なんか8って書いてない?
そんなわけねえだろ、と思いながら望遠鏡を覗いてみるとマジで書いてた。地形の陰影とか光の加減とか、そういうぼんやりしたものではない。
白く美しい月面――危機の海と豊穣の海の間のあたりに、奥ゆかしくも思い切りよく〝8〟とある。正確に言えば書いてあるというよりはタイプライターで打刻したように見えた。整っていて感じがよく、そこはかとない温かみがある。
異様なのはその可読性だった。どう見ても〝8〟に見えるのだ。それは「〝8〟に見える地形の陰影」だとか、「ADHDの不登校児である愛