不正会計が起きないようにするには

こんにちは!AIトラベルの藤本です。先日はベンチャー企業の横領がニュース、twitterをにぎわせていましたね。今回は私の経験を踏まえて不正会計の手口と防ぐための対応策を書いていきたいと思います。

私が経験した不正・横領

私がまだジュニアだったころ、上司に「内部統制は自分の心」と言われたことがありますが、それですべて万事オッケーだったら不正は起きません。
私も過去に2回ほど不正に遭遇しており、解決に大変な思いをしてきました。全てを書くことはなかなか難しいので概要のみ書かせていただければ。

1回目:売掛金滞留債権の異常値を調査したら空売りが発覚した。

はい、もうこれはタイトルの通りなのですが、入社して比較的すぐ売掛金業務を引き継いだら、年齢表の滞留債権が非常に多かったので調査に乗り出しました。
その結果、営業が売上ノルマ達成のために、取引先に払わなくてもいいから発注してくれと指示していた事案が発覚しました。実際その取引先に行くと在庫の山があり、お互いが不幸に。。。という結末でした。
滞留債権全てが空売りではなかったのですが、他にもいろいろな問題が次々と発覚して大変な目にあった事例です。ちなみにやっていた人は社内では誠実な営業マンとして名が通っていた方でした。

2回目:5年間3,000万円の横領の解明

こちらも入社後すぐ発覚した事案ですね。経営企画で入社したのに上司に深刻な顔されて、内容は言えないけどすぐ出張行ってくれと言われたのを覚えています。
こちらはシナジー効果が見込めるということで買収した企業の経理部長が横領していました。5年間で3,000万円。元々その会社の接待交際費の使い方が荒く、その交際費をかなりの頻度で切っていたことが始まりでした。そこから味を占め、自分の懐に入れるようになってしまったようです。
私はその5年間の仕訳を全部追っていったのですが、帳簿のごまかし方がものすごいのを覚えております。横領をすると当然なのですが、帳簿と残高がずれます。そうするとどこかで出金を増やすか、入金を減らすか、という操作を行う必要が出てきます。そこでは以下の手口で捜査していました。

・売掛金過少入金に見せかけて貸倒処理
・販管費を過大計上して出金を多く見せていた
・実際は発生していない口座間の資金移動や小口入金の仕訳を切る
・入金ひとつにありえない数の経過勘定や相殺処理をかませて、お金の流れをわからなくする

そして、この会社は内部監査室があり、社内監査が行われていました。が、内部監査室は定年間近の社員が押印するだけという形式だけの監査に終始しており抑止力が働いておりませんでした。

対応策

twitterでも書かせていただいたのですが、まずは月次決算で異常値を検出する仕組みを作ることです。予実差異・昨対差異を出したうえで、なんでずれているのかをきちんと特定し、それを経営層に報告する。仮に不正が働いても、差異理由を詰める仕組みがあれば、異常値に気づきます。

次に不正をさせない仕組みを作ることです。例えば、前回紹介した小口現金は不正に利用されやすいので、小口をなくして簡単に現金にアクセスできないようにするのも一つの手です。また、不正なんかしなくてもちゃんと評価されてる、現状に満足という状況を作るのも大事だと思っております。不正は不満から発生することも多くあると個人的には思っています。

最後に内部統制の強化です。そんなに人員割けないよ、ではなく、必ず第3者によるチェックを効かせるということが重要です。
簡単なところで行くと、支払いの申請者と承認者を分けるということも立派な統制です。大事なのは一人で完結させないということです。

いかがでしたでしょうか?
不正・横領は間違いなくやってはいけないことです。ただ、認識してほしいのは企業側がそれらをできてしまう穴を許容しているということです。
体制整備に終わりはないですが、不正が簡単にできないような仕組みと企業文化を醸成していきましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?