せているのか30年やってわかったこと』(以下、『真・プロレスラーは……』)を名著棚に入れることに決めた。プロレスラーってやつは何てカッコいいんだ。

この『真・プロレスラーは……』は、プロレスラーは何をもってプロレスラーであるのかを、あるいはプロのプロレスラーとそうでないプロレスラーはどこが違うのかを、つまりはプロフェッショナルとは何かということを、余す所なく、文字通り世界を股にかけて活躍した現役のプロレスラーであるTAJIRIが語り尽くした一冊である。

プロレスラーとは職業を指す言葉ではあるが、美学を追求することがそのままその職業の独自性、つまりは希少性であり資本価値に繋がるという特殊さを原理上持つ。そのためプロレスラーを真剣に語ろうとするならばそれはそのまま仕事とは何かとか、生きるとは何かとか、そういった話に繋がっていく。だから『真・プロレスラーは……』にはどのようにすればプロのプロレスラーになれるのかが様々な手を使って語られているのだが、そのテクニックはほぼ全てがほかの職業やあるいは生き方に応用可能なものだ。少なくとも、本当のプロになりたいと思う人にとっては刺さる言葉に溢れている。

自分が強く膝を打った部分を二箇所印象する。

海外修行に関する本音というか、本当はこれをいちばん言いたいのだが、レスラーになった以上、若いころに海外の風に吹かれ、カバン一つで地球を闘い渡る。そんなかっこいいことをしない手はないではないか。プロレスラーになった理由は各人様々だろうが、結局のところは、
「かっこいい自分を見てもらいたいから」
そういうことだと思うのだ。

本当の一流にまでのし上がったレスラーが考え続けたであろうことは、「どうすればお客さんにウケるか?」ではなく、
「どうすればオレの魅力を最大限に伝えることができるか?」
だったのではなかろうか。その結果、たまたまスーパースターになった者もいたーーそういうことだと思うのだ。

プロレスラーとはカッコいいを飯の種にする特殊な職業である。故にどこまでもカッコよくなることを自分に課しているし、どこまでもカッコよくなることが許されている。そんなワガママな職業を選んだ人の、身勝手だからこそのカッコよさが、ここにはある。だから自分はプロレスラーが好きなんだよ、と強く思う。プロレスラーにただただ憧れている。

そして、あのカッコいいLINEをTAJIRIに送るというカッコいいことをしたフランシスコ・アキラ選手も、本当はカッコいいんじゃなくて、いや、カッコいいんだけども、それはナチュラルに彼がカッコよかったとかカッコいいとかっていうわけでは実はなくて、カッコいいプロレスラーに憧れ続けたからこそもしかしたらあんなことが出来てしまったんじゃないか?と、『真・プロレスラーは……』を読み終えた自分は今そう疑っている。

あのときフランシスコ・アキラも、最初は「やったぜ」とか「ありがとう」とかを、まず送ろうとしたんじゃないか。でも、その文章を打ち込んでいる途中で、やっぱり違うな、って思ったんじゃないか。ここ、カッコいいじろがあるところだな。ってふと気づいて、それで自分が思うカッコいいプロレスラーならどうするだろうかって、じゃあこっちだろって思い返して、あのメッセージになったんじゃないか。もちろん何の根拠もない。でも一度そう思うと、そうとしか思えなくなってしまう。

誰だって最初からカッコいいわけじゃない。カッコいいに憧れて、カッコいい真似をして、そうして半ば演じていた自分がだんだんと生活のほとんどを占めていく。そうやってカッコいいプロレスラーは生まれるんじゃないか。アントニオ猪木の晩年がそうであったように。だからつまり、カッコいいというのは何か長い年月の努力の先に突然現れるものなのではなくて、カッコいい自分になると決めてしまった人が、場面場面でカッコいい自分を演じていく、そのプロセスそのものがカッコいいと呼ばれるべきものなのではないか。

おそらくそれを可能とするものが、美学と職業倫理というものなのだろう。そしてカッコいいとは、願望ではなく行動であり、抽象でなく具体であり、人生ではなく生活である。少なくとも『真・プロレスラーは……』を読み終えた自分は今そう信じていて、もうこうなったら、カッコよくなるしかないな、と考えているのだった。

6月26日髙木vsササダンゴワンマッチ興行チケット詳細決定

というわけで、プロレスラーはカッコいいなあと日々感じ入っているわけだが、このニュースもシビれたなあ。

6月26日髙木vsササダンゴワンマッチ興行チケット詳細決定/おみやげがもらえる系シート、仕事を手伝わされる系シート、実際に売れるかわからない系シート、普通に売れて欲しい系シートなど、999,999円~1,000円までの全51席種の販売が決定! チケットは5月26日後楽園大会終了後会場先行販売、5月27日から一般販売! | DDTプロレスリング公式サイト

こんな面白いことを考えられるのか、っていう。ちょっと面白すぎるし、こんな面白すぎる人が同世代のちょっと上の先輩で良かったよと心から思う。これもまたカッコいいである。

観たものなど

5/5 破壊ありがとう『洒落臭い』(配信)
5/6 ダウ90000『30000』(配信)
5/6 『ALL TOGETHER』(配信)
5/12 ザ・プラン9東京コント計画~ザ・プラン9×かもめんたる(配信)
5/15 『擬古典落語の夕べ7』(配信)

そのほか(箇条書きで)

・『お笑い向上委員会』(24/02/10)での「闇営業疑惑を否定する美川憲一(レッツゴーよしまさ)」、何度も再生して何度も崩れ落ちる。
・「一休」荻窪店が今月いっぱいで閉店ということで、なかなかの悲しみに暮れている。お酒がある程度の安価で、300円台から400円台の料理がそこそこ豊富で、店員やお客が放っておいてくれる駅近の居酒屋が存在しているかどうかというのは、そこに住む人の生活の質にわりとクリティカルな影響を与えるものだと感じる。少なくとも東京では。「一休」荻窪店にそこまで足繁く通っていたわけではないがしかし、あそこへ行けばどうでもいい時間が過ごせる、という場所がいつでも行けるところにあるというのが重要なのだ。だめになれる場所。何のためにもならないが、だめにはなれるという場所である、そこは。

ネット記事など

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(2024/4/29〜2024/05/31)

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