厚生年金保険法・費用の負担等、不服申立て、雑則等

☆厚生年金保険事業の財政
☆保険料率、保険料の納付、保険料の免除
☆不服申立ての流れ

厚生年金保険法
第二条の三(財政の均衡)
厚生年金保険事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講ぜられなければならない。

第二条の四(財政の現況及び見通しの作成)
政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による保険給付に要する費用の額その他の厚生年金保険事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならない。
2.前項の財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3.政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第三十四条(調整期間)
政府は、第二条の四第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成するにあたり、厚生年金保険事業の財政が、財政均衡期間の終了時に保険給付の支給に支障が生じないようにするために必要な積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金及び第79条の2に規定する実施機関積立金をいう)を政府等が保有しつつ当該財政均衡期間にわたってその均衡を保つことができないと見込まれる場合には、保険給付の額を調整するものとし、政令で、保険給付の額を調整する期間の開始年度(具体的には平成17年度とされている)を定めるものとする。
2.財政の現況及び見通しにおいて、前項の調整を行う必要がなくなったと認められるときは、政令で、調整期間の終了年度を定めるものとする。
3.政府は、調整期間において財政の現況及び見通しを作成するときは、調整期間の終了年度の見通しについても作成し、併せて、これを公表しなければならない。

第四章の二 積立金の運用
第七十九条の二(運用の目的)
積立金(年金特別会計の厚生年金勘定の積立金(特別会計積立金)及び実施機関(厚生労働大臣を除く)の積立金のうち厚生年金保険事業(基礎年金拠出金の納付を含む)に係る部分に相当する部分として政令で定める部分(実施機関積立金)をいう)の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、もっぱら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。

第七十九条の三(積立金の運用)
特別会計積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、特別会計積立金を寄託することにより行うものとする。
2.厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に特別会計積立金を預託することができる。
3.実施機関積立金の運用は、前条の目的に沿って、実施機関が行うものとする。ただし、実施機関積立金の一部については、政令で定めるところにより、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法(共済各法)の目的に沿って運用することができるものとし、この場合における同条の規定の適用については、同条中「専ら厚生年金保険」とあるのは、「厚生年金保険」とする。

第五章 費用の負担
第八十条(国庫負担等)
国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の二分の一に相当する額を負担する。
2.国庫は、前項に規定する費用のほか、毎年度、予算の範囲内において、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行(厚生労働大臣を除く実施機関によるものを除く)に要する費用を負担する。
3.実施機関(厚生労働大臣を除く)が納付する基礎年金拠出金及び実施機関による厚生年金保険事業の事務の執行に要する費用の負担については、この法律に定めるもののほか、共済各法の定めるところによる。

第七十九条の十一(秘密保持義務)
運用職員は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。

第七十九条の十二(懲戒処分)
運用職員が前条の規定に違反したと認めるときは、その職員の任命権者は、その職員に対し国家公務員法に基づく懲戒処分をしなければならない。

第八十一条(保険料)
政府等は、厚生年金保険事業に要する費用(基礎年金拠出金を含む)に充てるため、保険料を徴収する。
2.保険料は、被保険者期間の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3.保険料額は、標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ保険料率を乗じて得た額とする。
4.保険料率は、次の表の上欄に掲げる月分の保険料について、それぞれ同表の下欄に定める率とする。
平成16年10月から平成17年8月・1000分の139.34
平成29年9月以後の月分・・・1000分の183

第八十一条の二(育児休業期間中の保険料の徴収の特例)
育児休業等をしている被保険者が使用される事業所の事業主(次条の規定の適用を受けている被保険者を除く。第三項において同じ。)が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、前条第二項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める月の当該被保険者に係る保険料(その育児休業等の期間が一月以下である者については、標準報酬月額に係る保険料に限る)の徴収は行わない。
一 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とが異なる場合
→その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの月
二 その育児休業等を開始した日の属する月とその育児休業等が終了する日の翌日が属する月とか同一であり、かつ、当該月における育児休業等の日数として厚生労働省令で定めるところにより計算した日数が十四日以上である場合 
→当該月

2.第二号厚生年金被保険者又は第三号厚生年金被保険者に係る保険料について、前項の規定を適用する場合には、同項中「同じ。)が使用される事業所の事業主」とあるのは、「同じ。)」とする。

3.被保険者が連続する二以上の育児休業等をしている場合(これに準ずる場合として厚生労働省令で定める場合を含む)における第一項の規定の適用については、その全部を一の育児休業等とみなす。

第八十一条の二の二(産前産後休業期間中の保険料の徴収の特例)
産前産後休業をしている被保険者が使用される事業所の事業主が、主務省令で定めるところにより実施機関に申出をしたときは、第八十一条第二項の規定にかかわらず、当該被保険者に係る保険料であってその産前産後休業を開始した日の属する月からその産前産後休業が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係るものの徴収は行わない。
2.第二号厚生年金被保険者又は第三号厚生年金被保険者に係る保険料について、前項の規定を適用する場合においては、同項中「被保険者が使用される事業所の事業主」とあるのは、「被保険者」とする。

※産前産後休業中の保険料の免除の申出は、被保険者が第1号厚生年金被保険者又は第4号厚生年金被保険者である場合には当該被保険者が使用される事業所の事業主が、また第2号厚生年金被保険者又は第3号厚生年金被保険者又はである場合には当該被保険者本人が、主務省令で定めるところにより実施機関に行うこととされている。

第八十二条(保険料の負担及び納付義務)
被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料の半額を負担する。
2.事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。
3.被保険者が同時に二以上の事業所又は船舶に使用される場合における各事業主の負担すべき保険料の額及び保険料の納付義務については、政令の定めるところによる。

第八十三条(保険料の納付)
毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。
2.厚生労働大臣は、納入の告知をした保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったとき、又は納付した保険料額が当該納付義務者が納付すべき保険料額をこえていることを知ったときは、そのこえている部分に関する納入の告知又は納付を、その納入の告知又は納付の日の翌日から六箇月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
3.前項の規定によって、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、厚生労働大臣は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。

第八十三条の二(口座振替による納付)
厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

第八十四条(保険料の源泉控除)
事業主は、被保険者に対して通貨を持って報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
2.事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。
3.事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

第八十五条(保険料の繰上徴収)
保険料は、次の各号に掲げる場合においては、納期前であっても、すべて徴収することができる。
一 納付義務者が、次のいずれかに該当する場合
イ 国税、地方税その他公課の滞納によって、滞納処分を受けるとき。
ロ 強制執行を受けることき。
ハ 破産手続開始の決定を受けたとき。
ニ 企業担保権の実行手続の開始があったとき。
ホ 競売の開始があったとき。

二 法人たる納付義務者が、解散をした場合
三 被保険者の使用される事業所が、廃止された場合
四 被保険者の使用される船舶について船舶所有者の変更があった場合、または当該船舶が滅失し、沈没し、若しくは全く運航に耐えなくなるに至った場合

第八十六条(保険料等の督促及び滞納処分)
保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
2.前項の規定によって督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3.前項の規定による督促状は、納付義務者が、健康保険法第百八十条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。
4.第二項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。ただし、前条各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
5.厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
一 第二項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき。
二 前条各号のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
6.市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。

第八十八条(先取特権の順位)
保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

第八十九条(徴収に関する通則)
保険料その他この法律の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。

第6章 不服申立て
第90条(審査請求及び再審査請求)
厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第28条の4第1項(厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正をする旨を決定しなければならない。)又は第2項(厚生労働大臣は、前項の規定による決定をする場合を除き、訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正をしない旨を決定しなければならない。)の規定による決定については、この限りでない。
2.次の各号に掲げる者による被保険者の資格又は保険給付に関する処分に不服がある者は、当該各号に定める者に対審査請求をすることができる。
一 第2条の5第1項第2号に定める者(第2号厚生年金被保険者) 国家公務員共済組合法に規定する国家公務員共済組合審査会
二 第2条の5第1項第3号に定める者(第3号厚生年金被保険者) 地方公務員等共済組合法に規定する地方公務員共済組合審査会
三 第2条の5第1項第4号に定める者(第4号厚生年金被保険者) 私立学校教職員共済法に規定する日本私立学校振興・共済事業団の共済審査会
3.第1項の審査請求をした日から2月以内に決定がないときは、審査請求人は、社会保険審査官が審査請求を棄却したものとみなすことができる。
4.第1項及び第2項審査請求並びに第1項の再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。
5.被保険者の資格又は標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分についての不服を当該処分に基づく保険給付に関する処分についての不服の理由とすることができない。
6.第2項、第4項及び前項に定めるもののほか、第2項に規定する処分についての審査請求については、共済各法の定めるところによる。

第91条
厚生労働大臣による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は第86条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
2.前条第2項第1号及び第2号に掲げる者による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分に不服がある者は、当該各号に定める者に対して審査請求をすることができる。
3.前条第2項第3号に掲げる者による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は督促若しくは国税滞納処分の例による処分に不服がある者は、同号に定める者に対して審査請求をすることができる。
4.前二項に定めるもののほか、前二項の審査請求については、共済各法の定めるところによる。

・被保険者がその資格を喪失した月については、保険料は徴収しない。
・任意単独被保険者が育児休業等をする場合であっても、申出により、休業期間中の保険料が免除される。
・保険料を徴収する権利は、これを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。
・国庫は、毎年度、厚生年金保険の実施者たる政府が負担する基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を負担する。
・事業主は、第1号厚生年金被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(当該被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を、その報酬から控除することができる。
・保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年をけいkしたとき、当該権利に基づき支給期月ごとい支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る支給期月の翌月の初日から5年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から5年を経過したときは、時効によって、消滅する。


いいなと思ったら応援しよう!