24. フレッシュハーブは冷凍すれば長持ちするのか? 問題

前回、この“問題シリーズ”でシナモンリーフ(インディアンベイリーフ)を取り上げました。乾燥した市販のシナモンリーフにはほとんど香りがなく、おまじないとハッタリに使うのがいいと。すると、記事を見計らったかのようなタイミングで翌日に沖縄からとても質のいいシナモンリーフが届いたんです。まだ詳しくは言えませんが、今年の新刊でスパイスの本を出版する予定があり、そのイラストレーターさんが知人にお願いして手配してくれたものでした。

7~8種類のフレッシュなハーブがどっさり入った段ボール箱の中にシナモンリーフもありました。日本でフレッシュなシナモンリーフを手にしたことはなかったので、かつてインドのスパイスビレッジでの体験がフラッシュバックして、思わずピリッと破って香りを確認しました。予想通り、シナモンの甘い香り……。ああ、これなんだよなぁ、と感激しました。すぐにカレーを作りたい、という衝動にかられましたが、このまま乾燥させてみようと思ったんですね。市販の乾燥シナモンリーフがなぜあんなに香りがしないのか、自分で乾燥させたらどうなのかを試してみたくなったからです。

自分で乾燥させるのはいくつかのフレッシュスパイス(ハーブ)で経験があります。たとえば、カレーリーフ。我が家にはいくつも鉢植えがあって、カレーリーフを育てていますが、冬が来て葉が枯れてしまう前に摘み取って自然乾燥させています。市販のカレーリーフもまるで香りがしないという印象ですが、自分で乾燥させたカレーリーフはかなりいい香りがするんですね。不思議です。スパイスの処理や扱い方、流通のどこかで香りが損なわれているということなんでしょうか。いずれにしても、沖縄のシナモンリーフは、このまま香りを保って乾燥させていくことができるのか、これからが楽しみです。

さて、カレーリーフは、乾燥させるほかに保存方法としては冷凍があります。密閉容器や密閉できる袋に入れて冷凍庫に入れます。これでほぼ香りは生の状態を保てます。使用する時には少しだけポイントがあります。それは、解凍させずに調理している鍋に投入すること。それが炒めるプロセスであろうと煮込むプロセスであろうと、です。これは解凍する過程でカレーリーフのエキス(この場合は香りの素となるエッセンシャルオイルになると思います)が流れ出てしまうからなんです。だから凍ったまま調理に使う。

基本的にフレッシュスパイスやハーブ類の保存は、この冷凍が最適だと思います。ただ、例外的にバジルなど冷蔵、冷凍保存に向かないものもあります。温度が下がりすぎると黒ずんでしまって香りが損なわれるんですね。そういう場合は、生のまま切り口を湿らせたキッチンペーパーなどでくるんで常温に置くのがいい。実際、沖縄から届いたバジル以外のハーブ類もこの状態で新聞紙に包まれていました。

冷凍以外に長持ちさせる方法として、僕がよくやるのは、油と合わせる方法です。届いた段ボールの中には僕の大好きなフレッシュフェンネルがありました。この葉を密閉できる袋に入れてオリーブ油を注ぎ、空気ができるだけ入らないようにして閉じる。ハーブオイルになります。僕は業務用の真空機があるので、真空パックしました。これで2週間以上冷蔵庫で保存できますし、このまま冷凍にしてもいい。他にも方法は色々あります。酢と合わせればハーブビネガー、バターに練り込めばハーブバター、ペーストにして密閉容器に入れればハーブペースト……。

経験はありませんが、フリーズドライにしたら、どうなるんでしょう? やってみたいですね。いずれにしてもフレッシュな状態の香りにはかないません。美しいもの、香り高いものには限りがあります。永遠に残したいというのは、叶わぬ夢なんですね……。

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