雇用保険法・失業給付

失業等給付については、給付名と手当名のオンパレード!

・雇用継続給付:失業等給付の1つで、高年齢者(高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金)、介護休業者(介護休業給付金)の雇用継続の促進や支援を目的とした給付。育児休業者の給付(育児休業給付金、出生時育児休業給付金)は、令和2年4月より独立した給付となった。

・教育訓練給付:一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付

・就職促進給付:就業手当、再就職手当→就業促進定着給付、常用就職支度手当、移転費、求職活動支援費(平成28年に『広域求職活動費』に代わり、新設されたのが、求職活動支援費※平成29年1月施行。求職活動の内容ごとに、広域求職活動費、短期訓練受講費、求職活動関係役務利用費が支給される。)

・求職者給付:
一般被保険者の求職者給付・・・基本手当(一般の被保険者が離職した場合に受給する手当いわゆる失業保険)、技能習得手当(受講手当・通所手当)、寄宿手当、傷病手当
高年齢求職者給付金、特例一時金、日雇労働求職者支援金

基本手当をもらうには、受給資格の有無をハローワークが確認。受給資格がある人を受給資格者。条件は、離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること(算定対象期間)。失業等給付の基本手当は、賃金日額を基に1日分の基本手当日額が算出される。
賃金日額は、算定対象期間において被保険者機関とされた月の最後の6か月間に支払われていた賃金総額(臨時に支払われる賃金および3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く)÷180=賃金日額として算出する。
この基本日額に、60歳未満の場合は賃金日額×80~50%、60歳以上65歳未満では、賃金日額×80=45%の割合を掛けることで、失業等給付の単価である基本手当日額が出る。

賃金日額が低いほど、高い割合が掛けられる。賃金日額と、基本手当日額には、上限額と下限額の規定がある。上限額は、年齢ごと、45歳から60歳未満までの人が一番高く、30歳未満の人が一番低い。下限額は、全年齢が同じ額。基本手当は、失業の認定をハローワークの所長から受けなければ受給できず、原則、受給期間は1年間。(倒産などで離職した中高年齢者等で、世間一般に就職が大変な人に対しては、1年に60日、あるいは30日を加える。妊娠・出産等の理由によっては、受給期間を4年以内まで延長できる。)

求職者給付の基本手当をもらうためには、被保険者が離職した際、算定対象期間の被保険者期間が12ヶ月以上必要なうえ、管轄公共職業安定所長(適用事業の事業所を管轄するハローワークを所轄公共職業安定所、求職者の住むところを管轄するハローワークを管轄公共職業安定所という)から失業の認定を受けなければいけない。
離職したら、離職票をもって、ハローワークへ出頭し、求職の申し込みをしなければならない。初回の出頭時のみ行う。ハローワークの長が、受給資格者の条件を満たしているかの確認をとり、受給資格ありと認められると失業の認定日が決定される。

算定基礎期間とは、受給資格が認められていた場合の一社に雇用されていた期間のこと。基本的には同一の事業主の適用事業に雇用されていた期間だが、別の会社の期間をプラスできる場合もある。

求職の申し込みの日から7日間は待機期間として、支給が行われない。基本手当をもらえる日数を、所定給付日数という。一般の受給資格者の所定給付日数は、全年齢共通で、算定基礎期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日。

会社の理由による離職の場合は、特定受給資格者となる。家族の介護など正当な理由があったり、短い期間の労働契約が満了し、かつ更新を希望したのに更新の合意ができず離職となった場合は、特定理由離職者となる。特定受給資格者と特定理由離職者の所定給付日数は、30歳未満だと5年未満が90日、5年以上10年未満で120日、10年以上20年未満で180日、20年以上は該当なし。30歳以上35歳未満は、1年未満が90日、1年以上5年未満で120日、5年以上10年未満で180日、10年以上20年未満で210日、20年以上で240日、35歳以上45歳未満は1年未満が90日、1年以上5年未満は150日、5年以上10年未満は180日、10年以上20年未満は240日、20年以上は270日。45歳以上60歳未満は、1年未満は90日、1年以上5年未満は180日、5年以上10年未満は240日、10年以上20年未満は270日、20年以上は330日。60歳以上65歳未満は、1年未満で90日、1年以上5年未満で150日、5年以上10年未満で180日、10年以上20年未満で210日、20年以上で240日。

平成21年3月31日に施行された特定理由離職者については、正当な理由による自己都合退職者に対する暫定措置で、令和7年3月31日まで延長されることになった。離職日が平成30年2月5日以降契約更新上限がある有期雇用労働契約の上限到来離職や有期労働契約が1回以上反復され、雇用時点から継続して3年以上雇用された者の雇止め離職令和7年3月31日まで措置が延長。

就業促進給付には、就業促進手当、移転費、求職活動支援費があり、就業促進手当にはされに就業手当(アルバイトなど、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上)(基本手当日額×支給される日数×10分の3)再就職手当(正社員、企業など。支給残日数が所定給付日数の3分の1以上※例外あり)(基本手当日額×残った所定給付日数書ける10分の6※3分の2以上残のときは10分の7掛け)就業促進定着手当(再就職手当をもらった再就職者が対象で起業者は除く)常用就職支度手当(就職困難者が安定した仕事に就く場合で、支給残日数が所定給付日数の3分の1未満、基本手当日額×残った所定給付日数、基本90日、90日皆んなら残った所定給付日数分、45日未満なら45で計算×10分の4※3分の2以上残のときは10分の7掛け)がある。就業手当、再就職手当の受給資格者は通常の受給資格者だが、常用就職支度手当は、特例受給資格者、日雇受給資格者、高年齢受給資格者が対象。

就業促進定着手当は、再就職手当をもらった再就職者が6か月以上雇用され、その間の賃金が前の仕事を辞めたときの賃金よりも低い場合に支給される。上限額があり、基本手当の支給残日数の40%。ただし、再就職手当の給付率が70%の場合は、30%となる。の支給額は、離職前の賃金日額から、再就職後6か月間の賃金の1日分の額を引いたものに、再就職後6か月間の賃金の支払基礎となった日数を掛けた額。

教育訓練給付金には、一般教育訓練給付(支払ったお金の20%を給付、上限は10万円まで給付金額が4千円を超えないともらえない)と、長期的なキャリア形成をめざした専門実践教育訓練給付(教育訓練支援給付金※初めて専門実践教育訓練を受ける45歳未満で離職中の人は、離職後1年以内に通信制や夜間制でない教育訓練の開始時に支給される。令和4年4月から令和7年3月31日までの受講開始に受講できる)の2種類がある。

高年齢雇用継続給付は、高齢となった際に5年間継続して雇用されていて、60歳に達した当時の給料に比べて、その後の給料が75%未満に下がってしまった人に対して高年齢雇用継続基本給付金、基本手当を受給して60歳以後で再就職した人には高年齢再就職給付金が65歳まで支給される。
高年齢雇用継続給付金の額は、60歳到達時(離職時)の賃金と比べて61%減っていれば60歳到達時の賃金月額あるいは離職時の賃金月額(単価)×15%、61%超75%未満の場合は、単価×15%が一定の割合で減っていく。

高年齢雇用継続基本給付金をもらう場合は、60歳到達時等賃金証明書の提出が必要。高年齢再就職給付金をせいきゅうするときは、必要がない。

令和2年4月より、育児休業給付は雇用継続給付から、失業等給付外の独立した給付となった。新しくなった主な5点。

①それまでの育児休業給付金に係る規定は削除、新設された章に規定。失業等給付と同レベルの給付。
②失業等給付における未支給の失業等給付、返還命令等、受給権の保護および公課の禁止の規定が、育児休業給付金について準用。
③国庫は育児休業給付に要する費用の8分の1を負担。
④一般保険料徴収額に育児休業給付率(1000分の4を雇用保険率で除して得た数)を乗じて得た額は、育児休業給付に要する費用に充てられる。
⑤令和4年10月から出生時育児休業給付金が施行。

育児・介護休業法で、令和3年1月1日施行により、子の看護休暇や介護休暇の時間単位取得が可能になった。半日単位での取得で所定労働時間4時間超の労働者が対象だったが、時間単位取得となりすべての労働者が対象となった。

出生時育児休業給付金は、育児・介護休業法の改正で、子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる『産後パパ育休』制度が創設された。この産後パパ育休を取得すると、出生時育児休業給付金が受けられる。

・就職促進給付は、早期の再就職のお祝い金のようなもの。
・教育訓練給付は、かかった費用の20%、10万円が限度。
・高年齢雇用継続基本給付金には、60歳到達時賃金証明書が必要。
・法改正で育児休業給付は、失業等給付と同等に。

雇用保険法は、国・被保険者・事業主の三者で支えられている。事業主への助成を行う雇用保険二事業は、失業防止や雇用を増やす努力をしている事業主を支える仕組み。

雇用安定事業では、被保険者、被保険者であった者、被保険者になろうとする者の失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大のため、積極的に努力を行う事業主への助成金の事業を行う。

能力開発事業は、被保険者または被保険者であった者、被保険者になろうとする者に、スキルアップを図る訓練を事業主が行う場合に助成金を出す。

雇用保険法の主な仕事
①失業等給付、育児休業給付
②雇用安定事業
③能力開発事業

雇用安定事業と能力開発事業を、雇用保険二事業という。雇用保険二事業は、国が行っているが、雇用保険二事業の一部を平成23年10月に発足した独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に行われるものとしている。

高年齢労働者処遇改善促進助成金は、令和3年4月から親切の、60歳から64歳までの高年齢労働者の処遇改善に取り組む事業主への助成金。雇用保険の適用事業所への事業主への支援。

雇用保険法では、事業主と被保険者が保険料を負担している。一部は国からも支出され、この国の負担を国庫負担という。国庫負担は、雇用情勢等が悪化している場合は、求職者給付(日雇労働求職者給付金以外)は4分の1、日雇労働求職者給付は3分の1、雇用継続給付(介護休業給付金のみ)は8分の1、育児休業給付は8分の1、就職支援法事業の職業訓練受講給付金は2分の1。情勢悪化財政悪化以外の場合の国庫負担割合は、求職者給付は40分の1、日雇労働求職者給付は30分の1、ほかは変わらない。

高年齢求職者給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金は、国庫負担がない。国庫は、毎年度、雇用保険事業の運営の事務にかかわるコストを予算の範囲内で負担するという規定がある。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?