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204.スパイスカレーの次はハーブカレーの時代か? 問題

スパイスカレーが盛り上がり始めて4~5年くらい経つだろうか。
ま、そもそも僕には、盛り上がっているのかどうかもよくわかっていないし、スパイスカレーの時代なんていうものがあるのかも知らないし、次を求めている誰かに別に会ったわけでもない。
ただ、事実として断定できるのは、僕がハーブカレーにハマっている、ということだ。3年ほど前にふと試作を始めて盛り上がり、せっせと作っているうちに書籍化の話が生まれて進み、ついには来月、新刊として『ハーブカレー』を出すことになった。

「スパイスカレーがあるんなら、ハーブカレーがあってもいいよね」みたいなことから、このカレーを着想したようなイメージを持たれそうだが、出発点は全く違っていた。とある書籍の撮影でタイカレーを作った。
レッドカレー、グリーンカレー、イエローカレーのおなじみ3種。撮影が終わって試食をしたときに「うまい!」とびっくりしてしまったのだ。あれ? おかしいな。タイカレーってこんなにうまいのか。完全なる自画自賛だからバカみたいな話だけれど、おかげでハーブを使ってカレーを作るという行為に突如ハマってしまった。

ハーブと向き合って、カレーを作る。新鮮な体験が続き、僕のいつもの悪い癖で、“ハーブカレー”というよくわからない名前をつけた。
10数年前、『簡単本格! スパイスカレー』という書籍を出版したとき、スパイスカレーだなんてヘンテコな名前で読者に中身が伝わらなかったらどうしよう、と出版社内で侃々諤々の議論になったことを思い出す。当時、カレー本業界(そんなものがあるのか?)では、市販のカレールウを使って作るカレーのことを“ルウカレー”と呼んでいたから、「今回はルウじゃなくてスパイスを使うんですよ」という意味合いで“スパイスカレー”と名付けたつもりだった。今回の“ハーブカレー”も同じ感覚で名前を付けた。
だから、「ハーブカレーってなんですか?」と聞かれたら、こう答えることにしている。

ハーブカレーとは、ハーブが主役のカレーです。

なんとまあ、普通の答え。ま、普通な方がわかりやすいかな、と思い、書籍の巻頭にもそう記した。そして、僕はまたいつもの悪い癖で、ハーブカレーの調理手法を4種類(書籍内では5種類)に分類した。

1.    チョップ……ハーブを刻んで使う。
2.    ペースト……ハーブをすり潰して使う。
3.    (市販のペースト)……市販品を使う。
4.    ホール……ハーブを丸のまま使う。
5.    ドライ……ドライハーブを使う。

こう整理して、試作を繰り返し、レシピ化してみると、タイカレーがキッカケだったとはいえ、タイのグリーンカレーみたいな世界からはかなり遠いところまで幅を広げたな、と思う。さらに書籍内では、わかりやすくスパイスカレー(と呼ばれているもの)との違いを整理している。

●  玉ねぎがなくても作れる
●  スパイスがなくても作れる
●  トマト缶がなくても作れる

正直言えば、こういう整理は、ハーブカレー初めましての読者の方々にわかりやすくキャッチーにまとめているので、個人的にはそれをすごくウリにしたい、というわけではない。だから、この場で小さな声で自分に突っ込んでおこうと思う。

・  玉ねぎがなくても作れる……長ねぎは使ったりしますけどね。
・  スパイスがなくても作れる……カレー粉を使うレシピはありますけどね。
・  トマト缶がなくても作れる……発酵調味料を使ったりしますけどね。

ハーブを使ってカレーを作り続けていて、スパイスを使うときよりも発酵調味料との相性がいいことに気がついた。これは個人的に大きな収穫だったと思う。スパイスが油と合わせて相乗効果を発揮するように、ハーブは発酵調味料と合わせたときに相乗効果を期待できる。

もうひとつ正直言って、ハーブカレーの時代が来るとは別に思っていない。ただ、ハーブカレーがおいしくて楽しいから、これからも当分、ハーブカレーの世界をせっせと掘りたいと思う。ここから数回は、新刊『ハーブカレー』の書籍の中身を紹介しつつ、今はまだ得体のしれないこの新しいカレーについて、解説していきたいと思う。

★2023年新刊『ハーブカレー』5月中旬発売


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