POG2024の指名馬と今年のクラシックを見て思うこと

今年のクラシック路線の雑感

2024年のダービーは、エピファネイア産駒ダノンデサイルが勝利。Seattle SlewのクロスやStorm Catなど、いかにもダービーらしい血統は持っていたが、本馬の走りはそれよりもRobertoクロスの出た機動力型とみていただけに驚かされた。決して展開だけでない強い走りで、皐月賞除外から立て直した陣営はあっぱれ。

オークス→ダービーという路線を見る中で思ったのは、「今の日本競馬は、血統を『戻す』ステージにあるのでは」ということ。

ダービー出走馬でいうと、例えば2着ジャスティンミラノの父キズナは自身がダービー馬でディープ×Storm Catのニックス配合。愛国産馬である母をつけて欧州質を補強。オークス3着馬ライトバックも似た形のパターンだ。

あるいはダービー2.3着馬のいとこコンビ。父スワーヴリチャードはダービー2着馬でハーツ×Unbridled`s Songのニックス。そこにハービンジャー×ランズエッジの母を配した形だ。

ディープインパクトやハーツクライの産駒が大活躍した2020年代初頭までの競馬から、後継種牡馬の時代へ。サンデー系種牡馬に米血をつけた種牡馬たちに対して、ざっくりいうと欧州っぽさを戻してあげる時代が今なのではなかろうか。

その点も意識しつつ、POG指名馬を選んでいった。


POG2024指名馬

POG2022はリバティアイランドにウンブライル、ノッキングポイント、ビヨンドザヴァレーなどそれなりに当たりを引くことができたが、2023はクイーンC2着のアルセナールくらいで勝ち上がりも悲惨な結果。POGの性質を考えた時、牡馬の当たりを引けるかどうかがカギにはなるが、牝馬の方でそこまで気にしすぎずに指名をすることに。

ジェゼロ

父:サートゥルナーリア
母:ラルケット(母の父ファルブラヴ)
栗東 須貝尚介厩舎

今年もお馴染みラルケット。ステルヴィオや一昨年も指名したウンブライルの母で、キンカメ系との相性は抜群。上記2頭はカナロア産駒だが、本馬はカナロアが父父にあたる形で、1つ代が進んでうるさくなった感はしなくもないが変わらずノーザンダンサーの抜け感もいい。早期入厩からじっくり整えての緒戦のようで、1つ上の金子氏×須貝厩舎が結果が出ていない点こそ気がかりも、王道路線での活躍を期待したい。

マディソンガール

父:キズナ
母:ヤンキーローズ(母の父All American)
栗東 中内田充正厩舎

リバティアイランドの下。父がキズナに変わったが、ハイアベレージの「キズナ×Gone West」牝馬。同ニックスの馬はほかにもいくらかリストアップしていたがその中で本馬を選んだのは、母の繁殖能力の高さはもちろん、軽さ一辺倒にもなっていないバランスの良さ。オールマイティに走ってこれるはず。既にゲートのため入厩済み。スムーズにいってほしいところ。

レッドイステル

父:エピファネイア
母:ダーヌビウス(母の父キングカメハメハ)
栗東 友道康夫厩舎

ジェンティルドンナなども出ているドナブリーニのラインで、母自身は未勝利もその兄弟にリステッド2勝のドナウデルタなどもいる活力あるライン。本馬はエピファネイア産駒、デアリングタクトやイズジョーノキセキなどが出ている母父キンカメとの組み合わせでKingmambo×Robertoの好形。直近に本州移動、疲れからか発熱はあったようだが、名門友道厩舎らしく秋から王道を歩んでほしい。この血統で現状サイズ感があるのも好感。勢いのある三嶋牧場の生産馬。

ルージュレアリーズ

父:レイデオロ
母:ラストグルーヴ(母の父ディープインパクト)
栗東 福永祐一厩舎

母母エアグルーヴ、母1戦1勝、上にはランフォザローゼスやレッドモンレーヴ、本馬はレイデオロ×ディープを中心とした超良血。新規開業福永厩舎だが、その手腕や理論はかなりのものでは?と考えていて、期待も大きい。そしてその師のトーンも高く、どうも京都デビューが視野に入っているようだ。小さく出やすい血統構成ではあるので、順調に成長していってほしい。

グロスビーク

父:シスキン
母:アドマイヤセプター(母の父キングカメハメハ)
美浦:田中博康厩舎

こちらもエアグルーヴ牝系、母自身も重賞好走があり、本馬の上にはスカイグルーヴやデシエルトなど活躍馬がいる。今年の新種牡馬の中で注目しているシスキンの産駒で、本馬ははTry My Best≒El Gran SenorやLady Julor→Fair Trialを触った形。初年度頭数が少なくなってしまった父の産駒の中ではここを狙って。ちなみに、ディープともかなり相性が良いと思う。

エンブロイダリー

父:アドマイヤマーズ
母:ロッテンマイヤー(母の父クロフネ)
美浦:森一誠厩舎

早期デビュー枠の注目馬として、初週の牝馬限定に出走するこの馬をチョイス。ビワハイジの牝系のもつ伸びるストライドや軽いスピードを増幅したようなイメージで、東京のデビューというのも合いそう、しかもモレイラ騎手を配し評判も上々。父はマイルで活躍したが実はTT型らしく…、幅広いカテゴリでの活躍を期待したい。

ルージュマローネ

父:ダイワメジャー
母:レッドアトゥ(母の父カジノドライヴ)
美浦:栗田徹厩舎

ダイワメジャー産駒でデインヒルとサドラーを母系に持つのは昨年の2歳女王アスコリピチェーノと同じフォルム。しかも本馬は牝系が5代母Balladeと来た。バランスも良く、特にケチをつけるところもない。血統背景通りパワー型に出ているようで、「ダートっぽい」などとも目にして、POGを考えると牝馬でどうか…とも考えたが、とりあえずデビューは函館の芝からいくようで。

サトノカルナバル

父:キタサンブラック
母:リアリサトリス(母の父Numerous)
美浦:堀宣行厩舎

全兄にジャスティンスカイのいる血統。超大型馬の兄は集中力の問題もあってどんどん距離を短くし活躍しているが、本馬は「長距離向き」とのこと。母がNumber≒Nureyevの2×3、キタサンブラックとの組み合わせでLyphardやHalo≒Red God増幅するなど好みで、皐月賞を中心に狙いたい。

アルハイルフォート

父:Frankel
母:Wadyhatta(母の父Cape Cross)
栗東:高野友和厩舎

5代母は世界的名牝Allegretta。Frankel産駒の本馬はAllegrettaの4×5、Specialの5×5などの牝馬クロスが特徴的。兄のSantiagoは愛ダービー馬というスケールの大きさは魅力的。重めの血統でこればかりは走ってみないと分からないが、一発長打に期待。

ウインベアトリス

父:エピファネイア
母:ウインシャトレーヌ(母の父ダイワメジャー)
美浦:深山雅史厩舎

4代母Burghclereの牝系にエピファネイア×ダイワメジャーというのはモリアーなも出ている形。またRobertoを薄くクロスするエピファ産駒はダノンデサイルやテンハッピーローズなども出ており最近好調。夏デビューに向けて調整中とのこと。オークスまで見据えて。

迷った馬たち

上記であげた「キズナ×Gone West牝馬」ではまず開幕週に登場するダノンフェアレディ(母メチャコルタ)。川田騎手ということもあって堅実に走ってきそうだが、若干軽すぎる面も拭い切れず、同開幕週デビューのエンブロイダリーの指名もあり見送り。ただ、新馬は勝つと思う。

あるいはお馴染みチェッキーノの子アルレッキーノも評判よく一定走ってきそうだが、個人的にはモーリスをつけたノッキングポイントがいちばんきれいな形だという思いがあり…。サンブルエミューズの子ブルージュも同様。

ドゥラメンテ産駒ではブルースバローズ(母オールウエイズウィリング)やヴィオレンツァ(母サウンタ)が候補だったが、情報が少なく。POG本のトップに出てくるような馬も含め、ラストクロップだが個人的にはあまりピンと来ずというところ。

指名したレッドイステルとの兼ね合いで迷ったのがサトノブリジャール(母ベルダム)。同牝系、同厩舎だが、全兄ミッキースターダムの走りを見るにTT型(長距離馬)なのでは?という思いがあり、レッドを選択。

最終候補で迷ったのはコスモアンソロジー(母パーフェクトノート)、グローサートラウム(母ナッシングバットドリームズ)。コスモはAngelic Song=Glorious Songが魅力的も本格化は先になりそうな感、グローサーはルージュエヴァイユなどの下の良血も、この血統馬を1200でおろすっぽいところや、一頓挫がひっかかり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?