見出し画像

198.儲かるカレー店を作るために何が必要なのか? 問題

ここ数年、いや、もっと長い間、カレー専門店の数は、きっと増え続けていると思う。
お店をやるからには、利益を出したい。儲けたいかどうかは別として、店を存続させるのに必要な資金が恒常的に必要になるからだ。

僕がライフワークとして実施し続けている「カレーの学校」では、何期かごとに「儲かるカレー店の作り方」という人気授業がある。一定の成功をおさめているカレー専門店のオーナー(シェフ)をゲストに迎え、90分間の対談をする。この授業ばかりは現役生のみならず、卒業生の特別聴講も可能にすることもあって、多いときは100名以上が集まることもあった。ちょうど、この授業で迎えたゲストが10名に達したため、イートミー出版から書籍化することにした。

儲かるカレー店、というテーマだが、飲食店経営のノウハウを語ってもらうというよりも、“開店営業悲喜交々”を話してもらう、という内容。みなさん、人生をかけて向き合っていることで、成功談も失敗談もよどみなく話してくれるため、結果的に「儲かるカレー店の作り方」というテーマに関するヒントがあぶり出されていると思う。

目次(見出し含む)は、以下の通り。

●    1人目
「きっと厳しくて、同時にそう、素敵な商売」  佐藤卓(camp)
お店のコンセプトを考えまくる/食べ物屋さんって儲からない/壮大な勘違いをしがち/「じゃあ俺もやってやる!」みたいな/どこかの店に入って立っています/ローカルで極めてプライベートなビジネス

●    2人目
「“おいしい料理を作る”に挑戦し続けられる」  稲田俊輔(エリックサウス)
どハマりをいたしました/競合店の数とニーズのバランスです/自分もマニアのひとりだったから/2敗が2敗ともデパ地下でした/向こうからやってくるのを待つ/出口を作れないものは仕込まない

●    3人目
「本当に面白いなと思うことをやる」  植竹大介(旧ヤム邸)
自営業をしたいと思ったんです/思い返すとゾッとしますわ/その現実に腹は立ちましたね/これが一番危ない橋だった/流儀も知らず勝てるわけなく/着地点があるようでないんです

●    4人目
「自分も含めて人の気持ちや心は変わります」  吉川浩伸(ターリー屋)
やりたかったのは飲食だった/「独立するつもりなんで」ってことで/私の優先順位、今何番ですか?/「ここでやんなさい」「わかりました」/立地と仕組みで経営する/永遠と店を作り続けるんですよね

●    5人目
「非常に単純明快です。潰さない」  田中源吾(デリー)
思ったよりも繁盛しているんで/冷徹に経営していくために/いいスタッフを持ちました/失敗したっていい、カシミールがある/鼻の感覚ってのは大事にしています

●    6人目
「定番とかスタンダードでいたい」  イデゴウ(らっきょ)
「僕、やります」って言っちゃった/働く人の生み出す雰囲気/3年間は給料が取れませんでした/どのジャンルの人も1本は持っている存在/悪口を言わなくなりましたね/経営者になれたかもしれない

●    7人目
「人との繋がりで今に至ってる」  山田孝二(negombo33)
大きくいうと自由になりたかった/お金はあった方がいいですね/これで終わらずにもっと俺はいくよ/だいたい2年後くらいに来る/人材に期待はしすぎちゃいけない

●    8人目
「でっかいこと言うと社会貢献したい」  安川知廣(カリービト)
「YES」か「NO」なんですよ/「趣味じゃねーんだよ!」って/なんとかしなきゃ、何したらいいんだ/立地とメニュー構成と仕込み/まだ満足してないんですよね

●    9人目
「この業界をよくしたいと思っている」  伊藤一城(スパイスカフェ)
やりたいことが沸々と湧いてきて/次のフェーズに移らないと/やっぱりレストランが好きなので/数字は後からついてくる/自分の店に行きたいですか?/自家製畑のレストランをやりたい

●    10人目
「僕が一番欲しいのは技術料だよ」  豊嶋光男(ガネーシャ)
マッチ箱でもいいので小さな店を/「もう帰りたくない」と思うように/被りものでもなんでもします/自分の好きな味で勝負するしかない/自分との戦いになってくる

また、たいてい、対談の後半で、「夢の仮試算表」を取り出して、あれこれと意見をうかがう。ハッキリ言って、この試算表は素人丸出しで現実的な数字ではないけれど、これを元に意見を聞くだけで、各オーナーの経営哲学が読み取れるから面白い。中には「この数字、全然できますよ」とあっけらかんと言う方もいらして面喰う。

ともかく、カレー専門店が儲かるかどうか、どうやったら儲けられるかについての普遍的な正解は存在しない。10人が10人とも別々の考え方を披露してくれているのを読むだけで、その中から大きなヒントが得られるんじゃないか、と思っている。
本書は、飲食店経営に興味のある人に限らず、成功者(失敗者でもある)の物語に興味のあるすべての人が楽しめる内容だと思う。

★毎月届く本格カレーのレシピ付きスパイスセット、AIR SPICEはこちらから。http://www.airspice.jp/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?