修理のあとにエトセトラ展ー中之島香雪美術館
日本や東アジアの美術品を所蔵、修復保存作業を行っている大阪・中之島香雪美術館において、2023年4月8日(土)~5月21日(日)で展覧会『修理のあとにエトセトラ展』が開催された。
中之島香雪美術館は、大阪市のなかでもビジネスビルが立ち並ぶ中之島エリアにおいて、随一の高さを誇る2棟の超高層ビル、ツインタワーの愛称で親しまれているうちのフェスティバルタワーの4階にある。
同館では日本美術の祖である岡倉天心らが主催する美術雑誌「國華」の経営にも携わっていた朝日新聞の創設者・村山龍平が収集した刀剣、武具、仏教美術、書跡、近世絵画、茶道具などを所蔵しており、現代的な建築が光る洗練された空間で、これまで長く受け継がれ守られてきた名宝の数々を観ることができる。
高い天井と木造造りの組み木のようなデザインが落ち着いた雰囲気だった。
平日ということもあってか、来場客はそう多くなかったので、早々に受付を済ませて案内に従って展示室に向かった。
本展のタイトルにもある通り、ここに展示されている30点はこれから修理に入るもの、もしくは修理を終えたものがそれぞれ展示されている。
修理後の作品には、修理前の劣化した状態の写真とともに、どのようにして作業が行われたのかが明記されていて、修理保存に関わる全ての人々が次世代へとつなぐために知恵や技術が見ることができた。
第二章の『木をきざんだ仏と神』では、特に劣化が酷く表面が剥がれ落ちたものが多かった。
重要文化財の《薬師如来立像》台座部分は虫食いの影響によりバランスを取る事が困難となっていたが、動物の皮や骨を煮詰めてゼラチン状にした膠や漆なとで修理。《男神坐像》については、アルタイン酸樹脂と砥の粉を混ぜた練り物を充填して補強した。
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