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Discover Japan through Europe. - Paris in Time -
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帰路のフライトで美味しいフィンランド産ウィスキーを味わいながら、この記事を執筆している。
16年振りのフランスの旅は実に深淵で自分自身を成長させる機会となった。すべての素晴らしい体験の数々はとても書ききれない程だが、エッセンスを抽出し、パリ編とコートダジュール編 の2回に分けてシェアしてみたい。
<今、改めてパリを旅する意味>
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①日本人とパリの関係性の再考
かつて日本人の誰もが憧れ、パリ旅行に湯水のごとく金を使ってきた。食やファッション、ブランドデザインに関わる人は皆パリに学びに行き、そのエッセンスを吸収しようと血の滲むような努力を重ねてきた。
今も東京の至るところで、パリの雰囲気を再現しようとしている街並みを見かける。改めてその源流を訪問すると、本質的な哲学の違いに少し気恥ずかしい想いもする。
オリジナルの代表的な振る舞いは、顧客の選び方、サービスに明確な差をつけるスタンスであったり、開放的なテラスで明るいうちからシャンパンを優雅に注ぐのが似合うアピアランスであったり、普段使いであれギフトであれ信頼できるブランドで質の良いものしか買わないというマインドだったりする。ともかく老若男女関係なく、道行く人々がとてもハイセンスで優雅だ。この雰囲気を日本で見つけることはできないだろう。
当時の日本人はライフスタイルそのものをパリから輸入したかったのかもしれないと、そんな風にも思った。
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2024年のパリは歴史的な円安の煽りを受けて、GW期間というのに、ほとんど日本人観光客の姿は見られなかった。そんなに贅沢をしなくても、滞在中に1日7万-10万円はすぐ飛んでしまうから、それなら他の旅行先が良いと思うのも当然かもしれない。
偶然にも時を同じくして桂由美氏の訃報が入る中、一つの時代の終焉を感じ、華やかりし記憶が次第にセピア色に染まっていく様が脳裏に浮かんだ。今はもう、パリへの憧れに突き動かされてきた日本人の存在はここには居ないのだ。
一方で若手の日本人料理人の熱量が印象に残った。かつて先人達は過酷な差別を受けながらも、何とかフランス料理の世界に食い込もうと命を削って働いてきたという。その功績により日本人は真面目で優秀、信用できるという評判が確立された。そして、一気に高級レストランの世界に道が切り拓かれ、若手料理人が続々と渡仏して頭角を表し、かつては夢のまた夢だったパリでミシェランシェフになる日本人が多数現れた。今は彼らが逆に現地のレストラン産業を支えている。時代は変わり受け継がれながらも、変わらぬパリの魅力に、これからも多くの人が吸い寄せられるのだろう。
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深みのある料理
② インバウンドビジネスの再考
ブランディングというのはやはりフランス・パリの本職だと思う。本質的には日本人には真似できないのかもしれない。
ブレない価値を徹底的に維持する。媚びない、巻かれない。今の日本は真逆だ。安倍元首相の1ドル300円になったらトヨタが1/3で売れるなどと言った発言がネットで再燃しているが、これまで培ってきたものを安売りして一旦何のメリットがあるのだろうか? とにかく自分の価値を下げて売れればいいなどという発想は、乞食とそう変わらない。
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家具やライフスタイル提案のハイブランドも
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業界にいるからこそはっきりと言わないといけないと思うが、今の日本行政のインバウンド戦略は最悪だ。円安で日本人の労働価値を下げ、築地・代々木公園・赤れんが庁舎を代表例として歴史/文化を壊しまくり、低レベルなプロジェクションマッピングで代理店だけを儲けさせ、挙げ句の果てに中国製ソーラーパネルで環境を壊しまくるという, これのどこがSDGsなんだ? と言わざるを得ないことばかりが進行していく。
しかし、政治はそう簡単には変わらない。
パリの街並みは、古くなるものを劣化と見做さず、価値として温存する意志を200年間貫徹させているからこそ成り立っている。何だってそうだが、真剣にやり続けているところが信用され、それが価値となり、結果としてブランドという表現になる。
今の日本には、自分たちは一体何者なのか、という価値を貫徹するのことの真剣さが圧倒的に足りないのだろう。観光やまちづくりの関係者には、ぜひパリを視察する際、この本質的なところを感じ取ってほしいと思った。
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ノートルダム寺院の修復を見守る人々
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経年を劣化と見做さず価値として温存する街並み
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何であれ丁寧に人の手が入ったものは美しい
③恋焦がれるという熱量
少し趣を変えて本稿の締めくくりを。
16年間の職業人生を通して、日本と世界の様々な都市、素晴らしい人々、恐ろしく卓越したビジネスパーソンやプロフェッショナルと出逢い、その度に自分の小ささを知り、この世界の美しさに触れ、大きな糧になってきた。
しかし、その中で唯一パリだけが、「街を出る時、自分史上最高におしゃれに振る舞いたくなる」一方で「去り際に他にはない恋しさを感じる」。ちょっと考えてみてほしい、本当に恋人がその街にいるなら別として、まだちょっと魅力的な情景や現地の人と出会っただけなのに、そんな気分にさせてくれる街が他にあるだろうか?
現地のビジネスパートナーも上手なもので、「藍さんもすっかりパリジャンですね」などと言われて、すっかりその気にさせられてしまう。
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やはり色んな意味で最高の口説き方を知っている街なのだろう。人を魅了する力は不思議だ。
余裕なく続く灰色の道を色鮮やかに描写し直し、生きる力を与えてくれる。
ああ、そうだ、帰る前にチョコレートと香水を買っておかなきゃな。華やかな通りを後に、非日常を受け取ること、そして誰かに手渡すことの大事さを思い出した。
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