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183.玉ねぎを炒めるときは“粗”みじん切りがいいのか? 問題

カレーのために玉ねぎを炒めるときには細かいみじん切りよりも粗みじん切りの方がよさそうだ。というのが前回のいったんの結論。というわけで、今回は、粗みじん切りを炒めてみることにした。粗みじん切りといってもイメージするサイズは色々だと思うが、ほとんど1センチ角切りに近いくらいの粗みじん切りにした。

【材料】
植物油 25g(大さじ2)
玉ねぎ(粗みじん切り) 250g(中1個)
湯 250g

【作り方】
1. 鍋に油を熱し、玉ねぎを加えて強火で5分炒める。鍋中はほとんど触らない。
2. 強火のまま5分炒める。鍋中は適度にかき混ぜる。
3. 強めの中火にして5分炒める。鍋中は適度にかき混ぜる。
4. 中火にして5分炒める。鍋中はゆっくりかき混ぜ続ける。
5. 湯を注いで煮立て、3分ほど煮る。

【結果】
炒める前の玉ねぎ……250g
炒めた後の玉ねぎ……67g
脱水率……26.8%

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細かいみじん切りのときと条件を揃えた結果、見た目のフワフワした状態は変わらないが、口にいてた時にサラサラした食感よりも食感自体にフワフワした軟らかさが強まっていると感じる。脱水は細かいみじん切りの方が進んだが、一方で味わいは、玉ねぎらしい風味や甘み、うま味は強まっているように感じた。やはり、細かく切り過ぎないほうがその点ではよさそうだ。
それで思い出したことがある。昔(もう20年近く前になるかも)、新宿中村屋さんからカレー料理教室のレシピをいただいたことがあった。そこには玉ねぎのみじん切りについて、「細かく切らず、粗みじん切りにしたほうが甘みが出やすい」と書いてあった。当時の総料理長(だったかな)は、内藤さんという方で、彼の顔写真も配布レシピに印刷されていたことを覚えている。

玉ねぎは粗みじん切りのほうが、玉ねぎの風味や甘み、うま味は感じやすくなることはわかった。が、僕の個人的な好みである「クリアなソース」という形状は、みじん切りにする以上はあきらめるしかなさそうだ。何しろ「ふわふわ」が残っていしまうのだから。それなら、ひとまず、みじん切りにおいてはこのテクスチャーはあきらめることにしよう。だとしたら、いっそのこと、“玉ねぎらしさ”を強調する方向で仕上げた方がよさそうだ。
それなら、玉ねぎを増量してみよう。

【材料】
植物油 40g(大さじ3強)
玉ねぎ(粗みじん切り) 400g(小2個)
湯 250g

【作り方】
1. 鍋に油を熱し、玉ねぎを加えて強火で5分炒める。鍋中はほとんど触らない。
2. 強火のまま5分炒める。鍋中は適度にかき混ぜる。
3. 強火のまま5分炒める。鍋中はちょっと忙しくかき混ぜる。
4. 強火のまま5分炒める。鍋中はかなり忙しくかき混ぜる。
5. 湯を注いで煮立て、3分ほど煮る。

【結果】
炒める前の玉ねぎ……400g
炒めた後の玉ねぎ……60g
脱水率……15%

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玉ねぎの量に対して、10%の油を使うというバランスは踏襲する。すなわち、250gの玉ねぎを炒めるなら25gの油、400gの玉ねぎを炒めるなら40gの油を使う。
炒め方を少し改良する。ちょっとだけ難易度が上がるため再現性が低くなる可能性はあるが、20分間の加熱時間をすべて強火のままいくことにする。木べらを動かす手は時間が経つにつれて忙しくなる。つい自分のクセで玉ねぎの表面を焼き付けたくなってしまうため、結果、色味はタヌキ色からヒグマ色とちょっと深くなりすぎてしまったかもしれない。400gの玉ねぎが60gになっているから、元の重さの85%分の水分が飛んだことになる。これも強火を維持したことと、玉ねぎの全体量が増えたために玉ねぎ自身の重みで鍋底への密着率が上がり、脱水が進んだとも考えられる。

結果、味わいは、うま味、香味、甘みすべてにおいて過去の2回の試作よりも上回った。火の入り具合いによって味わいが変わった部分もあるが、そもそも4人分のカレーに対して250gの玉ねぎか400gの玉ねぎかでは、玉ねぎの量が倍近くに増えているのだから、当然の結果とも言える。仕上がったソースは玉ねぎの存在感が強いが、気にしない。
玉ねぎをみじん切りにしてカレーを作るときには、「粗みじん切りにして多めに使う」ということで、自分としては理想形のひとつと設定していいかなと思う。
じゃあ、次は、スライスにいってみようかな。

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