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「 言うまでもなく君は最高で音楽が止むことなどあり得ない 」


彼に会った。
会った回数がやっと片手を超えて、今まででいちばん長く一緒にいたのに、言いたいことの9割5分も伝えられた気がしない。(彼は分かりやすく鼻歌を歌うので、案の定フラレガイガールをよく歌っていた)

わたしたちはずっと音楽が止むことはなかった。今回も、お守りのように、はたまた呪いのようにたくさんの音楽を共有し合った。
忘れないように記録していく。


仕事終わりに新幹線に飛び乗って、また夜分遅くに彼の家に着いた。着くのが遅くなることが多くて申し訳ないけど、今回は起きててくれた。
ただ前日のライブにより変にテンションが高い彼に釣られて、疲れてたはずなのに新幹線で寝てしまったのもあって、全然寝れなくて困った。でもずっともうライブに行けないとぼやいてた彼が、楽しそうにしてたのが嬉しかった。

次の日案の定早く起きてしまったわたしは、なかなか起きない彼に不安になってしまって寂しくなりかけてたけど、なりかけた頃に起きて、また音楽を流して準備をした。
その日はレンタカーを借りて富士急に予定だったので、「運転手に音楽の権利が与えられる!」と事前に話をしていたので最初に運転してくれた、彼に任せて出発して、初めて出会った頃にカラオケで歌った曲が流れ出して「絶対これが一曲目だったやんー!!」とか言いながらまた一緒に歌えたことに感動した。

↑この連作の真ん中のやつです、27時に歌うFLOWの GO!、その日に出会ったのに肩組んで歌ってて、マジでしんどかったけど楽しかった思い出。

それ以外にもシャッフルで流れてくる曲にまつわる話をして、サービスエリアでそれぞれ美味しいものを食べて、運転を代わったら写真を撮ってくれて(ただあまりにも緊張して顔が死んでたらしく送られてきてない、怖すぎる)、小雨が一瞬降り出した頃にDOESの曇天が流れ出してきて騒いで、なんとか雨が降ってない富士急に到着した。

待ってる間、ことあるごとに「さむくね??」と繰り返しながらたくさん写真を撮り撮られて、いろんな話をした。
待ち列で周りの音がうるさくて会話が難しくても、背の高い彼はいつも体を曲げてきいてくれて、きいてくれること伝わるからいつもすごく嬉しい。
それからあんまり待ち時間が苦じゃなかったような気がして、話をして、それぞれが携帯をみて、また話をして、そんな頃に順番がきて、を繰り返した。

話の中で、BUMP OF CHICKENのひとりごとを勧められて、「ねぇ、優しさってなんだと思う」という歌詞を見て、そう思う時点で優しくないよね、と自虐気味に笑って言う彼をみて、わたしは、そもそも「優しくなりたい」って思ったことがないことに気がついた。
昔、RADが好きな友達がいて、その子が「純度百度の自己犠牲なんてやつをしたい」と言ってたことがあって、その子のことをわかりたくても、どう頑張っても理解ができなくてから若干のトラウマがあったこともあってたぶんそのときわからなかったのはそのせいかと今になって気付いた。
彼も同じなのか気になったけど、なんとなく怖くて聞けなかった。優しくなりたいって思う時点で優しいだろとも思った。


そのあともNARUTOのところでオタクムーブをかましたり、あまりにも寒そうにする彼に上着を貸したらわたしより似合ってて嫉妬したり、偶然居た彼の知り合いに会ったり、4大ジェットコースターを制覇したり(富士急のジェットコースターを全て一緒に乗ってくれる人がそもそも少ないので手放したくないなと思うなどしたり)、そばかすを褒めてもらって嬉しくなったり、あっという間にこれで最後かなーと行く前から「絶対に乗って欲しい」と言われてて案の定楽しかったZOKKONの2回目に並んだ。

ジェットコースターが止まるか止まらないかくらいの雨が降ってたけど、少し日が暮れ出した頃に乗ることができて、雲と雨で少しぼやけた視界の中でライトアップされたジェットコースターが光っててすごく綺麗で、横では歌いながら笑ってる彼がいて、いつかフォロワーさんと話をした「走馬灯に出てきて欲しい」ってこういう場面のことを言うのかと思って、あまりにも幸せで楽しいはずなのに泣きそうになった。いまでも忘れない、忘れたくない光景。


そんな余韻に浸りながらアトラクションを出ると、どうやらさっき会った彼の知り合いの人から連絡があったらしく、電話を聞いているとどうやら帰れなくなったらしく、方向が同じだから一緒に帰ることになっていた。彼は優しいからわたしに聞く前にOKするだろうなと思っていたし、本当にOKしていたし、わたしも寂しくないといえば嘘にはなるけど、おせっかいではあるので了承した。
彼の知り合いもすごく優しくて、偶然同じバンドが好きだということがわかって(それは彼が聴かないバンドだったのでちょっと申し訳なかったけど)、最後はインスタをフォローするくらいには話せるようになった。
わたしより先に彼に会ってたのは確かだったけど、どこまで彼のことを知ってるかわからなくて上手く話せないでいると「人見知りするな」と彼に言われた。
かく言う彼も、知り合いの人と別れたあと「距離感が違うからテンションが狂った」とぼやいていて、確かに声のトーンが行ったり来たりしてるし、主語も違っててにこにこしちゃったし、わたしの時のほうが素に近いこと(は自惚れかもしれないけど)、オンリーワンかはわからないけど少なくとも特別ではあることを感じられてうれしかった。


陽が上るとどう頑張っても目が覚めてしまうわたしと違って、すっかり陽が差し込んで明るくなった部屋でも眠り続ける彼の横で、読みたかった本を読みながら起きるのを待つことにした。
そのとき寝返りを打った彼の手がわたしの首元に添えられて、あぁ今なら絞め殺されてもいいなと思った。思った後に、これが本心なのか、はたまたnoteに書くために誇張して思ったのかわからなくなったけど、思ったのは確かだった。
どちらかというとこの幸せの状態から確実に下がることがわかってるなら今じゃない?というあまりポジティブじゃない理由だった。
「幸せじゃないから死ねない」が、いつからか数学の命題でいう裏にあたる「幸せだから死ねる」になってて、まぁでもその幸せよりも家族とか友達とかに悲しまれる方が嫌だなという気持ちがまだ勝ってるから大丈夫。大丈夫だけど漠然と心のうちにあったそういう考えが、彼と会ってから表面に出てくることが多くなった。

そのあとやっぱり不安が大きくなりすぎて、やっと起きた彼にお昼決めてと言われても「一緒に食べるご飯を決める」という行為に苦手意識が強すぎて、うまく決められなくて、「かえろうかなぁ…」とぼやいてしまったりした。
結局行き先を提案してもらって、『君の名は。』の瀧くんがバイトしていたお店に行って、おいしいご飯を食べながら嫌いな食べ物を聞いて、まつげの長さを羨ましがって、デザートまで満腹になるまで食べた。

『君の名は。』の階段は、やっと行けて嬉しいはずなのに、観光客が多すぎてちょっと寂しくなった。という気持ちを共有できたのはありがたかった。今年何度目かわからないおみくじは末吉だったけど、おそろいのカエルの神様がついていた。まだ失くしてないといいんだけど。

でも久しぶりにたくさん食べれて喜んだものの、帰りになればなるほどどうしてもお腹が不安になって、いつもならもう少し一緒にいたくて送ってもらえるギリギリまでわたしが遠回りしそうだけどいちばん近くの駅を選んでしまった。
改札の前で「まぁ次は予定見ながら決めよう」と次の話をしてくれたことだけはおぼえてる。夢じゃないと願いたい。

お店から歩いてる途中で今年初めて写真の撮れる彼岸花に出会えて(いつも車なので撮れない)、彼岸花がいちばん好きだということを伝えた。「花束みたいな恋をした」が好きな彼だから気付いたかもしれない。
帰ってからもともとは「別れる男に、花の名を一つは教えておきなさい。 花は毎年必ず咲きます。」という川端康成という方が残した言葉だと知って、毎年絶対に秋にどこのまちでも道端に咲く彼岸花はぴったりの花だと思った。すみません、これは呪いです。

帰り道は久しぶりに『君の名は。』を観た。
今のところ、新海誠×RADWIMPSの映画は『君の名は。』がいちばん好きで、何度も観てるのに疲れも忘れて観入っていた。


帰りついたことを報告したら「何より」といわれて、彼の口癖が移っているように、わたしの口癖もうつっている気がした。


最近朝が寝れなくて、明け方、夢をよく見るようになった。
返事が来る夢とか、わたしが知らない間に返事をする夢とか。


「ターコイズ色の街を走り抜けよう」に憧れてターコイズ色のレンズの眼鏡を買った彼。そういうのにあやかって行動するところも似てて好きだった。って過去形で書いちゃった、過去じゃないのに。
帰ってからずっと聴いてて、電話した時も歌ってたからまだ聴いてる。

君はずっと君を見捨てないで、わたしはずっといなくならないから。


明日も空に歌があれば 僕らたぶんまだ生きてける
角ばった心 溶かすものは いつだって君だけが持っている

HYPER TOY / 野田洋次郎



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