厚生年金保険法・保険料等の算出と分割・国庫負担・厚生年金基金と企業年金制度

保険料の額=(標準報酬月額+標準賞与月額)×保険料率
保険給付の額=平均標準報酬額×給付乗率×被保険者期間の月数
※平均標準報酬額とは、厚生年金保険に入っていた期間(被保険者期間)の全標準報酬月額と標準賞与額を合計して、その人の被保険者期間(月単位)で割ったもの
※保険料率は、標準報酬額、標準賞与額にそれぞれ掛けて計算する。計算過程、合計額の算出でそれぞれに端数処理のルールが別個にある。

厚生年金保険法の標準報酬月額は、第1級88,000円から第32級650,00円まで。標準賞与額には、健康保険法の年度内573万円といった上限はない。賞与をもらうごと届出が必要。1度にもらう賞与が150万円を超える場合は、150万円が標準賞与額となる。

社会保険の保険給付は、基本的に譲渡、担保、課税、差し押さえが禁止され、保護されている(受給権の保護)。例外として、老齢厚生年金には課税される。また、独立行政法人福祉医療機関は、公的年金を担保に供して小口資金の貸付制度を利用できたが、令和4年3月末に申込受付が終了。
改定という形で、夫の記録を減らしたり、妻の記録を増やす、あるいは決定という形で全く記録のない人には新しい記録を与えて年金額を合理的に分けることはできる。合意分割は、夫と妻がどれくらいの割合で過去の納付の記録を分割するかを話し合い、合意の上で分割する。3号分割は、平成20年4月1日以降の婚姻期間にしか使用できず、分割の方法が決まっている。平成20年4月1日以降の婚姻期間のうち、妻が国民年金の第3号被保険者だった期間の夫の記録を2分の1に分割できる。夫の記録は分割前の2分の1に、妻は分割された夫の記録同様2分の1分が新たな記録として発生する。夫は改定、妻は決定。
合意分割は平成19年4月1日以後に離婚した夫婦にしか適用されないが、適用されれば平成19年4月1日より前の婚姻期間についても分割できる。3号分割は、平成20年4月1日以後の婚姻期間にしか適用されない。

厚生年金保険法の保険料は事業主と労働者が折半して納め、毎月の保険料は翌月末日までに納付しなければならない。事業主は給与から保険料を控除した場合、控除に関する計算書を作成し、控除額を被保険者に通知しないといけない。厚生年金保険の保険料は、毎年度一定の割合で上昇して、平成29年度9月分からは上昇しなくなった。平成29年度9月からは1000分の183.00とされ、この先、この率以上にはならない。

厚生年金保険制度でも国庫負担が行われており、国庫によって予算の範囲内で事務費が負担され、保険給付の一部も負担されている。国と実施機関は基礎年金拠出金なるものを捻出するが、この拠出金の半分は国庫が負担する。

平成24年1月1日から、確定拠出年金の企業型年金において、マッチング拠出が可能となった。従業員の老後の備えの資産づくりのための掛金を、事業主の拠出のほか、一定のルールのもと、従業員も拠出できる。

昭和40円代日本が高度経済成長をしていた時期にできた厚生年金基金は、集めた保険料の一部を国に代わって運用したり、基金独自の給付のために利用したりした。企業年金制度の1つに分類されていた。厚生年金基金の仕組みがある適用事業所の被保険者は、条件さえ満たせば同時に基金の加入員となった。現在は法改正により、平成26年4月1日以降、新しく厚生年金基金を設立することはできなくなった。

代行の仕事をなくし企業年金独自の掛け金の徴収と、独自の給付を行うのが、確定給付企業年金。加入すると、老後になってもらえる年金額が決まっている。

確定拠出年金は、企業が掛け金を負担する代わりに、将来年金独自の給付を受ける予定の従業員が自己責任でその独自給付の資金を運用し、老後には運用実績に応じた額をもらうという仕組み。

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