最低ライン、3

 洗濯は2日に1回、大きな窓から陽がたっぷり差し込んでくる場所に干し台を広げて行う。室内だから、雨が降っていてもこのペースは変わらない。
 服にあまり興味がない。靴下は3足、下着も3セット持っている……「しか持っていない」、とするところだろうか、女性としては。前述の洗濯ペースでぎりぎり着まわせる量。さすがにもう少し余裕を持ってもいいかな、と思った日が今日だったので、今日は「靴下を買う」ことをメインイベントということにして起きた。ベッドでだらだらしながら読んでいたWeb漫画にビーフシチューとミルフィーユカツ(豚バラを重ねてとんかつみたいに揚げた一品)が出てきておいしそうだったので、ついでにその材料もスーパーで買ってくる。
 ついでのついでだ、靴下を買う雑貨屋と、スーパーの間には、気になっていた喫茶店がある。そこで早めのお昼を食べることにしよう。

 ささやかな目標が3つ決まって、そのほかの今日のものごとが連鎖的に具体性を帯びていく。お昼を早めに食べるから、朝ごはんはごく軽く。まあ、朝ごはん用の食パンを買い忘れていたから、これは昨日から決定していた事項だけど。ミルクティー片手にクリームチーズを齧り、朝の薬を飲む。室内干しの洗濯物が乾いていたので取り込み、ベッドに布団乾燥機をセットする。いつもの部屋着でなく、外出用の服に着替える――数が少ないのは靴下や下着に限ったことではないから、私のクローゼットは寂しいくらいにシンプルで、迷う余地がない。

命のことで何を食べようか、体のことで何を着ようかと思い悩むな。(ルカ12章22節)

 この聖句を実践するのに非常に適した環境ではある(そうか?)。びんぼーだった頃に生命にかかわりの薄い部分からあれこれ我慢していった挙句、服飾品はすっかり「日常的に買うもの」カテゴリから外れてしまった。ただ、普通に生活できるようになった今でもおしゃれ欲が復活しないところを見ると、単にもともと興味がなかっただけかもしれない。

 靴下選びはものの10分で終了した。今ある靴(2足しかない)といつも穿くジーンズ(同系統の色でそろえている。スカートは一昨年の性犯罪に遭って以来、穿けなくなって捨ててしまった)に合いそうなものを3つ、3つまとめて500円。喫茶店では和風きのこハンバーグを美味しくいただきました。
 スーパーにも寄って、帰宅し、クローゼットに新しい3組の靴下を納める。これでまた当分、私は靴下を買わないだろう――そんな確信が、胸の中に強くきらめく。古いものに穴が開いたり、ほつれたりして、捨てて、その数がまた3くらいにならない限りは。

#生活素描

よい一日を、お過ごしください(*^▽^*)