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210.スパイスの香りはどう把握すればいいのか? 問題

「スパイスペンタゴン」というのを聞いたことがある人はいるだろうか?
「知っている」という人はかなりマニアックな人かもしれない。
僕が2年ほど前の書籍『スパイスカレー新手法』で発表したスパイスの香りを把握するためのメソッドである。ペンタゴンというくらいだから、五角形をしている。スパイスの香りをおおまかに5通りの方向性に大別し、それぞれを点数化してスパイスごとに香りを把握しようとしたものだった。
5種類とは、「FLORAL」「ROASTED」「MELLOW」「DEEP」「EARTHY」である。これでだいぶスパイスの輪郭がハッキリしてきたと思っていた。ところが、なんとなく説明しきれていない感じがあった。それはたとえばクミンシードの持つ「ツンとした刺激的な香り」が分類できないことだった。

今年、新刊『スパイスを極める』を制作することが決まったとき、スパイスペンタゴンは進化させなければならないと思って考えた。結果、「SHARP」というカテゴリーを見つけた。これで網羅することができそうだ。
ということで、スパイスペンタゴンは進化してスパイスヘキサゴンになった。

S:SHARP……刺激的な香り
F:FLORAL……華やかな香り
R:ROASTED……香ばしい香り
M:MELLOW……まろやかな香り
D:DEEP……深みのある香り
E:EARTHY……大地を感じる香り

すべてのスパイスに6つの要素が含まれる。ただ、それぞれの強さは違う。3段階で評価したものがある。こういうものは、本の重要なコンテンツになるため、公開しない方がいいのだろうけれど、ここで公開してしまおう。

ちなみに、この表は、ハーブ版もある。

さらに6つの要素をさらに細分化して香りの種類を細かく分け、イメージに近いスパイスを例示している。これは入稿前の途中の表だけれど、ほぼ完成に近いもの。

そして、スパイスヘキサゴンの真骨頂はまだこの先にもある。複数種類のスパイスをブレンドしたときにどんな方向の香りになるのかを視覚的に把握することができるのだ。

*スパイス4種でカレー粉……ターメリック、レッドチリ、コリアンダー、クミン
*スパイス3種でガラムマサラ……グリーンカルダモン、クローブ、シナモン

それぞれ図の形が違う。
バランスの取れたカレー粉の形と少しいびつなガラムマサラの形。
ところが、それぞれミックスするスパイスの種類を増やして7種にするとどうなるだろう?

*スパイス7種でカレー粉……ターメリック、レッドチリ、コリアンダー、クミン、フェヌグリーク、グリーンカルダモン、ブラックペッパー
*スパイス7種でガラムマサラ……グリーンカルダモン、クローブ、シナモン、ビッグカルダモン、メース、フェンネル、ブラックペッパー

両者の形はかなり似通ってくるのだ。
ひとつの料理に使うスパイスの種類は、増やせば増やすほど凡庸な(平均的な・没個性的な)香りにいきつくことが想像できると思う。

ともかく、スパイスの香りを把握するために、自分なりのモノサシを持つことは大事だし、そのモノサシが他の誰かと共有できるようなものであるとさらにいい。そういう意味で、このスパイスヘキサゴンは活用しがいがあるメソッドだと思う。

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