給与基礎日額

給付基礎日額とは、保険給付の内容が現金給付である場合の、計算の基礎になる単価のようなもの。

保険給付には、治療や看護、投薬など具体的なサービスを受ける現物給付と、年金や一時金などの現金給付の形式がある。保険給付を受けることができる権利を、受給権という。

被災者が保険給付を受けようとするときは、保険者に対して請求をする。保険者は政府になる。政府は、請求内容を検討し、支給の有無を決定する。これを裁定という。裁定によりはじめて、被災者は受給権(=保険給付を受ける権利)を得る。労災保険法の保険給付の受給権は、譲渡したり、担保に供したり、課税、差し押さえはできない。

労災保険法の現金給付では、その額は、〇日分という形で具体的に決まる。1日分(単価のようなもの)は、基本的に労基法の平均賃金相当額となり、これを給付基礎日額という。

平均賃金の計算式は、3か月分の支払賃金総額÷3ヶ月分の総日数。もらった賃金総額をその期間の総日数で割ります。これが、現金給付1日分を求める原則的な計算方法です。ただし、分子(割られる方)には、臨時に支払われた賃金、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まない。

なお、複数業務要因災害に係る給付基礎日額の算定方法も、これと同じ。傷病等の発生日(事故の発生日または診断によって疾病の発生が確定した日)が算定事由発生日となり、その前3か月間に支払われた書く事業場の賃金額を基礎に給付基礎日額が算定される。

給付基礎日額には、休業給付基礎日額、年金給付基礎日額、一時金の給付基礎日額という種類がある。また、給付額は受給者の年齢や、その時々の世間一般の賃金水準の変動なども考慮すべきで、これらの調整のため、スライド、年齢階層別の最低・最高限度額という規定がある。スライドとは、年金額を世間の物価や賃金の動きを反映したものにする仕組みをいう。労災保険法では、国内の労働者の賃金水準を基に、それぞれの給付基礎日額のスライドを行っている。年齢階層別のさいてい・最高限度額とは、毎年7月31日までに、前年の『賃金構造基本統計調査』を基に設定され、その年の8月1日から翌年の7月31日まで適用される。各年齢層が受けている賃金の実態に応じて、給付基礎日額の上限と下限が定められている。

労災保険法の特例による給付基礎日額では、原則で計算した額より、特例で計算した額が高い場合は、特例で計算した額を給付基礎日額にするよう定められている。

給付基礎日額にスライドを適用した場合で、最低保障額というものを基準とした調整方法がある。スライドを適用することで給付額を調整しても、最低保障額以下になってしまうときは、この最低保障額を適用する。最低保障額は、厚生労働大臣がその年度と前年度の平均給与額をみて、比率に応じて自動的に変更する。毎年、自動的に変更していくため、自動変更対象額の1つとされる。

・保険給付には、現物と現金の2種類がある。
・給付基礎日額は、現金給付の単価で、ケースごとに種類がある。
・最低保障額は、スライド適用時の調整で、自動変更対象額の1つ。

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