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197.玉ねぎをどうすれば? 玉ねぎはどうなるの? 問題

このチキンカレーを作るときに玉ねぎをみじん切りにするのに、あのフィッシュカレーを作るときに玉ねぎをスライスにするのは、なぜですか? 

何度この質問をしてきただろう? 納得のいく回答を得られた記憶はなかった。「そういうカルチャーなんだから」と納得するしかない状況が続いたが、「サイエンス視点ならそういうことになるのか」と納得する方法はないのだろうか? と取り組み続けてきた。
この問題にサイエンスで回答するなんて、科学者でもない僕には不可能だが、それに近いアプローチで実験を繰り返し、一定の解釈を手にすることはできた。それを今年の新刊『スパイスカレーの基本』で紹介している。

https://www.amazon.co.jp/dp/4756256317

これを僕は“オニオン・コントロール・コンセプト(OCC)”と呼ぶことにした。なに、本のコラムにも書いたが、ジャズの世界にある“リディアン・クロマティック・コンセプト(LCC)”をなぞっただけのネーミングである。

OCCは2つの視点から組み立てられている。

● 玉ねぎをどうすれば? ……“オニオン・コントロール・ポイント”
● 玉ねぎはどうなるの? ……“オニオン・コントロール・チャート”


ポイントもチャートも頭文字で略してみようと試みたが、ポイントは「OCP」でよいが、チャートは「OCC」とコンセプトと同じになってしまうため断念した。どーでもいいですね、このくだり。
ポイントもチャートも6つのカテゴリーに分けられる。
・ポイント……玉ねぎのサイズ/切り方/油の量/火加減/時間/動作
・チャート……うま味/甘味/香味/濃度/粘度/粒感

どんなカレーにしたいかによってポイントを決める。ポイントにそって調理すれば、チャートに反映される。組合せは無数になるが、「狙いや意図を持って玉ねぎを扱える」点で、これまでのカレー調理から一歩前進できるんじゃないかと思っている。
そして、この新刊では、提案しているすべてのレシピにポイントとチャートを図式化して表現している。わかりやすく言えば、「玉ねぎを野菜として活用する」のか、それとも「玉ねぎをスパイスとして活用する」のか、によって採用する手法を変える。得られる結果も変わる。
玉ねぎのうま味や甘みを重視するなら野菜、玉ねぎの香味を重視するならスパイスとして捉える。本当はもっと複雑だが、ざっくり言ってしまえば、そういう感じだろうか。

詳しくは新刊を読み込んでいただければ、かなり踏み込んだところまで解説できていると思う。ちなみに玉ねぎの扱いに関してパターンは無数になるがページ数には限りがあるため、今回は、代表的な12種類の切り方や加熱の方法について詳しくプロセス写真を使って紹介した

さらに32種類のカレーについて、玉ねぎ加熱終わりの状態(オニオンベース)の写真を紹介している。

ああ、玉ねぎと向き合うだけでカレーのバリエーションは果てしなく広がるんだな。そう思ってもらえたらいいなと思う。

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