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179.玉ねぎ2倍でカレーは2倍おいしくなるのか? 問題

カレーと向き合う日々は、玉ねぎと向き合う日々である。

東京カリ~番長で出張料理を始めたばかりのころ、イベントで50食とか100食とかの仕込みをするたびに、「なんでこんなに大量の玉ねぎを扱わなきゃいけないのか……」と思ったことが何度かある。スーパーから買って帰るときの重くて指がちぎれそうになるビニール袋。皮を剥き、きざむときの大変さ。鍋中に放り込んでからは逆に楽しい時間が待っているものの、とにかく玉ねぎが多いカレーは大変だ。でも、僕の周囲では玉ねぎの多いカレーがやっぱり評価されているように思う。

じゃあ、いつものカレーを作るときに、玉ねぎの量だけ2倍にしたら、その分、カレーはおいしくなるのだろうか?

玉ねぎの量だけを変えて2種のカレーを作る余裕がなかったので、よくわかっているレシピとスパイス(AIR SPICE vol.0 基本のチキンカレー)を使って倍量の玉ねぎで作ってみることにした。

●玉ねぎ2倍チキンカレー
【材料】
紅花油 50g
玉ねぎ(くし形切り) 500g
塩 8g
にんにく(みじん切り) 10g
しょうが(みじん切り) 10g
パウダースパイス 15g
トマト(ざく切り) 375g
鶏肉(もも・むね・ひと口大) 480g
水 250g

【下準備】
トマトは、100gになるまで煮ておく。

【作り方】
1. 鍋に油と玉ねぎ、塩を加えてふたをし、強めの中火で蒸し煮にし、くたっとしてきたらふたをあけてにんにくとしょうがを加えて強火にし、炒める。玉ねぎが100g程度になるまで。
2. パウダースパイスを加えて混ぜ合わせ、トマトを加えて水分が飛ぶまで炒める。
3. 鶏肉を加えて表面全体が色づくまで炒め、水を注いで煮立て、弱火にしてふたをして20分ほど煮る。ふたをあけてさらに10分ほど煮る。

※ 加熱前の材料の重量……1,748g
※ 完成後のカレーの重量……825g
※ 調理過程での脱水率……約47%

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試食してみると、予想通り、いつもより味が濃い。玉ねぎを2倍にした分の味わい、風味や甘みが足されているからだ。とろみも強まっている。

500gの玉ねぎを100gになるまで80%ほどの水分を脱水しているため、それだけ味は濃縮され、メイラード反応も促進している。元のレシピでは4人分で250g程度の玉ねぎだから、1人分あたり60gちょっとの玉ねぎを使っているのだが、今回は1人分あたり125g(約1/2個分)ほどの玉ねぎを使っている計算になる。

2倍の玉ねぎで2倍おいしくなるとは言い難いけれど、2倍の玉ねぎの分だけ味が強まっていることはハッキリしている。それをおいしく感じるかどうかは好みによって、食べたいカレーによって変わるが、玉ねぎの量が多いカレーの評判がいいような気がしているので、評価は高いのだと思う。提供する側は原価もかかるし、仕込み量も増えるから大変になるのだけれど。

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カレーは「どんな材料をどんな調理方法で作っているか」、すなわち「材料の種類と作り方」に関心が集まるけれど、「1人分あたりに使用する分量」に注目するのも興味深い。たとえば、「1人分のカレーに使用する玉ねぎの分量」だけでも全国すべてのカレー店が公表したら、とっても面白いと思うなぁ。

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