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文色みち【毎週ショートショートnote集】

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私が、たらはかに(田原にか)様が企画している【毎週ショートショートnote】に参加した作品のマガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

耳障りな挨拶【#イライラする挨拶代わり #毎週ショートショートnote】

ある日、夢をみた。 彼の両親に結婚の挨拶をするという夢だ。 彼は資産家の一人息子で、厳格…

文色みち
1年前
16

おそれ多いノリ【#鳥獣戯画ノリ #毎週ショートショートnote】

ノリに乗っている人のことを、この世界では鳥獣戯画ノリと呼ぶらしい。 それがその人のことを…

文色みち
1年前
12

真っ赤なピエロ【#告白水平線 #毎週ショートショートnote】

「ねえ、どうして地球は丸いかって考えたことある?」 彼が海岸に腰掛けながら唐突に言葉を漏…

文色みち
1年前
12

お金をステるネコ【#未来断捨離 #毎週ショートショートnote】

この招き猫型の貯金箱には秘密がある。 もちろん、見た目はどこにでもある招き猫。背中にコイ…

文色みち
1年前
10

僕の瞳が【#最後のマスカラ #毎週ショートショートnote】

僕が初めて心を盗まれたのは、幼少期のころに出会った瞳の大きな女性だった。 親とはぐれた僕…

文色みち
1年前
17

これは案件です。【#秘密警察を宣伝してみる #毎週ショートショートnote】

「先輩! これお昼です!」 「ばか、張り込み中だぞ」 「あ、すみません」 「ん? これ頼…

文色みち
1年前
8

さいごの笑み【#半笑いのポッキーゲーム #毎週ショートショートnote】

「おめでとうございます。ゲーム終了です。では賞金を差し上げようと思うのですが、その前に余興でもしませんか?」 スピーカーから半笑いの声が聞こえてくる。 ふざけているのか。こちらは命がけでデスゲームに参加させられて、ようやく最後の二人になったというのに。 傍にいたエミに目を向ける。僕と同じ感情のようだ。 「その名もポッキーゲーム。もちろん君たち若者がやるような生温いものじゃないですよ。二本あるポッキーのうちひとつには毒が塗られてます。普通のポッキーを選べば無事に賞金を獲

目利きこそ金なり【#金持ち教習所 #毎週ショートショートnote】

とある山奥に新しくオープンした『金持ち教習所』。 そこには二つのコースが存在している。 …

文色みち
1年前
10

塩をかけすぎた恋【#ほんの一部スイカ #毎週ショートショートnote】

今日で最後だから、どうしても悔いは残したくなかった。 近づくだけでも心臓が痛くなる。声を…

文色みち
1年前
8

風穴を開ければ【#スナイパーの意外な使い方 #毎週ショートショートnote】

我が社は実力至上主義。 社員全員がチームというよりもライバル。他人を蹴落としてでも自分が…

文色みち
1年前
13

傷口に塩を【#塩人(しおんちゅ) #毎週ショートショートnote】

彼女にフラれた。 夕暮れ時、僕が海岸沿いで一人寂しく座っていると、遠くのほうから一人の女…

文色みち
1年前
7

あくまでも噂【#アナログ巌流島 #毎週ショートショートnote】

「ねえ、知ってる? アナログ巌流島の噂」 「なにそれ?」 「そこはね、その島に二人で立つ…

文色みち
1年前
9

顔が売れる【#顔自動販売機 #毎週ショートショートnote】

この国は笑顔こそ、至上主義。 笑顔のレベルはAIによって数値化され、値が高い人ほど能力の高…

文色みち
1年前
7

割れた心【#メガネ朝帰り #毎週ショートショートnote】

「……はあ」 早朝、寝ぼけ眼でテーブルの上鎮座している冷え切った二つの皿を見て、自然とため息が漏れた。 スマホを覗くが、連絡も無い。 もやもやするが、ひとまず顔を洗うため洗面所に向かう。 するとインターホンが鳴った。玄関に近づくと、扉越しに声が聞こえてきた。 「ごめんっ!」 彼の声。 どうして謝るの? 謝るのは違うんじゃない? そんな疑問ばかりが脳裏を埋め尽くす。 扉を開ける勇気が出ない。 迷っているうちに、廊下を走り去る音が遠ざかっていった。 慌てて玄関扉を開