既婚子持ちはなぜ独身者に「ズルい」と感じるのか

主に既婚女性と独身女性間で行われるこのやり取りについて自分なりに考えてみました。

既婚者が独身者に対して「ズルい」という言葉を使う場面は何度も目にしました。

当然、独身者からの反応は「自分の意思で結婚して子供産んだんでしょ?なのになぜ独身者が悪いことでもしたかのようにズルいズルい言うの?」となります。

彼女たちはなぜ自分で選んだ人生がこんなにも不満そうなのか。
それは恐らく彼女たちがこれまでの人生で刷り込まれてきた価値観に起因すると思います。

数年前まで私も結婚妊娠出産は人生で必ず起きる避けられないイベントだと思い込んでいました。

幼稚園から小学校、中学校、高校に至るまでの教育環境は『女は結婚して子供産むのが当たり前』という価値観で固められています。
「女の子は将来子供を産むんだから体を冷やしちゃダメ」なんてその典型です。
本人の意思に関係なく子供の頃から女は子産み機と見なされて育つんです。
今でこそ一部の親の中には「結婚はしなくてもいいんだよ」とフォローする人も居ますが、現時点で子供を持つ人達のほとんどはそんな言葉はかけて貰えなかったでしょう。

こんな子供を産めという社会からの圧がある環境下でも、きちんと自分の頭で物事を考えられた人は結婚するかしないかはあくまで人生の選択肢のひとつであり、するかしないかは自分で決められるのだと理解します。
逆に、私のようになんとなく周りに流されるままに生きてきた自分の頭で大して考えない人は結婚妊娠出産は人生の必須イベントだと思い込んだまま大人になります。

この時点で双方に大きな認識のズレが生まれてしまいます。
結婚妊娠出産について前者は「どうするかは個人の自由」と考え、後者は「絶対にやらなきゃいけないこと」だと考えています。

結婚する時に嫌々結婚することはまずないでしょうが、問題は妊娠出産です。
心のどこかで本当は嫌だった人、いっぱい居るんじゃないでしょうか。
妊娠中は体型が変わる、後遺症が残る、髪が抜ける、歯がボロボロになる、悪阻、最悪の場合死ぬ。
それを知った上で喜んで妊娠した人ってどれくらいいるのでしょうか?
でもみんな産んでるし、子供がいない人生は惨めだって思われるし、そんな気持ちが子供を産む理由の中にありませんでしたか。
男には何の身体的負担もないのに女には体調不良や食事制限、いろんな負担が押し寄せます。
この時点で不公平過ぎます。
結婚相手が思いやりのない男だった場合、妊婦が食事制限されているものを目の前で食べたり飲み会に行ったり好き勝手振る舞います。
身体をいたわって貰えないどころか怠けてると言われることも。
そして十月十日耐え抜き苦しい出産を終えると休む間もなく赤ちゃんのお世話。数時間おきに授乳、夜泣き、おしめを変えたり忙しさに追われて人間らしい生活はできません。
ここでも相手が育児しない男だと更にイライラさせられることでしょう。

そうしてなんとか子供を寝かしつけて限界の状態でふとSNSを見て思うんでしょうね。
自分はこんなにも大変な人生を送ってるのに、結婚妊娠出産の義務を果たしたのに、独身で人生を楽しんでる人がいるなんて【ズルい】って。

違うんですよ。
あなたにも一生独身を貫く道はあったんですよ。
でも出生賛美に塗れたこの世界ではその道が見えなかったんですね。
だからと言って独身者を妬むのはお門違いです。
恨むべきは独身ルートを選ばなかった過去の自分でしょう。

でも子供の人生が始まってしまった以上、もう違う道は選べません。
結婚も妊娠も出産も義務ではありませんが、子育ては義務ですから。

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