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23.11.17

まだ私は貴方と同じになりたいようだ。


ゲームやSNSの名前を彼の苗字にしている。
初めにそう名乗りはじめて2年くらい経った。
偽名だけど、本当の名前のようにすっかり馴染んできた。


その響きが大好き。何度も唇の上で、おまじないのように唱えてきた苗字。
私に明日をくれた人。生きる希望だった人。


貴方と出会ったのは私が中学2年生の頃。
クラスのムードメーカーだった貴方。クラスメイトが貴方の苗字に因んだ呼び名を考えたのをきっかけに、私もそう呼ぶようになった。
結局そう呼んでいたのは私だけだった気がする。


貴方の進む時間に私がいなくなってから、同じようにその名を呼んだ人はいたのかな。
私だけだったらよかったのに、なんて欲張りだ。


あれから8年近く経つのに、貴方の記憶だけは色褪せることはない。断片的な記憶の欠片を何度も焼き増して、忘れないように刻んでいる。


なぜ貴方が隣にいない人生を歩んでいるのだろうと嘆いたこともある。
貴方の隣にいる人が羨ましくて酷く落ち込んだこともある。
それでも貴方を知らないからこそ、美しい思い出のままでいられているかもしれないとも考える。
そう考えた後で、貴方のことなら全て知りたいとも思ってしまう。


今と昔はきっと違うだろう。私だって良い意味でも、悪い意味でも変わってしまった。
だから勝手に期待して、勝手に幻滅するような、己の満足を撫でるだけの劣情を抱かないように気をつけたい。

いつも好き。心の中にずっと貴方が宿っている。
14歳の頃から今22歳になるまでの8年間、貴方との思い出と記憶に支えられてきた。


沢山の感謝と愛が溢れそうだけれど、私は貴方の名前しか知らないので、この気持ちを伝える手段がない。


最初からあったとしても、きっと胸にしまったままなのだろう。
私に振り向かずに、貴方の心が決めた人と末永く輝いていてほしい。


それはとても切ないけれど、この日々はとても幸せ。
心という箱の中で、小さな貴方を見つめながらひっそりと生きている。

もしかしたらあの時も、私を見つめ返してくれた時間が一瞬でもあったかもしれないと。
そんな淡い希望を抱きながら。


はんぞうくん。
22歳のお誕生日おめでとう。
14歳の私より。

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