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第404回 < 2023年新年あけましておめでとうございます >

新年あけましておめでとうございます。今年のお正月は年末年始での休日が4日間だったこともあり、また、2021年、2022年のお正月と異なり、外出する機会も多かったせいか、なんとなく慌ただしく過ぎた気がしています。皆様はどのようなお正月を過ごされたでしょうか。

資産運用業に携わっていることもあり、また、特に昨今の市場環境が見通しにくいこともあり、年末年始は今後の相場についてのご質問を受ける機会が多かったように思います。「来年のことを言えば鬼が笑うという」とも言いますが、投資ポートフォリオ構築にあたって、基本となる相場見通しを持っておくのは悪いことではないと考えています。新年恒例の経営者による相場予測の数値を見ると、今年の日経平均株価は3月末近辺にかけて、昨年9月の高値から20-25%下がった2万3千円から2万4千円程度の下値を見た後、年末にかけて、昨年高値の3万円程度に再上昇するという見方が大半でした。

それらの予測のコンセンサスの理由としては、主に米国の金利動向に依拠するという意見が多かったように思います。つまり、物価高を背景とする利上げ姿勢が2023年4月以降は緩和され、年末にかけては景気鈍化を背景として金融緩和モードに変化していくことでリスク資産に資金が戻り始めるというシナリオが大勢を占めていました。

個人的には、前述のコンセンサスとは異なる見方をしています。今年の状況はITバブルを経験した後の2001年から2002年にかけての株式市場に似ていると考えています。ITバブルの最盛期、米国が金融引き締めモードとなったことで、株価がピークをつけた2000年には、政策金利が6.5%まで上昇しました。その後、ITバブル崩壊で株価が急落する中、金融緩和に舵を切り、最終的には1.0%まで政策金利を継続的に下げたものの、株価は2002年下旬まで下落を続け、日経平均株価はさらに時間差をもって、2003年4月に底をつけることになりました。

このように、金融政策の影響は時間差をもって、株価に反映するものと思われます。昨年初まで高騰していた株価の価格調整は、様々な要因をもち、時間差をもって行われます。今回の場合、2021年末にピークをつけたと思われる、国内外の成長銘柄の株価は、PSR(株価売上高倍率)を基準として、売上高の10倍以上で評価されることも少なくありませんでした。中には、30%を超える年率成長率が数年間続く銘柄も含まれていましたが、それでも当時の株価を正当化するためには、業界トップ企業になることや、今後数年同様の成長率を維持すること、また、早期の黒字化が容易である等の条件を満たす必要がありました。その条件をクリアできないことが多くの企業で明らかになったとき、相場全体も調整を始めました。

また、上場前の未上場株の中には、PSR数十倍で2021年までに資金調達を果たした「ユニコーン」も数多く存在し、起業家、投資家を中心に、現状株価を維持したいというインセンティブが強く働きます。徐々に市場の実態との乖離が明らかになる中で、価格への反映が行われるには時間がかかり、前回のITバブル後では、その調整に約3年間を要しました。今回、前回とまったく同様の株価変化をたどると仮定すると、2024年6月から9月にNASDQが3,500ドル近辺まで、日経平均株価は11,000円近辺まで下落を続けることになります。しかし、市場参加者や政策担当者は経験から学ぶことも多く、前回ほどの長期の下落は避けられるものと考えています。

それでも、2023年末までに株価が回復することはかなり難しく、NASDAQが現在の10,000ドル近辺を上値として年内は2,000ドル程度の下落、日経平均についても、年末の26,000円を上値に3,000円程度の下落を想定し、年末に現状株価を回復することは難しいものと考えています。しかし、2002年から2003年に中小型銘柄を中心に地道に投資活動を行っていた投資家は2004年以降に大きく報われることになりました。これと同様に、今年は中長期的な投資活動を行う株式投資家にとっては素晴らしい仕入れ時となる可能性もあります。

2023年が皆様にとって素晴らしい一年になることを祈念しております。当社もプライベートエクイティや、ヘッジファンドといった投資を通じて、中長期のリターンを投資家の皆様に還元すべく努力を重ねていく所存です。今年も一年ご支援、ならびにご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


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