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E屋

暑い日が続きますね。藍郎です。

2年前のある日に私の家に一人の男が訪ねて来ました。

その頃の私は主催していた劇団が解散してしまい長年のライフワークを失ってしょげていた所に降って沸いた様に妻が妊娠したのでテンション上げて妻の実家がある町田に引っ越しして出産に備えました。新居は家族3人で暮らせる様に広々とした綺麗な部屋を借り妻の負担を考え育児休暇を取得。

新生活に期待は膨らむ一方!!

私には神の声が聴こえました。

神「藍郎くん…今迄のあなたの腐った人生を悔い改めなさい…悔い改めましたか…?よろしい…しからば藍郎くんに神の子を授けましょう…。名をナウシカと名付けなさい…。ナウイでしょ…?」って。


しかし人生なかなか上手くいかないものです…

無事に出産してから元々神経質だった妻はさらに過激になり夫婦関係が急速に悪化😣新生活のスタートは見送りとなり妻と子供は妻の実家から新居にたまに会いに来る関係になってしまい…

控えめに言っても離婚は秒読みでした…。しかし育児休暇を取得していたので時間だけは多くあったのです。

私は広い家で寝転びぼんやりと天井をじっと見上げて考え事をしていました。

これまでの事…これからの事…家族…金…。

そこに、

ピンポーン、、、はい。

男「こんにちは。生活に役立つ情報を配布しております。」

訪ねて来たのは小綺麗な初老の男性でした。眼鏡をかけて私のルックスに少々驚いている印象があります。

私はピンと来て言いました。

私「ひょっとして貴方はEの証人ではありませんか?」

男「えっ…ええ、そうです。」

私「おお…あなたがあの有名な!最初にそう言ってくださればいいじゃないですか?」

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ところで聖書ってご存知ですか?

そう、ユダヤ教とかキリスト教の経典であり世界中に大きな影響を与える偉大な書籍です。実は私は関心がありました。と言うのも主催していた劇団で西洋の戯曲を扱うことも多かったのですが、、

まぁ〜出てくる、出てくる!!

シェイクスピアの作品群なんかは聖書の概念がなくては存在しないかも知れません。チェーホフの作品にも大きな影響を与えております。

戯曲だけではもちろんありません。詩や小説、絵画や建築、音楽といったアート。思想や哲学、政治、科学、倫理や行動規範…文化、言語。

21世紀の現代をしてなお多大な影響を持っているのです。

今日でも知られるダビンチの「最後の晩餐」.ミケランジェロの「ダビデ象」、ガゥディの「サクラダファミリア」、「レ、ミゼラブル」。

数え上げればキリが無い!文句なく世界一の文献でしょう。

加えて私は劇団で次回上演する演目のテーマを「信仰」にしたいと常々考えていて地元富士宮市(富士山の近くは宗教団体が多い)にある信仰宗教に取材したりしていました。

取材対象が向こうから来たというわけです😎

劇団は解散してしまい本は書けなくなってしまいましたが彼等のメンタリティやマインドには少なくない興味は持っていたのです。

で、Eの証人は聖書を唯一の真理とする団体であります。聖書に書いてある事は全て本当。それ以外の経典は全て嘘。そんな感じです。

Eの証人に多くの人が良いイメージはないのでは無いのでしょうか?私もそうです。

とにかく…

しつこく家に来る気持ちの悪い集団

輸血とかで何某かの事件を起こした危ない連中

善人面の詐欺集団

ってとこでしょうか…。

そーですね。私も大体そうです。

ただ私には信条があります。相手の性別や年齢、人種やセクシャリティーはもちろん政治思想や信仰でも差別や偏見を持たない。

です🙂

まぁ当たり前でしょうか?

意味不明な偏見や差別での機会喪失ほど残念なものはない。そーゆうのを残念な人と言うのでしょう。

私は恐れない。興味があったらすぐ行動。さぁ行こう!神よ、私に勇気を与え給え!!

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訪ねて来たのはTさんと言う方でなんでも40年も聖書の研究をされているそうです。若くして聖書の素晴らしさに気づき、ものみの塔(Eの証人のパトロン)に近付いたそうです。

私「聖書については謎がつきませんよ。明確に書かれていますよね。人を傷つけてはいけない、汝の敵を愛しなさい、とか。でも例えば世界大戦です。同じ聖書を持つフランスやドイツ、アメリカ🇺🇸やロシア🪆がどうして戦うのでしょう?教義はどこにいったのですか?」

T「それは彼等がサタンに操られているのですよ。」

私「サタンww?」

T「そう、サタン。今の世界はサタンの支配下にあり神はそれを大変悲しんでおります。私たちは神の言葉を伝えるために苦しい奉仕活動を続けているんです。」

私「知らんがな…(小声)。そうですかー。大変ですねー。それでサタンに騙されているから戦争が起きたって理解でいいですか?」

T「そうなんです。中国やロシアでは私達は本当に迫害されています。私達の王国会館は激しい迫害で…」

私「いや、そんなこと聞いてないよ。」

Tさんは一通り喋った事で満足したのか再度来ると言って帰って行きました。

何を言っているのか分からない部分が多かったので彼等のことをネットで調べてみました🐯

ある程度予想してましたが…
まぁ〜出てくる!出てくる!!

肯定的な見方はゼロ。人気がないのには理由があるのですね。↓これおすすめ。おもろい。


奇妙な世界観や習慣で生き難い人生を歩む2世の話ですが本当に訳が分からない人達であります。

どうしてあれだけ知能の高い西洋諸国の多くが聖書を規範としているのか全く分からない…

創世記とかなんやねん…あれ?ばかじゃないの…?

個人的には聖書は御伽噺って感じ。第一に名前が気に食わない。聖なる書って(笑)

Tさんは足繁く(週2くらい)訪問されます。目的は聖書を万人に読ませる事が目的だそうで奥様やらお孫さん(一族でE屋)やらお仲間を伴って今日はココ、次はココといった具合で永遠と続く♾

読めば読むほど関心が遠のいていきますが特に理解できないのは多様性の否定でしょうか。

E「異教徒は大嫌い。特にユダヤ教は絶対許さない!聖書以外の教科書は認めない🙅‍♂️読んでも考えても駄目👎エロはもちろん禁止。同性愛なんてもっての外🤢地獄の業火で燃やしてしまえ🔥🔥」

と言って憚りません(個人のイメージ)。

それまでの私の持っていた印象は「汝の敵を愛しなさい…」とか「上着を盗られたら下着もプレゼンツ!」などの有名な聖句を筆頭に寛容や愛を基本原則として成り立っているものと考えていましたが…実際は極めて狭量で頑固、不遜で嫉妬深く凄まじい思い上がりが感じられます。
 もっとも私がひねくれているからそう思うのかも知れませんが悪いところばかり目に入ります。

が、しかし偏見はいけません。Tさんに誘われてEの証人王国会館に行ってみることにしました。

なんせ暇だったもので…

Tさんが車を出してくださったのでTさん夫妻と私の3人です。

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車内にて

私「正直言って聖書は読めば読むほど嫌いになりますよ。意味不明すぎちゃってね。傲慢な考えに腹立たしくって腹立たしくって。」

T「そんなことはありませんよ。篠田さんは読み込みが足りないから邪推しているんですよ。真理に気付かないのです。」

私「それは私の頭が悪いから正しく読解出来ていないという意味ですか?」

T「そうは言ってませんが…。読み込みが浅いのですよ。私にしたって40年も読んできましたが新たな意味に気付かされる事が今でもありますよ。」

私「いえ、私の頭が悪いから理解出来ないって事なら、それはそれでいいんです。問題は聖書というよりTさん達の反社会的な活動ですよ。」

T「どういう意味ですか?」

私「聖書という影響力の強い文献を利用して悦に入って迷惑行為を正当化したり恥知らずな虐待を善人面で行っていると言う意味です。あなた方が。」

T「篠田さん、いくら何でも言葉が過ぎるんじゃないですか?私達は教義に忠実に生きているだけなんです。お分かりにならないんですよ。篠田さんの様な人達に私達は昔から過酷な迫害を受けて来たんです。」

私「それですよ。そうやってすぐに悲劇のヒーローぶるんです。私達は善行を行なっているのに不当な扱いを受けている可哀想な団体であるって。」

T「はい。事実そうですからね。」

私「しかし実態は欺瞞に満ちている。世界中で常軌を逸した布教活動をして仲間を集め金を集め子供達に苛烈な洗脳をかけてニコニコ笑っている極めて不気味な集団。私は迫害されて当たり前だと思いますよ。」

T「洗脳されているのは篠田さん、あなたです。」

私「ははは、Tさんはそんなんだから家族を殺すことになるんですよ。」

T「はぁ、、?なんだと!?」

私「ですから、そんなんだから

ご自分の娘をズタズタに洗脳してレイプして挙句に問題が発生して排斥という名の半分だけ殺して放り出す

事になったって事ですよ(笑)」

T「こっ、、この…サタンの末裔めが!」

車は無事に目的地に着きました🚗

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幹線道路沿いにそこはありました。薮道を二、三分走ると荘厳な建物が現れました。

しかし、Eの証人の方は気持ちのいい人達です。いえ、本当です。皮肉でもなんでもないです😊

目が合うとニコリと微笑み「こんにちは😃」って!

それが出来る人が現代では少ないと思いませんか?

エレベーターとかに乗っても決して口を開かず目を合わせず…電車に乗れば、肩張り肘張り、舌打ち…

現代人は挨拶も出来ないって事です😎

そういう意味合いで言えば信仰や宗教は劇的に生活レベルを上げて素晴らしい満足感を提供する優れた教科書だと思います。逆に言えば信仰(規範や道徳、正義や誇り、とかって言い換えても良い)のない人は話す価値が少ないし面白くない。

だから自己啓発的な意味で聖書を読む価値はなくもないです。なんせ聖書ですから。私は読みませんが🐥


集会には男女合わせて80人くらいいたでしょうか。皆が一様に正装で女性の比率が高めです(実際にこの団体は七割くらいが女性らしい)。様々な人がいます。車椅子や知的なハンディのある方もいます。年齢層も幅広い。上は70代から下は乳幼児まで。歴史を感じます。

登壇者が聖句を引用して説教をして、それを視聴者に質面して視聴者が答える。これを何度も繰り返し、聖歌を歌って解散。こういった流れだそうです。

嫌な物をみました…。

登壇者の質問が投げかけられます。

登壇者「世界中で起こる災害で少なくない人が亡くなっています。それは何故ですか?」

視聴者は半分くらいの人が手を挙げます。その中の一人は見たところ4〜5歳の少女でした。登壇者が指名します。彼はその場のあらゆる人を男性は兄弟、女性を、姉妹と呼びます。

登壇者「では…k姉妹。」

おずおずと少女が答えます。

少女「はい…。えっ〜っとぉ…それは〜…Eが〜決めているから~です…。」

登壇者「(ニッコリ)そう。その通りですね。」

少女「ふぅ…(ニッコリ)」




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短い時間でしたが私はみた瞬間にゾッとしました。

恐らく未就学児童であろう少女が…親や唯一のコミュニティでゴリゴリに洗脳している!

何が問題なのかは言うまでもないのです。この先に厳しい戒律で少女は成長の過程で沢山の困難に見舞われる事でしょう…。

国歌や校歌を歌っていけない。正月や誕生日等の祝日や記念日を祝ってはならない。競争をしてはいけない。性的な事は配偶者以外で考えてはいけない。血は神聖な力があるから献血や輸血は禁止。マスターベーション禁止。ハルマゲドンで世界は滅ぶ、。Eを除く全ての神は偽物である。自分達のコミュニティは正しく自分達以外は滅ぶ。滅びから一人でも多く救うために身を粉にして布教活動をしなければいけない…。

これはほんの一例で他にも沢山の戒律があり現代社会で生きる上で相容れない事は山の様にあります。従って当然の様に少女は学校や会社で孤立して益々Eの証人集団に昏倒していく…。年月を経てニコニコしながら戸を叩く。

かつての少女「こんにちは!生活に役立つ聖句をご紹介に来ました!!」

とかってなる。なんて不憫な子だろう…。

将来的に勇気を出して関係を絶っても壊された少女時代は戻らない…生涯にわたって多大な影響が出るし家族とは絶縁…。

僕は僕の娘に同じ事を絶対しない。そんな事をするぐらいなら死んだほうがマシ!

って思った。

帰りの車中

私「Tさん、私は決めました。二度とここには来ません。聖書を読むのも止めます。」

T「ふっ…どうしてです?」

私「私が参加すると言う事はEの証人がおこなっている子供達への洗脳と虐待に与する事になってしまうからです。」

T「やれやれ…またそれですか。篠田さんは騙されているんですよ。アメリカやロシアに欺かれているんです。」

私「何を言っているのか分かりませんよ。アメリカでもロシアでもなく誰のせいでもない。あなたがた夫婦の恥知らずな虐待に与したくないんです。 私も善人面をする気はありませんが集会に参加させられている子供達の将来を考えると胸が痛みますよ。あなたがた教団は最低のクズ」

T「私達は命の道を歩いているんです。つまり…

狭き門より入れ。
滅びに至る門は大きくその路は広く、これより入る者多し。
いのちに至る門は狭く、その路は細く、これを見出す者なし。

です。」

私「洗脳されているんですよ。人に対する冒涜が狭き門だとね。」

T「はたして洗脳されているのはどちらなのでしょう?それは最後の審判の日にわかるでしょう。」

私「待ち遠しいですよ。その審判の日とやらがね!」

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車は無事に私の家に到着しました。

こうして日常に戻った私でしたが、それ以後も訪問は続きました。彼らに対する嫌悪感はあったものの私自身が相変わらず暇でしたし聖書以外のTさんとの話はなかなか楽しい時間であったからです。

今になっても日々のちょっとした事で彼等を思い出します。

悪い人達ではありませんでした。いやそればかりか善良な人達であったと言っていいくらいです。

数ヶ月後に協議離婚が成立して終われる様に町田を出るのですがTさんが引っ越しの前夜に訪ねて来て雑多な不用品(切れた電球や割れた鏡)を引き取ってくれたばかりか奥様手作りのお弁当を持って来てくださいました。

ほとんど文無し状態の私には大変ありがたく、また素晴らしく美味に感じられました。30以上も歳下のフリーターの私に自転車で20分もかけて弁当を運んでくれたのです。もちろん一切の見返りなしです。なかなか出来ることではありません。

意地の悪い人は、

そうやって付け込もうとしているに違いない…とか

弁当に幻覚剤が入っている…とか

って言うかもしれませんが私には分かります。

彼等の言動から邪なものは全く無く一途に私の身を案じている事が感じられました。

もちろん教義でそうしているって事もあるでしょうが元来が穏やかで親切な堂々たる気高さを身に付けた人達なのでしょう。

虐待や洗脳に関しても丸ごとそれらを教育と呼ぶ事も確かに可能でそれによって傷つきもすれば助けられる事もある。

〜教育とは詰まるところ洗脳なのだ!〜

悪の教典 より

勤労の義務、軍隊教育や極右思想、ブラック企業、男性優位の社会システム…

数え上げればキリがない。考えてみれば全部洗脳

まぁ、無論わたしは賛同できませんが…。確かに正解は分かりませんが不正解はあると思うな。Eの子供達の幸せを祈ります。

祈るしかしないわたしの無力…


しかし

洗脳されてるのは彼等なのか私なのか…

なんて、ふと思い出す夏の日😎

ちょっとしたつもりで書き始めたのですが、こんな長文になるとは思わなんだ…

最後まで読んでくださった方がいたら

ありがとうございました😊ではまた。






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