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#北九州テイクアウトマップ を作ってみた3

4月4日に北九州テイクアウトマップを制作し提供を開始してから2週間が経ちました。作ったきっかけや仕組みなどについては、前回前々回の記事をご覧ください。

北九州テイクアウトマップについては、Webメディアをはじめ、地方紙やNHKローカル番組にも取り上げていただき、4月16日には1日あたりのPVが3万ビューを超えるなど、活用いただくことが増えてきました。

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今回は、前回も書いた「北九州テイクアウトマップを始めてから起こったこと」の続きと、これを始めたきっかけ、そして今感じていることをもう少し掘り下げて書いてみようかと思います。

起こったこと①~様々なメディアに取り上げられることが増えた

上記のグラフにも書きましたが、これまでに本当に多くのメディアに掲載いただきました。改めてメディアの影響力が大きいことは感じています。
私が考える「メディアに出る意味」というのは、安心感を与えるため、と考えています。
いくつかのメディアには直接顔を出させていただき、また、FMラジオでは実際に生放送として電話対応させていただきました。
別に私はメディアにどんどん出ていきたい、というほど目立ちたがり屋ではありません(嫌いではないですが)。でも、逆に店舗や利用者の立場に立ってみると「顔の見えない相手が作っているスタートアップサービス」って、怖くないですか?少なくとも私は、すぐには信用できるとは思えません。

どんな人が、どんな思いで、どんなチームで作っているか。
サービスの機能も大事ですが、やはりそういう人間的な部分というのはとても大事だと考えています。だからこそ、顔を出すことに意義があると考えています。
繰り返しになりますが、目立ちたいからではありません(苦笑)

起こったこと②~企業が手を差し伸べてきた

我々のサービスは、結局のところWeb上での話でしかありません。飲食店や、テイクアウトを必要としている利用者へ、Web以外でのアプローチも必要だと考えていたところ、ありがたいことに協力を申し出ていただける企業が現れました。それは、福岡ひびき信用金庫様(通称:ひびしん)です。

皆さまは、銀行と信用金庫の違いってご存知でしょうか?
同じ金融機関なので、あまりご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、ご参考までに引用しておきます。

金融サービスは同じでも、経営理念の違いで組織のあり方がそれぞれ異なります。
銀行は、株式会社であり、株主の利益が優先されます。また、大企業を含む全国の企業等との取引が可能です。
信用金庫は、地域の方々が利用者・会員となって互いに地域の繁栄を図る相互扶助を目的とした協同組織の金融機関で、主な取引先は中小企業や個人です。利益第一主義ではなく、会員すなわち地域社会の利益が優先されます。さらに、営業地域は一定の地域に限定されており、お預かりした資金はその地域の発展に生かされている点も銀行と大きく異なります。

特に、営業地域が一定の地域に限定されていることが特徴で、まさに「地域の金融機関」なのです。ちなみにひびしん様の営業地域は福岡県一円・山口県下関市・大分県中津市となっています。本店は北九州市八幡東区ですね。

前置きが長くなりましたが、このひびしん様から、運営メンバーに協力の提案をいただきました。
なんでも、ひびしん様の中でも今回の事態に地域飲食店の手助けができないかと、テイクアウト情報をまとめるようなサイトを作る案があったものの、既に先行して取り組んでいる北九州テイクアウトマップを見つけていただき、協力していただけるとのことでした。
具体的内容としては、①営業店から取引先飲食店への掲載声かけ、②Googleアカウントの取得やGoogleフォームからの投稿支援、③取引先飲食店からの質問一次受付を行っていただけるとのこと。
このご提案は本業を持ちながらのボランティアで運営している我々にとっては、非常に助かるものでした。また、ひびしん様と連携することで、飲食店や利用者の方に安心して使っていただけるのは、本当にありがたい話です。
ひびしん様からのプレスリリースも打っていただけました。

【2020.4】福岡ひびき信用金庫と北九州テイクアウトマップとの連携について_pages-to-jpg-0001

実は、ひびしん様以外にもご協力いただけるお話はいくつかいただいていますので、そちらも今後公開させていただければと。

起こったこと③~仲間が増えた

このサービスを始めるにあたっては、一人では手に余ることは目に見えていたため、Facebookから運営グループを募集していました。そこから、約15名の方々が運営グループに入っていただいたというのは前回までに書いたとおりです。
15名いるとは言え、各々限られた時間で対応していますので、より多くのメンバーがいてくれると助かると思っていたところ、市内の商業高校で教員をされている知人が、卒業生含めて声をかけていただき、市内や近隣の大学生も含めて運営メンバーに入ってくれるという申し出をいただきました。
また、Facebook上でサービスについてのフィードバックをくれた知人に声がけしたり、コミュニティ定例会での募集に応じて、さらに仲間が増えました。
そして、昨日の午前中、新規メンバーへのオリエンテーションを行ったのですが、その説明も、仲間の一人が資料も作ってくれました。(事前に聞いていなかったので、これはかなり驚いたと共に嬉しかったです)

説明会

左上が私、その隣が説明してくれたかやはらさん。彼女はフリーランスとして「とどけるデザイン」という中小企業向けのホームページ制作・運営支援事業をされています。

こういった仲間が増えながら進めていけるのは、本当にうれしいです。

起こったこと④~初めてのnoteサポート

これまで、noteはあくまでも自分の考えを書く場所として位置付けており、積極的な情報発信としては考えていなかったこともあり、noteのサポート機能については特に深くは考えていませんでした。

ただ、このテイクアウトマップ関連の記事もたくさんの方に読んでいただき、さらにそこからサポートをいただける、というのは、個人としてダイレクトに応援の気持ちが伝わってきて、とてもうれしかったです。ビッケさん、この場で改めてお礼申し上げますm(_ _)m

起こったこと⑤~他の地域に広がった

元々、北九州テイクアウトマップはCode for Fuchu(東京都府中市)の齋藤さんがテンプレートとして公開していただいていたものを、北九州版としてアレンジさせていただいたものでした。

実際の運用の中で、そこに様々な機能を追加していっていましたので(区毎のフィルター、配達可能店舗の抽出表示など)、これを改めてテンプレートとして公開しました。

これを使って、相模原市をはじめ、いくつかの地域が新たにテイクアウトマップを制作していただいたことは、公開した冥利に尽きます。
また、このテンプレートだけではなく、前回の記事を読んで行動に移していただいた方もいらっしゃいました。:岐阜テイクアウトマップ

こうした動きは、直接的ではないものの、同じ思いを共有しながら進んでいる仲間が日本全国にいることを感じることが出来ます。
もし皆さんの地域でもテイクアウトマップを始めたい、と思ったら、上記のテンプレートをご活用ください。また、Facebookグループでは各地の運営者が情報交換しながら取り組みを進めていますので、興味のある方は「〇〇お弁当プロジェクト」で検索してみてください。

私がテイクアウトマップを始めた根底にあるもの

ここからはちょっと重い話になるので、「良い話だなぁ」で終わりたい方は、回れ右していただくことをお勧めしますm(_ _)m

なぜ私が北九州テイクアウトマップを始めたか。これは前回までの記事や、メディア取材に対する回答でも言っている通り、きっかけというか、想いとしては、行きつけの飲食店の支援になれば、そして生き延びて収束したのちにまた通えるようになってほしいから、という事です。

でも、自分自身との対話を行い、もう少し深掘りしてみて気付いたことがあります。

私にとっては、これは代償行為なのだと。

元々私は北海道生まれで、大学は福島県の会津大学に行きました。その後、就職や転職などを経て、今は九州に住んでいるのですが、そうした中で、3.11がありました。

今でも覚えていますが、あの日は眠ることが出来ず、居間でTVを付けたままひたすらTwitterやmixiで情報を漁っていました。そして、何か助けになる情報を送ることはできないか、と試行錯誤していました。

その後、原発の爆発により、同級生の故郷だった町は無くなりました。大学当時付き合っていた彼女の親戚も亡くなったそうです。

そんな中で、自分は安全な九州にいて、停電の影響もほとんど受けず、普段と何も変わらない生活を送っていることの罪悪感に苛まれていました。それは感じる必要のない、いわばおこがましさでもありますが、それを解消するために、せめて癒しになればと猫の画像をあげて被災地の方に「パケットがもったいない」とおしかりを受けることもありました。

自分は無力なのだ、と痛切に思い知りました。

それから9年が経ち、今このタイミングで新たな災害ともいえるこの局面で何かせずにはおられない、というのは、改めて考えると、何も出来なかった過去に対する代償行為なのだ、と気付きました。

私が罪悪感を負っていることなど、当時の被災地の方にとってはどうでも良いことだと思いますし、それを改めて代償する行為自体も、これもやはりおこがましい事だとは思いつつ、それでも今できることをやろうと思って進めています。

それもあって、運営メンバーは私の代償行為に付き合っていただいている、という感謝とともに、何かを強制的にお願いすることはできないと考えています。運営メンバーのオリエンテーションでも、毎回この話はさせていただいていますが、外にも出しておこうと思い、今回記した次第です。

また、本音を言えば、このサービスは、本当は早く終わることが望まれるものだと考えています。友人でもある高橋さんが書いた記事の中にもある通り、このサービスはあくまで「共助」だと考えています。

私のFacebookからの引用ですが。

物事はすべからく、「自助⇒共助⇒公助」の流れだと思っています。
まず、自分自身で助ける。それが出来ない人は共同で助かる。それすらかなわない場合は公的援助を頼る。

今回の話でいえば、テイクアウトマップは、ローカルな「共助」を目指したものです。そこが、根底的にUberやグーグルとは違うと考えています。
「自分で助かる」ことすらできない、すなわちUberに費用を払えない、Googleの登録方法が分からない。
そういった方々に対して、共助として、相互にサポートする、という位置づけと認識しています。

ただし、前提はやはり自助がベースです。
その体力があるなら、共助、公助に頼る必要はないし、頼るべきでもないと思っています。

その考え方を根底にしたところで、期間の話です。
上記の通り、共助は自助に復帰できるようになるまでの「つなぎ」と考えています。
なので、目安としては3か月。長くても1年間。そう考えています。

この件もそうですが、私は「アフターコロナ」ではなく「ウィズコロナ」という考えの中で、新しい行動様式や規範が作られると考えています。
その間に、倒れる人を減らせられるように支えるのが、役割だと考えています。

テイクアウトマップを活用して、少しでも売り上げを維持していただき、その間に他のサービスの活用も考えていただく。
そのための個別サポートを行っていくのも一つあるのかなと(まぁ、そこは私の個人事業の範疇になるかもしれません)。
以前も言った通り私は「テイクアウトマップ」自体の事業(ビジネスモデル)化は考えていません。

それはすなわち、それ以外の部分での事業化は必要と考えているという事です。これは私が生きるためにも(苦笑)
ただ、今はそんなことを言う必要はないので、しばらくは投資(リソース提供)と位置付けて続けようと思っています。

上記の通り、私はサービスはあくまで飲食店の方々が自助に戻っていただくまで、そして公助にのみ頼らざるを得ないという状況を打開するための一つの手段として考えています。
なので、このサービスにコロナ収束後も依存し、自助に向かわないというのは本末転倒だとも考えています。
今はこのサービスを使って少しでも体力を維持していただいて生き延びていただく、というのが狙いです。

と言いつつも、更に本音を言えば、安易な(というより、その場の)気持ちで始めたことを少し後悔している部分もあります。
飲食店の情報を集めるプラットフォームを作るという事はすなわち、飲食店の方々の想いがダイレクトに伝わってきます。この局面における辛さ、必死さ、そういうものが、登録情報から次々と矢のように突き刺さります。
おかげさまでテイクアウトマップ掲載店舗数は本日210店舗となりました。それはすなわち、210本の矢がこちらに向かって射かけられたという事です。
元々飲食に興味がなければこれもどうという事はないのでしょうが、そもそも食べ歩きが好きだからこそやらねばならないと思った中で、知っている店がその中にも入ってくるのを見た時にはとても複雑な感情が去来します。

また、私自身は家庭の事情で福岡市に住んでいるため、掲載店へ行く事も叶いません。ということは、いくら写真を見て美味しそう、と思っても、もしかしたら二度と食べることはできないのかもしれない。そう思うと、美味しそうと思うこと自体が嫌になることもあります。

こういう想いをすること自体が嫌だからこそ、純粋な気持ちで食べ歩きをしたいからこそ、食に関する仕事はしないと決めたにもかかわらず、ものすごく墓穴を掘っているような気がします。

一刻も早く、この状況が収束し、サービスが不要となる時を願いつつ、それでも「北九州テイクアウトマップを見て注文されたよ」だったり「利用しました!」という声は、本当に泣きたくなるくらい励みになります。
利用された際は、ぜひ #北九州テイクアウトマップ というハッシュタグを使って感想などを書き込んでいただけると嬉しいです。SNSは以下の通りですので('◇')ゞ

すっかり長くなってしまったので、本日はここまで。

いただいたサポートは、地域の課題をITの力で解決するITコミュニティ「Code for Kitakysuhu」の活動や、北九州市内のテイクアウト情報を提供するサービス「北九州テイクアウトマップ」の運営に充てさせていただきます。