刀ステ悲伝 殺陣の演じ分けについてめも

刀ステ悲伝 結いの目の不如帰 が、先日無事に幕を下ろしました。

衝撃的な展開で、正直まだ消化しきれていないですし、皆様の考察を読むのがはかどっています。とりあえず、あんなに美しい舞台を観ることができてよかった、それに尽きる。

わたしは今のところ手札が少なすぎて考察をまとめきれないので、そちらは考察クラスタさんにお任せして、刀ステのもうひとつの特徴である 多彩な殺陣 についてまとめておきたいと思います。

※殺陣の専門知識はありません。個人的な印象の話です。


山姥切国広(演・荒牧慶彦)

マントの美しいひるがえりを最大限に生かした殺陣。つまり振りの大きい、くるくると回るような殺陣。鞘を多用する、刀と鞘を二本刀のように使う戦い方が多い。

この形は前回公演までと基本的に同じ戦い方だけど、今回は圧倒的にスピードが速くなった!あらまっきーの成長と山姥切のレベルアップがリンクしていて泣ける。。


骨喰藤四郎(演・三津谷亮)

少し丈の短い脇差らしく、相手の懐に自ら飛び込んでいくような戦い方。足払いや回し蹴り、開脚しての回避など、低い位置から繰り出される足技が多い。足技は今回で増えた印象なので、中の人が得意なのかな?

兄弟だからなのか、単に脇差だとそういう風になりやすいのか、殺陣の感じに鯰尾くんとどこか通ずるものがあるような気がしている。


不動行光(演・椎名鯛造)

中の人の運動神経を存分に生かしたアクロバティックな立ち回り。リーチが短くて魅せ方が難しいはずの短刀も、動きのダイナミックさで楽々とカバーしているのがすごい。

極になって戻ってきて、動きにさらに力強さが加わったように見えた!


へし切長谷部(演・和田雅成)

長谷部らしいスマートさが目立つ殺陣。刀を横に向けて境界線を引くように構えがちなのが印象的。重心はあまり落とさず、少し西洋風にも思える刀さばきはカソックを生かすため?

こちらも極になって剣戟に重みがのったような気がする。あと殺陣じゃないんだけど、戦う時に中の人の瞳孔がかっ開くのが大好きなんですよね……良き……


歌仙兼定(演・和田琢磨)

腰を落として移動、打撃は重みがのっていて刀で殴りつけている感が強い。まさに文系ゴリラ! が、最初と最後の構えは優雅に決めているのが歌仙らしい。

衣装が袴なのもあってか重心はかなり低め。こちらもマントをひるがえして戦うのでやや大振りな殺陣で、山姥切ほどではないけどくるりと回りがちな印象。


燭台切光忠(演・東啓介)

山姥切と同じく、鞘を使う戦い方。刀を外に向けて振ることが多い→ただでさえ長い腕(黒い衣装)と刀(黒)が一体化して見えるので、手足の長さと大きさが最大限に際立つ。最高。

他の刀でもそうだけど、鞘と刀を二本刀のようにして両手で振るうと身体が開くから、手足が長く身体が大きく見えるんですよね。とんちゃん虚伝初演のころは太刀の長さを持て余してる感じがあったのに、いまや手足のように使いこなしている…

あとこれだけ言わせてほしいんですけど、とんちゃんは早く帝劇俳優になってください。頼むよ東宝演劇部!


鶴丸国永(演・健人)

重心は高め、軽やかに跳ねるような立ち回り。まさに鶴!

こちらも鞘を多用するタイプ。ただし鶴丸の場合は、刀と鞘を交差させて構えるのでそこまで身体は開かない。アクロバティックな戦い方を好むようで、手首で刀をくるりと回すのが特徴的。


大般若長光(演・川上将大)

刀の打点が高く、膝は伸ばしがちであまり重心を落とさない。細身で身体にぴったり合う衣装と相まって、脚のとんでもない長さがさらにきれいに見える。燭台切と魅せ方は似ているかも。要所でぴたっと止めの入る刀さばきにメリハリがあってとても良い。


鶯丸(演・前山剛久)

要所要所で脇と肘をしめたシルエットが印象的。足も閉じていることが多い。殺陣は技と技がつながった流れるような戦い方が目を引く。……つまり鶯丸の上品さがこれでもかといわんばかりに表されている!

足を閉じたシルエットは一期一振と似たようなタイプに思えるけど、いち兄のほうは突きを多用した西洋風のスタイルだったから、全体としてはかなり印象が変わっている。


大包平(演・加藤将)

大振りで、力みの入った刀さばき。一撃一撃が力強いのが良い!敵もやられると吹っ飛ばされるので、パワー型なのがすごくわかりやすい。立ち回り自体はわりとオーソドックスな殺陣で、基本に忠実、正道を行くという印象。これも真っ直ぐな大包平にぴったり!


小烏丸(演・玉城裕規)

つねに片方のかかとが浮いているんだよね…!これは殺陣の時に限らず、普段からずっと片足が浮いているので、本物の鳥の脚のように見える。凄い…

戦い方はいなす、かわすといったモーションが多い印象。まさに本人…本刀?も言っていた通り、「レベルの低さを経験とテクニックで補う」華麗な殺陣。


三日月宗近(演・鈴木拡樹)

一言で言うならば「剣舞」。これに尽きる!

重心は低く保っていて、滑るように動く。どれだけ動いても腰の位置がほとんど変わらないのが神業。斬った瞬間ぴたりと静止するのでキレの良さが異常だし、おそろしく効率の良い最短の動き方をしているから速いんだよね。職人技と呼びたい。異次元の強さを持っているというのに説得力しかない。

極限まで効率化された動きは美しい、というのを思い出したよ……素晴らしいものを見せてくださって、本当にありがとうございます。


鵺と呼ばれる(演・碓井将大)

こちらも特筆すべきと思ったので。初めの方(名のないころ)では、腕だけで力任せに刀を振り回す拙い殺陣。刀の重さについていけず、身体のほうが振り回されている感もあった。

そして時鳥の名を与えられ自我が生まれてからの殺陣は明らかに三日月に寄せているよね?!

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