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188.玉ねぎを切らない方がカレーはおいしいのか? 問題

カレーを作るときに玉ねぎはたいていみじん切りかスライスにする。なぜだろう?
そんな疑問が生まれてから、もう6~7年は経過している。細かく切る必要はないんじゃないか、と思っていろんな切り方を試してみると、どうやらくし形切りの方がおいしくできる気がする。大量調理なら四つ割りでもいいくらいだ。皮を剥いて立てに2本包丁を入れるだけ。作ってみるとおいしい。
それだったら細かく切らないほうがいい。少なくとも自分がカレーを作るときにはそうしよう、と決めて5年ほどは経ったんじゃないかと思う。

玉ねぎをみじん切りやスライスなど、細かく切る狙いは、カレーのベースにするために、加熱前の段階で脱水しやすく潰しやすい状態を作っておこうということなんだと思う。少なくともかつての自分はそう思っていた。

ところが、逆なんじゃないかと今は思っている。すなわち、脱水しやすくする、潰しやすくするためには玉ねぎは大きく切った方がいいということだ。そんなことがあるだろうか。矛盾しているように聞こえるかもしれない。「~~しやすい」というのはちょっと曖昧な表現だ。脱水するのに必要な時間だけでいえば、細かく切ったほうが早い場合もある。ただ、脱水した後の玉ねぎの味わいがおいしくなるかどうか、テクスチャーが滑らかになるかどうかで言えば、大きく切った玉ねぎの方が優れていると感じる。

実際に、いくつかの切り方をした玉ねぎを使って同じレシピを使用し、チキンカレーを作って比較をしてみる。試作に臨んだメンバー7~8名で試食後に評価を行ってみると、見事にみじん切りやスライスよりもくし形切りの玉ねぎを使ったカレーの方がおいしいという結果がハッキリと出たのだ。

玉ねぎらしい風味や甘みは強まるし、舌触りの滑らかさの点も優れている。その場にいた人たちの感想でしかないが、少なくとも全員一致で「これならみじん切りやスライスはしなくていいよね」という結果になった。疑い深い僕は、別メンバーでもう一度同様の実験をしたが、結果は同じだった。

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これまでの自分は、僕自身の好みとして「玉ねぎは大きく切った方がおいしい」と感じていた。それは、「僕の理想とするカレーに近づく」という意味で捉えていた。だから、公表するのは避けていた。が、僕以外の人たちも同じ意見なのだとしたら、この手法はもう少し整理して発表してもいいんじゃないか、と思い始めている。

しかし、なぜなんだろう? 

なぜ、玉ねぎは細かく切るよりも大きく切った方がカレーがおいしく感じるのだろうか?

二度目の実験のときに僕は自分の仮説を他の人にも検証してもらうため、じゃがいもとトマトを準備した。玉ねぎに限らず、野菜は大きく切った方がその野菜らしさが感じられるのではないか。

A. じゃがいもを細かく切って茹でる
B. じゃがいもを丸のまま茹でる

C-1. トマトをくし形に切る
D-1. トマトを手で握り潰す

C-2. くし形のトマトを煮る
D-2. つぶしたトマトを煮る

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それぞれ味見をしてみると、AよりBがおいしく、C-1よりD-1、C-2よりD-2のほうがおいしい。それが証明になるとは言えないが、やはり、野菜は包丁を入れる回数が少なければ少ないほどその野菜らしさは発揮されるんじゃないかと思う。バーベキューなどで丸ごとダッチオーブンなどで焼いた野菜がおいしいのも同じ現象だと思う。

何かを断定できるような結果は生まれていないが、ひとつの手法として改めて整理してみようという気持ちは強まった。いま、自分の中には「オニオン・コントロール・コンセプト(OCC)」という構想がある。ここで玉ねぎの切り方についてはまとめてみたいと思う。

★カレーの学校第22期生募集中です。玉ねぎのことも深掘りします。
https://www.curry-project.com/pre-entry-1


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