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人生のサウンドトラックvol.1

ギンガをこえて/イーグルフェロモン

やっぱり一枚のアルバムというのは、熱い。

とくに、一人の個人が作ったアルバムというのは、その音にこもった熱量は半端ない。と、僕は思っています。

今回から音楽(とくにアルバム)紹介を「人生のサウンドトラック」と銘打ってやっていきたいと思います。

人生のサウンドトラックとは、これを聴いたらふと、あの風景、あの感情、あの空気…などを呼び起こす装置のような音楽のことです。といっても、当時はあーだったなぁとか思い出を思い出すということではなくて、もっと感覚レベルで風景が感情が空気が呼び起こされる感じです。わかりにくいかもですが、皆さんもそういう感覚になったことありませんか。

例えば、僕はBECKの「SEA CHANGE」というアルバムが大好きで、僕の人生に多大な影響を与えている一枚だと思ってます。noteで初めての投稿をしたときもこのアルバムを紹介しました。

…「アルバムの一曲目Golden Age。イントロのギターかシンセかで作られた生温かい柔らかで存在感あるグロッケンのような音色が印象的。あの音を聴くと、当時のどうすることもできない問題にぶつかっていた自分を思い出す。寒い2月の夕方、新都心のTSUTAYAで借りて、外の階段を降りながらウォークマンで聴いた。ちょうど冷たく沈む夕陽とこの音色が重なって、心に染みた。」…という感じです。思い出すって言ってますけどね。でもなんとなく「呼び起こされる」ニュアンスは伝わりますか。つまり、人生のサウンドトラックとは、自分の人生に深く染み込んでいる音楽なんです。

3年前からnoteを使うようになってからは、いろんな方が作るリアルな音楽を耳にする機会が増えました。noteの中で知り合うことで、作り手の顔が見える音楽というか、人生が見える音楽というか。そういう音楽・人に出会うことができ、イーグルフェロモンさんもその一人でした。noteに投稿された数々の曲(弾き語りなどのデモも含む)や音楽エッセイ、ラジオ「今夜は玉手箱」、ライブ映像など…その生の活動をリアルタイムで楽しむことができました。AIRPORTや僕のソロアルバムの制作でも関わることができ、その音楽に対する真摯な姿勢に僕は感銘を受けています。

というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、イーグルフェロモンさんの最新アルバム「ギンガをこえて」。

だいぶリリースから時が経ってしまい(2019/7/7七夕にリリース)、申し訳ない気持ちでいっぱい。もっと早く書きたかった。

とにかく、このアルバムは、熱い。そして、なんだか温かい。
アルバム全編を通して打ち込みで造られたサウンド・音像は、コンピューターというかデジタルな音で造られているはずなのに人肌のように温かい。
この人肌のような温もり、一体何だろう。

公式サイトのアルバム紹介によると、アルバムの音楽ジャンル?は四畳半宇宙ポップだそうだ。宇宙の旅をテーマにしたようなアルバムのコンセプトやサウンドの統一感がありながら一曲一曲の個性は際立っている。まさにアルバムの理想形。

こんなアルバムを作り上げるまで、一体どんな道を歩んできたのか。彼の人生や心の一面が透けて見えるような、その生き様を見せてくれるような、そんなアルバムだと思った。その佇まいに温もりを感じてしまうのかもしれない。

お気に入りの曲をレビュー

1.水と光のこどもたち

個人的に「こどもたち」という言葉だけでもワクワクしてしまう、その期待をどんどん膨らませてくれる、透き通るような響きのイントロ。デジタルな音だけど、なんか温かい。でも色に例えると暖色ではなくて「透明」で、森みずうみさんがデザインしたアルバムジャケットのイメージに近い。中盤以降の子どもたちのかけ声が祭りのかけ声のように聴こえてくるところが、イーグルフェロモンさんらしい遊びの効いた一曲。

2.リンネ

シングルとしても先行リリースされた一曲。ドリーミーなサウンドながら冒頭から「カップ麺をすするたび」と歌われる。この歌詞の響きとサウンドとのギャップがクセになる。
とくにサビの構成やコード感がおもしろい。R&Bというのかな、イーグルフェロモンさんの歌声もソウルフル。柔らかい高音のシンセ?の存在感やパーカッションなどリズム隊の軽快さが聴いててサウンド的にもクセになる。

6.飛ぼうよ

イーグルさんの曲は間奏が好き。この曲においても、すーっと深呼吸するように羽を休め、呼吸を整えてくれる。森みずうみさんの歌詞の世界を、イーグルフェロモンの視点で捉え直して新しい命を吹き込んでいる。「走り去っていく…」のメロディは流れるような伴奏や重なるコーラスと相まって溶けてしまいそう。

8.ギンガをこえて

タイトル曲であり、ドラムマシンの8ビートが効いたエレクトロポップ。noteでは弾き語りバージョンが投稿されていて、それを聴いてこの曲もやっぱりギターで作られているんだなと改めて思った。アルバム収録のこのバージョンももちろん魅力的だけど、弾き語りの方がワイルドな魅力がある。ライブでは、この弾き語りをやるんだろうなぁ。「ずっと泳いでマゼランまで」のフレーズが印象的。

9.黄色いバラ

すごくシンプルなサウンドで、すごくシンプルな歌。まるで童謡のように、「みんなのうた」のように親しみやすい。アウトロのコーラスは、黄色いバラが開いていく様を思い浮かべた。なんだか銀河系の静かな爆発で星々が生まれていくような、そんなイメージがゆっくりと膨らんだ。

11.遠い故星

このシンセのウォールオブサウンド、アンビエント。好物なんです。惑星の周りをゆっくりと漂うような、何か大きなものに還っていくような…。似ているというわけじゃないけど、ブライアン・イーノの「Another Green World」を思い出す。インストものだけど、最終曲の「ロックンロール」に繋がるようなメッセージも歌われる。

12.ロックンロール

この曲も、ライブで聴いてみたい。背中を押してくれる、本当に、ありがたい1曲。力強い渾身のイーグル節が聴ける。


…なんと、このアルバムは13年ぶりの新作だそう。それをこうしてリアルタイムで聴けるのは本当に貴重ですごいことだと思う。ぜひ、たくさんの方に聴いてもらいたい。

きっと何年か後、ふとしたときに人生のサウンドトラックとして、僕の脳内に「音と風景」が再生されるんだろな。


『ギンガをこえて』

1 水と光の子供たち
2 リンネ
3 夜ノスキマニ
4 宇宙ドライバー
5 揺らめくアカリ
6 飛ぼうよ
7 まわる世界
8 ギンガをこえて
9 黄色いバラ
10 パラダイス
11 遠い故郷
12 ロックンロール

『ギンガをこえて』デジタル配信中! https://linkco.re/qzEcXCnn

『ギンガをこえて』アルバムダイジェスト https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=Gq-QpAf0Zq0

イーグルフェロモン公式サイトhttps://eagleferomon.wixsite.com/eagleferomon-music

通勤途中の道で。「ギンガをこえて」聴いていたら沿道にある動物園の倉庫?にイーグル?が。屋久島ザルが逃げたことでもニュースになった動物園です。


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