健康保険法の標準報酬月額と標準賞与額、保険料の算定と費用負担
健康保険法では、労働の対償として得るお金を賃金とはいえず、報酬と表現し、一月にもらう報酬を報酬月額という。傷病手当金、出産手当金、労災保険の給付や出張の旅費などは、労働を評価して支払われたものではないため報酬ではない。保険料の額の決定については、3ヶ月を超える期間ごとに労働の対償としてもらうボーナスなども、含む。報酬月額と賞与により、保険者が保険料を決定する仕組みを総報酬制という。
標準報酬月額とは、保険料を出す基になる数字。この標準報酬月額は、まず標準報酬月額等級表に個々の労働者の報酬月額を当てはめて出した額を根拠に保険者が決定する。健康保険法40条に定められている標準報酬月額等級表は、報酬月額の少ないものから1~50級に分けられている。この等級の追加等は、平成28年4月1日に施行された法改正部分。1級の標準報酬月額58,000円からはじまり、最高等級の50級の1,390,000円まで。
標準賞与額とは、それに保険料を掛けることで、保険料の算定に用いられるもの。この標準賞与額は、年度で573万円を超えることはない。
被保険者の保険料は事業主と被保険者が、半分ずつ分け合って事業主が毎月保険者に納める。保険料率は、健康保険組合と全国健康保険協会とでは異なる。全国健康保険協会の一般保険料率は、1000分の30~130で協会の各都道府県支部ごとに協会が定める。介護保険料率は1000分の182。令和5年度では、保険料率が最も低いのは新潟県で9.33%(10000分の93.3)。全国平均でおよそ1000分の100。
各健康保険組合は、一般保険料率が1000分の30~130で組合の規定で定め、介護保険料率は保険者が定める。
40歳以上の健康保険法の被保険者は、介護保険法の被保険者(介護保険代2号被保険者)にもなる。それゆえ、介護保険にかかる保険料を納めることになる。介護保険の保険者は、全国の市区町村。
健康保険制度は、保険料のほか、国庫から健康保険制度の運営者である保険者に対する援助・負担等によっても支えられている。全国健康保険組合は、国庫負担に加え、国庫補助も受けている。日雇特例被保険者の保険給付の支給に要する費用や、特定健康診査等の実施に要する費用の一部については、組合にも国庫補助がある。